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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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同人サークル影法師より、流れ落ちる調べに乗せてと、その前日譚・闇を奔る刃の煌きです。
最近時代物の作品がブームでして、面白い和風伝奇モノはないかと探していた折、本作にたどりつきました。片方だけのプレイでも、どちらからのプレイでも一応楽しめる作りにはなっています。しかし闇を奔る~の特徴を加味するとこちらからのプレイの方が驚きがあるやも知れません。


まず流れ落ちる調べに乗せてから。舞台は、文明開化後数年ぐらいの設定ですが、そのまま現実の世界をなぞっている設定ではないみたいですね。4つの物語と4人の主人公によるザッピングノベルとなっています。4つの物語では、大体同じ時間軸に起きた出来事が視点を変えて語られますが、たびたび共通する人物が登場し、それぞれ複雑に絡み合っています。
一つ一つの物語を最後まで読み進めるのか、あるいは平行して進めるのかによって結構印象が変わる作品だと思います。ちなみに私は前者でした。ちなみに選択肢はなく完全な一本道です。


CGは白黒で、立ち絵ではなく、長方形に縁取られた各キャラのバストアップ絵が動き回るような演出ですね。音楽もそうですが、昨今のゲームとしては物足りないものも感じますが、これはこれで、本作の味とも言えますので一概に否定材料と言えるわけではありません。





 
総評:7点


というわけで早速ですが以下ネタバレ感想のでご注意をば。




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役に立たない黄金球

ただ一点を除いて至って普通の少女・皐月の物語。彼女は、慕っている教師・鈴木斎木が匿っていた幸という少女との出会いに端を発し、とある事件に巻き込まれていきます。
大切だと思っていたものが切れてしまった。そもそも最初から存在しなかったのかも知れない。親友からの言葉に壊れかけた彼女の心でしたが、斎木と心が通じ合ったことにより持ち直し、拒絶された親友の前にもう一度立つことを決意する。

最後は片倉聖とのバトルになりますが、この時の皐月は完全に熱血系主人公のそれですw 役に立たないと思っていた黄金球でしたが、「一つだけなんでも願い事が叶う玉」と言い方を変えると、大分印象が変わりますね。





されどいつも貴方の傍に

私塾で歴史を教える教師・鈴木斎木。人と深く関わろうとしない彼だったが、ある日ゴロつきに追われていた幸という少女を見捨てられず匿うことになる。皐月編でもそうでしたが、物語の鍵となるのは幸なんですね。他のシナリオでもそうなるのかも。

彼が抱える呪いは、罪悪感でした。要は、人一倍人の死に敏感といったところでしょうか。元部下の蘇芳に弾劾されようやく自覚した斎木でしたが、蘇芳は最初から最初から斎木を呪いから解放するためにここにやってきたんですね。彼と渡り合うために大気を操る異能まで会得してきたりと、どんだけこの人斎木のこと好きなのって感じですw

この章で面白かったのが、同じシーンを1章の皐月視点で見るのと2章の斎木視点で見るのでは随分印象が変わることでしたね。説得出来たと思ったのに急に態度を変え、心を閉ざしてしまった斎木の心で何が起こっていたのかが分かります。あまりいないとは思いますが、2章→1章の順でプレイした人は、目の前に転がってきた皐月の身に何が起きたのか想像も付きませんし、このあたりはザッピングならでは面白みだったと思います。





歯車仕立ての運命譚

病弱な妹を持つ、人形師・仁科正吾。日本男児を絵に描いたような性格の彼ですが、ある日亡き父親の仕事場でも会った屋根裏部屋である紙片を見つける。
それは自分が妹である歌名を護るために仁科清吾に作られた人形であることを示すものだった。人形としての寿命は十年程。自分が動けなくなる前に病弱な妹をなんとかしてやりたいと右往左往する正吾だったが、やがてひとつの真実へと辿り着く。

と言った感じのストーリー。まあネタバレしちゃいますが、よくよく清吾が残した紙片を見てみると、人形として作られたのは歌名の方だったことがわかります。彼女の病気は人形としての寿命が近づいていたためだったわけですね。そして正吾は、彼がもつ体を変化させる異能によって、記憶さえも消し、歌名とともに人生をやり直そうとした清吾その人だった、というオチ。

振り向いてもらえなかった女にそっくりの人形を作り、さらに保険として兄として寄り添い愛情を注ぎ、その絆を決定的なものにしようとした。なんかからくりサーカスを思い出すシナリオでしたねw 銀がいなかった場合の、金とフランシーヌ(しろがね)、そして勝の関係にそっくりです。

本章は他と比べると関わりあいが少なく独立していた感じですね。幸も絡んできませんし。





天を仰げばすぐそこに

異能集団・十統の一人で、所謂「抜け忍」を始末する役目を担っている女性・藤村薙沙。追手を二人も返り討ちにしている男を始末するためこの町を訪れる。孤独と優しさがテーマですかね。
喫茶店のマスター、そして珍妙な喋る犬との出会いによって癒され、気付かない内にその状況を受け入れていく薙沙。しかし彼女は自身が持つ優しさによって追い詰められてしまう。

まあ、ぶっちゃけていうと寂しがり屋で優しい人だったわけですが正吾以外の主人公は割と第一印象とは異なる本性を持っていたりしますね。普段悪態の応酬みたいな会話しかしないのに、犬が一緒に央都に来てくれるかどうかで不安になったり、肉体的には無敵に近い強さなのに妙に庇護欲を掻き立てられる人です。実際話し相手を求める人にしか応じないという異能を背負った故に薙沙に寄り添った犬だったわけですが、本心的にもきっとほっとけなかったんでしょうねえ。

結末は少し悲しいですが、薙沙が自分の生き方を変えるきっかけになったわけだしいいのかな。


ザッピングならではの要素としては、薙沙のドレス姿を斎木に見られた時や、皐月を煽るために斎木に迫るシーンでしょうか。前者は2章では、照れて焦っていた薙沙が何故急に冷静に、沈んだような表情になってしまったのか不思議だったわけですが、まさかあんな思いが渦巻いていたとは。誰よりも斎木の性格を知っているからこそ、彼の目に自分がいないことを思い知ってしまったという切ないシーンですね。






最終章


4つの物語を終えると、序章しかプレイ出来なかった物語の結末と、全ての物語が収束する最終章をプレイすることが出来ます。

物語に関わった人々が備えていた異能。この殆どは町に伝承として語り継がれている獅子舞の伝説を源流としていました。

町を襲った人食いの魔物・まだら。土地の神・豊泉と同化した九郎はまだらを倒すが、その魂はまだらの遺灰と共に封印される。数百年の時を経て、仁科清吾により遺灰の封印が解かれ、九郎は生霊として町を彷徨うこととなる。我々プレイヤーは九郎の視点で様々な物語を俯瞰的に見ていたとも言えますね。まだらが持っていた異能は呪いとして町の人々に受け継がれます。

 そもそも設定では異能とは、世界に隠された定義(法則といってもいい)であり、まだらの能力もまたその範疇の代物でした。そして異能を管理する役目を担う神が豊泉。




で、最後のトリを飾るのは皐月の謎の黄金玉。この本当の力は”神の領域”といって、この玉の範囲内ならばなんでも思い通りに出来るというキングオブチートといってもいい能力でした。なにせ玉の大きさ自体も実は自由自在だったわけですからね。しかし強力無比故に代償も大きく、意志の強さが弱いと己の命を失ってしまうという誓約があります。

 他の能力もそうですけど、大体ハンターハンターの念能力みたいな設定だと思ってるとわかりやすいですねw

 
正直黄金球の真の力自体は、そうだろうなと思っていましたし良いのですが、代償がいまいちだったんですよねえ。物語のクライマックスで、覚悟があるかないかなんて愚問もいいところじゃないですか。歌名の死を理由にしていたものの、あのシーンで皐月が覚悟が足りなくて死んじゃった、なんて展開になるわけないことなんてわかりきってますからね。



 蛇足ですが、何気に設定資料集まで買ってしまったのですが、それほど長くないこのゲーム中にこんな沢山の異能が出てたんだなあと改めて思いました。そしてある意味一番の衝撃がお前かよ!でしたw いやまあ私も好きだし、作品のマスコット的な存在であるのもわかるけど・・・まさか一位とはねw






総評

 4つの物語だけだったら、後日談や未回収の伏線等色々不満が残るところでしたが、終章にてオールスターが活躍し、町の伝承、彼らが持つ異能の源流と因縁などが綺麗に片付いて、結末を迎えられカタルシスも十分に得られたのが良かったですね。

 システムもザッピングを騙ったただ自分で読む順番を決められるだけ、みたいなものではなく、視点を変えることによって同じシーンも違った観点から見れるという箇所が多かったのが中々良く考えられてると思いました。

 反面時代背景もあるためか、テキストは割と淡白ながら取っ付きにくい印象はあります。読みにくいという程ではないのですが、何故か眠くなる、というか。心理描写は丁寧ですけどね。あとは戦闘描写は少しいまいちでしたかね。










続いてそのまま流れ落ちる調べに乗せての前日譚・闇を奔る刃の煌き。

 こちらも4章仕立てながら主人公は一人だけで、ザッピングのようなシステムはありません。主人公は片倉重蔵。流れ落ちる調べに乗せてにて片倉聖が精神的に追い詰められてしまった根源でもある人物です。しかし今作では前作から想像される重蔵のイメージとは似ても似つかぬ、実直で快活な人間となっています。

 システム的には流れ落ちる~から比べると格段に進化しており、立ち絵、イベントCGはカラーとなっています。BGMは使い回しが多いものの盛り上がる箇所では本作オリジナルの楽曲が使われていました。







 さて、シナリオですが前述したように快男児という言葉が似合う主人公なのもあいまってテンポよく話が進み、前作で導入時に感じた冗長さが改善されているように感じました。1~3章の物語は、侍から商人へ生き方を変えることを決意した重蔵とそれを支える蛍の王道立志伝といった内容。ただよく出来た話ではありますが、正直斬新な面白みがあるわけではなく、4章への布石に過ぎない印象です。



 そして問題の4章。異例の出世で町の旗頭にまでなった重蔵。子供も生まれ、ようやく蛍に胸を張れる、と人生の絶頂だった片倉夫妻の前に悲劇が舞い降ります。
 町を襲う不可解な伝染病。肌を通してしか感染しないはずのその病気は、何故か蛍をも冒してしまいます。この伝染病は町の伝承で伝えられ、何十年かに一度町を襲うという怨霊の仕業であることが判明します。そして霊観から非情な結論が告げられる。この病気は掛かった時点で内臓をやられ、助かることはない、と。


 大体この辺で前作プレイ者はやはり来たか・・・と思い、未プレイ者はマジかよという思いに満たされるのだと思いますが、物語はそのままバッドエンドでは終わりません。九狼神社の巫女・弥生によって、町の一画に病人を集め、結界で封じその死体を焼き払うことによって怨霊を封じ込める計画が進められます。病人を見捨てるといってもいいその計画に反対する重蔵でしたが、この町と息子の未来を託せるのならばと蛍自らに諭され、断腸の思いでその計画に協力することにします。

 紆余曲折ありながら、超人的な剣技で巫女を守り、怨霊封印の立役者となった重蔵は、町の人々に英雄と崇められます。その時の重蔵の顔は晴れやかだった。それは蛍の強さ・高潔さを息子に語り継ぐという生きる目的を見出したからだったのでした。終。

 というお話で、イイハナシダナー蛍の死が避けられなかったのは辛いけど、その意思は重蔵とその息子・重支郎が受け継いでいくんだろうなぁ。これで良かったんだよねぇ。という割と私好みの完全なハッピーエンドじゃないけど、未来へ向かうベターエンドで幕を閉じます。



 しかし前作プレイ者は思い出します。蛍を失うという彼にとって最悪の挫折を乗り越えた重蔵が、自分の孫娘を精神的に追い詰めてしまうなどという過ちを犯すわけがないのではないかということを。






 スタッフロールの後、本作唯一の選択肢が現れます。真実を知りたいか否か。正直ハッピーエンドが好きで、前作をプレイしていない人は、ここでいいえを選んで本作を終えてしまっても全く問題ないと思います。話としては過不足なく纏まっていますし、このまま片倉家の行末を妄想するのも良いでしょう。

 


 はいを選択すると、ある一人の男の悪意が語られます。西脇哲哉。重蔵の無二の親友である彼の口から語られるのは生きる希望を見出した重蔵をもう一度どん底に叩き落とす真実でした。


 もう本当に辛い。事の発端は誰が悪かったわけでもないのが尚更辛い。重蔵が友の変化に気付けたのなら、哲哉がもう少し自信を持てたのなら結末は変わっていたはずなのに、やるせない気持ちにさせられます。なんかベルセルクのガッツとグリフィスみたいな関係なんですよね。お互いに同じ土俵に立った友であらんと思うほどに気持ちがすれ違っていくという。蛍を奪われたということも一因ではあるのでしょうが、哲哉が一番堪えたのは商人としての才すら友に及ばないという事実だったんでしょう。一方で重蔵は剣しか脳が無かった自分が、ようやく友と肩を並べるところまで来たという事実で感無量だったわけでなんたる皮肉。ああ無情。


 というわけで、どうあがいてもバッドエンドで終ってしまうという点では同人ゲーム特有のものだったと思います。重蔵が狂ってしまった経緯を知りつつ流れ落ちる~をプレイするのか、流れ落ちる~をプレイして、重蔵に何があったのかという点を疑問に抱きつつ、闇を奔る~をプレイするのか、どちらの順番でも楽しめるというのは中々面白い構成だったと思いますね。






 余談ですが、私は一目惚れ展開が嫌いな人間で、闇を奔る~についても正直序盤は良い気持ちはしませんでした。現実だとビビッと来たからみたいなのが恋愛の理由であることはむしろそれ以外よりも多いぐらいだと思うのですが、第3者視点で見る物語の上では過程を重視してしまいがちです。まあ至極当たり前の話で要は自分ならいざ知らず、他人の一目惚れなんて理解出来るわけないじゃんってことなんですよね。

 しかし本作では過程はすっ飛ばしたものの、終盤では一目惚れに至った理由がしっかり説明されていました。重蔵は父親から受け継いだ人の外見からその人となりを推察する目によって蛍の高潔さを見抜いたこと。そして蛍はその異能の目によって重蔵の魂の力強さと優しさを知ったこと。これがあったからこそ、片倉夫妻に感情移入することが出来たし、二人の前途を心から祝福したい気持ちになれたんですよね。まあ実際に蛍の方が判明するのは今際の際なのですが、前作既プレイ特権で、蛍の異能はすぐに予想が付きますからね。一目惚れなのに気に入ったという私的に珍しいカップルでした。





総評

 前作よりも少ないボリュームながら、システムや彩色などが改善され、テンポのよいストーリーは見ていて爽快。4章以降の展開は賛否両論だろうが、ここの衝撃が良作たらしめるものだったことは間違いない。


 蛇足ですが、闇を奔る~でどうしても胸クソ悪くてモヤモヤが晴れない人は設定資料集に手を出してみるのも良いかもしれません。ほんの少しだけ救われた気持ちになれるかも?(宣伝






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