チラシの裏に書くようなことを徒然と。
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コットンソフトより終わる世界とバースデイです。
2012. 9. 29――その日、世界は終わった。
ツクツクボーシの声が虚しく響き渡り、誰もいない街に夏の終わりを告げている。
もう僕にできるのは、最後の瞬間まで”彼女”と添い遂げることだけ…
でもせめて、残った者の義務として――
この世界がいかにして終わりを迎えたのか、その経緯を伝えようと思う。
僕と”彼女”が、確かにここで生きていたという証を。
そして僕らの世界が終わりを告げるまでの、永遠にも似たひと月足らずの物語を。
公式HPストーリーより引用。これは本作のプロローグ部でもあります。後から見るとこのプロローグ部の意味合いが大分変わって見えるのは中々憎いですね。
ジャンルとしては少し前に流行った気がする世界の終焉を描く終末モノ、といっていいのかな。
主人公・冬谷和臣は、2年前に親友を失い、親友の妹である千ヶ崎入莉と奇妙な同居生活をしていた。彼女は生まれながらに弱視というハンデを背負っていたが2年前の兄の事故のショックで、幼馴染の主人公・冬谷(トウヤ)を兄の陶也と、誤認識していた。彼女のために兄として振る舞う生活を続けるトウヤ。そんな生活の中、ひょんなことから仮初の妹、入莉を初めとした仲間達と共に、街に流れる1か月後の9月29日に世界が終わるという噂について調査する、「9.29対策協議会」を発足し、奔走することになります。
主人公・冬谷和臣は、2年前に親友を失い、親友の妹である千ヶ崎入莉と奇妙な同居生活をしていた。彼女は生まれながらに弱視というハンデを背負っていたが2年前の兄の事故のショックで、幼馴染の主人公・冬谷(トウヤ)を兄の陶也と、誤認識していた。彼女のために兄として振る舞う生活を続けるトウヤ。そんな生活の中、ひょんなことから仮初の妹、入莉を初めとした仲間達と共に、街に流れる1か月後の9月29日に世界が終わるという噂について調査する、「9.29対策協議会」を発足し、奔走することになります。
学園生活も多少は描かれますが、主人公もヒロイン達も人間関係が希薄なため、描写は薄いです。まあ他に理由もあるのですが。基本的には9月29日の噂や、それに連なる預言を回避しようと試行錯誤するストーリーとなります。
共通ルートはヒロインによって異なりますが、大体3~7時間程度でしょうか。各ヒロインルートに入ってからは、2~3時間。全体的なプレイ時間は20時間かからないと思います。多少短めではありますが、過不足なくシナリオを描くには十分な時間だと思います。ちなみにプレイ開始時、誕生日を入力することになりますが、これは自分の誕生日にとりあえず設定しておくのがオススメです。
多少グロ描写というかスプラッタなバッドエンドもありますので、それらが苦手な方は注意。3daysやらに比べればスプラッタなんてレベルじゃないので、気をつける必要もないと思いますけども。
グラフィック。キャラデザは少し頭身高めの絵です。立ち絵とイベントCGの違和感は多少ありましたね。入莉とかイベントCGだとやけに目が大きく描かれてたりとか。CG総数もプレイ時間相応といったところか。
BGMは大体無難な感じですが、EDテーマは良かったですね。演出の勝利って感じもしますけどw
総評:7点
では、以下壮大なネタバレシナリオ感想となりますので、ご注意をば。本作はネタバレが怖い作品ですので特に。
さて、この終わる世界とバースデイですが、色々と不可解で理不尽なことがいくつも起こります。9月29日に世界が終わる、という預言を筆頭に、学園内での大量殺傷事件、予測しようもないつむじ風による学生の転落死。そして各ヒロインルートでは、世界中に殺人ウイルスが蔓延したり、街が氷に閉ざされたりと、人為的に起こすことが不可能で、普通では有り得ない災害が起こります。
あまりにもあり得なさすぎるこの世界の終焉には、もちろん理由がありました。そのヒントは途中で挿入される、陶也との哲学的問答の中にあった、ギロチンの話。ある男がギロチンに首を落される夢を見た。起きてみると本棚から本が首に落ちてきていた。これは通常の時間間隔では、首に本が落ちてくることを予知でもしていない限りギロチンの夢を見ることは有り得ないことを意味します。胡蝶の夢という言葉があるように、夢の中では時間間隔が異なるわけですね。断頭台に連れられギロチンで首を切り落とされるという夢は、首に本が落ちてその衝撃で目が覚める一瞬の間に見たものだった。この話はそのまま本作の世界構造を語ったものだったんですね。
簡単に言うと、作品の舞台である2012年9月は、実は精神をデジタルデータとして転移させた擬似世界での出来事であり、現実では2022年の7月だった。そして事故で死んでしまったのは陶也ではなく、入莉だった。これが本作の根本的な秘密ですね。自分のバイク事故で入莉を死なせてしまったトウヤは、陶也と協力して入莉を精神的に蘇らせる計画を立てる。これは自分達の記憶を元に、入莉の人格を作り、100人の人間のリアルな精神と擬似世界で生活を過ごすことによって成長させることが目的でした。
この擬似世界は、対外的には藤白グループの大規模MMO「終わる世界とバースデイ」として、10年前に戻り、未練や後悔を払拭させたいというプレイヤーを集め構成されたものでした。ここでは、全員が擬似世界を「現実」として過ごし、漠然と焦燥感を煽るために9月29日に世界が終わることが示唆されています。本来は9月の始めから9月29日までの1ヶ月を90分で体験するゲームでしたが、陶也によって体感時間は引き伸ばされ、1ヶ月が何十周と繰り返され、その度プレイヤーは記憶をリセットされていました。全ては精神体としての入莉を成長させるために。
世界観的にはちょっとAngel Beatを思い出すような感じでしたね。未練を持った人々が留まる夢のような世界観の中で、最終的に主人公が自分のエゴで、プレイヤーを現実に戻そうとするところまで。本作はその世界が人為的かつ利己的な理由で作られていたのが異なる点ですね。
Trueルートでは、自分が擬似世界の精神体であることを認識した入莉が、「千ヶ崎入莉」ではない別個の人格として自我を持ち、入莉を護る世界の意思が具現化したようなカサンドラと、弱視のハンデを持たない入莉として作られ自我が生まれた織塚と協力し、陶也とトウヤを合わせた102人のプレイヤーを現実に戻し、擬似世界を永久凍結します。
擬似世界が終焉を迎えるまでの、つかの間。トウヤは、入莉と二人の時間を過ごします。陶也やトウヤがいくら事細かに入莉の記憶を再現したとしても、入莉の心は入莉にしか分からない。故に、トウヤを「兄さん」と呼ぶ彼女は既に千ヶ崎入莉ではなかった。
そんな彼女にトウヤは、名前を与える。「冬谷イリ」と。そして9月29日は幼馴染で、大好きだった「千ヶ崎入莉」の誕生日であり、何十回と繰り返された1ヶ月を兄妹のように、恋人のように共に過ごした「冬谷イリ」の誕生日にもなったのでした。
数年後、トウヤやフリーのプログラマーとして生活をしていました。天宮市には、擬似世界にしかなかったはずの東都スカイタワーを模した電波塔が建設されていました。その巨大な塔の前に佇み、イリを想うトウヤの元に一本の電話が届く。それは、イリからの誕生日を祝うメッセージ。プレイ前に入力した「トウヤの誕生日」に電波塔の前に居ることが条件で届いたそれは、電波塔の電光を利用して祝いの言葉をトウヤに届けます。「Happy Barthday」。トウヤにだけは伝わる確かなイリからのメッセージ。
というところでFin。綴り間違っちゃってるのとEDテーマは反則ですよねえ。ここは流石に泣けてきましたねえ・・・。綴り間違ってんだよコンチクショー!って感じでトウヤとシンクロしてましたw
トウヤと陶也の誕生日の違いで入莉が現実を認識するのもそうなんですが、この瞬間のトウヤとのシンクロのためだけに誕生日入力システムがあったといっても過言ではありません。もっと言えば、前者はもうちょっと違う展開で気付くようにして、この時この瞬間まで誕生日を入力したことすら忘れさせてくれてたら、涙腺決壊しただろうなーと思います。
実際あのシステムって1~12月と1~31日までの音声を声優さんに頼まなければならないわけですから、あの演出のためだけに取り入れたのは、拘りを感じさせますね。
この物語はハッピーエンドにすることも出来たと思うのですよ。擬似世界の話になってきた時点で、精神をデジタル化して転送することが出来るなら、逆にデジタル化された精神体を肉体に転送出来ることも出来るんじゃないの?とか思ってたんですが、陶也がトウヤにも隠していた本当の目的としてやはり用意されていました。
流石に現実の人間を犠牲にしてまで入莉を蘇らせることをトウヤも入莉も望むはずもなく、擬似世界の凍結という形で幕を閉じました。しかしベタな話ですが、例えば人間の脳と遜色ないアンドロイドみたいなものが開発されれば、イリの現実世界への転送というのは誰も悲しむことなく達成可能なんですよね。むしろ姿を消した陶也は、そっちの研究をしてるんじゃないかなーと思ってます。そんな可能性が残されているからこそ、擬似世界の消滅ではなく凍結だったんだと思いますし。イリも織塚も誰かの犠牲の上で生きていたくないだけで、自我を持って生まれた以上、生きたいという意思はあるはずです。
ただ、まあそこまで描かずとも、電波塔の誕生日メッセージで十分満足したので良いんですけどね。作品としてはここで終わった方が綺麗だし。その辺はファンディスクとかでやってもらえたら嬉しいような気もします。
全体的な感想はこんな感じ。あと個別に気になった点を挙げます。
まず藤白の現状。彼女と父親の関係は、彼女の記憶を元に作られているはずなので、現実世界では、藤白は彼が実父であることは既に知っているはずです。しかし未練があってプレイヤーとして参加しているということは、恐らく彼が肺ガンで死亡後、遺品整理の中で件の携帯を見つけ、母からのメッセージを聞いたのでしょう。そして生前一度も「お父さん」と呼ぶ事ができなかったことを悔い、「終わる世界とバースデイ」の資金援助を続け、自らも参加した、という感じですね。
鳴子は2022年の擬似世界の通りでしょう。ミカは・・・一番謎ですねw 若作りアイドルとかなんか哀愁が漂ってるんですがw
ヒロインによって世界の終り方が違っていたわけですが、これはトウヤが特別なプレイヤーだったことをに起因しているのかな。ショック療法的とは言え、藤白もミカもそれぞれのルートで未練を払拭出来たわけですし、実は参加したプレイヤーの未練を払拭することもトウヤの目的の一つだったとか。現実世界のトウヤが陶也に内緒で、記憶を「設定」してプレイヤーとして参加した理由もその辺にあるんじゃないですかね。
あと気になった点は、やっぱりタイムカプセルですかねえw 突っ込んでる人多いと思いますけど、あれじゃ周回の度にタイムカプセルがどんどん増えちゃいます。そもそも地面の下はリセットされないというのがちょっと陳腐というか、もう少しスマートな方法はなかったかなーと思うんですよねえ。カサンドラとか織塚とかポジション的に管理者側に近くて便利なキャラがいるのだから、その辺を上手く使えばどうとでも出来たような気がする。しかしタイムカプセルっていう発想は悪くない。
ついでにカサンドラ。彼女の預言が、人々を恐怖に陥れるのが目的ではなく、事前に伝えて入莉や主人公を危険から遠ざけるのが目的だったのは予想していたのですが、もう少し複雑な設定を持ったキーキャラなのかと思ってたんです。これもベタですけど周回を繰り返して成長した未来の入莉だった、みたいな。弱視が治ってるのは・・・なんやかんやでw
そもそも入莉を護る擬似世界の意思みたいなものといっても、そのポジション自体織塚と被ってるし、カサンドラと織塚ってどちらか一人で良かったんじゃなかろうか。実際途中まではネット上に預言を書き込んでるのは織塚だと思ってましたしね。まあこうするとただでさえ織塚ゲーなのに、さらに躍進しちゃいますけど。
そう、このゲームはまごうこと無く織塚ゲーだったわけです。管理者としての役目を負った彼女は、リセットされる擬似世界の中で、唯一人記憶を保持続けた孤独な存在でした。入莉として自我を持って生まれた彼女は「千ヶ崎入莉」と同じようにトウヤを好きになる。しかし陶也に失敗作として凍結され、その後は織塚美咲として、入莉を守る役目を担う。その胸には叶わない想いを抱えたまま。・・・あーいや秘めてはいなかったかw まあそれでも本気でトウヤに想いを伝えてしまった入莉ルートでは、(恐らく)陶也による制裁で重体にされてしまったように、彼女の想いが実ることはなかったんですよね。
故に、繰り返す世界の中で稀に起こる9月29日を過ぎた世界でのひとときが、織塚にとってどれほどの救いを与えていたかは計り知れません。同時に何をしても報われないとわかっているのに、どうしようもない程に募っていくトウヤへの想いの切なさ、痛みも感じていたのでしょう。
何度繰り返しても、初めてそこで出会ったかのように振る舞う辺りが、智代アフターのラストシーンを思い出しましたねえ。いや本当に健気で良い子やで。それも当たり前か。彼女は「弱視」というハンデを持つことなく育ったもう一人の「入莉」なのだから。
さて、織塚ゲーであることは上述した通りですが、他のヒロインについて。ナルは間違いなく最初から女だと踏んでいたので特に衝撃はありませんでしたが、ダメ年上ヒロインとしては可愛いキャラだったので良しとしましょう。ミカも藤白も割と個性的なキャラで、9.29対策協議会メンバーの掛け合いは結構面白かったですね。しかし恋愛要素としては、はっきり言ってチョロい。あまりにもチョロすぎて、感情移入もへったくれもない感じでした。一応チョロいのも世界の終末が迫っているという吊り橋効果的な心理的要因という理由があるので納得出来ないこともないんですけど、それでもなあ。トウヤが穏やかな性格にそぐわないようなイケメンだったのも理由の一つかしら。
最後に主人公。正直この物語を背負う程にカッコ良くは感じませんでした。入莉の幼少時のトラウマを知っていながら、欲望を抑えられずに事後に自己嫌悪するところとか、気に入らない。兄として自分を受け入れる入莉と幼馴染で女性としての好意を持っている自分とのギャップに苦しみながらも体を求めてしまうところなんかは好感持てますが、あのトラウマを持っている限り、相当慎重に扱うべき問題だったはずなのに欲望に身を任せちゃったのはなんだかなーと思いました。
自分が千ヶ崎陶也として振舞っているのだからなおさらです。自己嫌悪してましたが、彼の行動は親友で入莉の兄でもある陶也を貶める事でもあったのに。
全体的に消極的なんですよね、他ヒロインに対してとか。大体Hした後にもしかしたら好きなのかもと自覚する程度ですし、入莉や織塚以外のヒロイン達って本当に顔に惚れたとしか思えないんですけどねえ。結末も別にトウヤが頑張ったわけではなく、入莉が頑張っただけですから、正直存在感の薄い主人公でした。まあ設定変更しているとはいえ、現実のトウヤは入莉のことだけを考えて生きてきた空っぽの人間だったのかも知れませんから、こういう性格であることは仕方ないですかね。どちらかというとそんな彼にチョロく惚れてしまうヒロインの方が問題な気がしてきた。
そろそろ総評です。納得出来ない点はあるし、設定自体も斬新な訳ではありませんが、終末モノの皮を被ったループモノとして出来は良かったです。SNS風のtexiシステムや誕生日入力システムは、個性を出せていたと思いますし、その点でも前衛的な作品だったと思います。texiは日常シーンの彩りという役目の他にも、シナリオ的に重要な要素として使っても良かったかなーとも思いましたが。まあ、これはどこかで攻略には関係ありませんよとか明示していたので仕方ないですけどね。
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