チラシの裏に書くようなことを徒然と。
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PULL TOPよりこの大空に翼をひろげてです。
基本的には、一度自転車の夢が破れた主人公が、新たな夢、グライダーに乗ってモーニンググローリーを目指す物語です。モーニンググローリーとは気象現象の一種で雲がまるで一つの道のように何キロにも渡って連なる珍しい現象のことです。同じ部活の仲間と協力してグライダー(エンジンのない飛行機)を作る、なんてところはいかにも高校の部活っぽい青春モノですね。私としてはロケットの夏を思い出します。
共通ルートは5時間~10時間。あとは選択肢によって各ヒロイン5時間ずつといったところでしょうか。既読スキップの判定が厳しいのか、いまいちどこまでが共通ルートなのか分かりづらかったですね。まあ基本的には、1年目の夏、天音先輩と二人でモーニンググローリー越えに挑戦するまで、が共通ルートかな?
天音ルートだけは他のルートと少し展開が変わって、先輩の卒業時ガレージが取り壊されることがなく、そのままそこでグライダーの改造を行います。
ヒロインそれぞれの事情はありますが、おおまかな流れは一緒。最後のフライトを誰と乗るかが変わったり、変わらなかったり、主人公が乗らなかったりといった感じです。モーニンググローリー自体が起きないというルートもあったりしますがw
CG、BGMは無難なところ。一部イベントCGがちょっと歪んでたりで気になる部分はあれど及第点かと思います。しかし予算の都合上もあるのでしょうが、個人的には服装がその時々で変わらないのがいただけない。グライダー製作してるのに制服だったりきゃぴるん(死)な私服だったり、いざグライダー飛行!という時ですら私服って・・・。作業着とかツナギとかさ、パラシュートだって積んでんだろうからもうちょっとパイロットスーツみたいもの着せられなかったのかなあ。部活してるのに部活してる感じがビジュアル的な面で出せてないのは痛かったですね。学園が主軸ではなく部活がメインの本作品ならなおさらです。
テキストは特に癖もなく読み易い部類なのですが、主人公視点から何の演出も無しに三人称視点になったりは気になりました。また(赤面)とかのかっこ表現はシナリオライターの怠慢としてしか捉えられないので減点です。うーん私の頭が硬いのかなあw
総評:7点
で、シナリオ。以下完全ネタバレとなりますのでご注意をば。
個人的にはやはりご都合主義なれど王道直球ど真ん中である、小鳥ルート、あとは天音先輩ルートが好みかな。
小鳥ルートでは、告白の演出も良かったし、素直に感動できるシナリオ構成になっていて爽快感がありました。あの告白で堕ちない奴はいねえよ。その後の主人公のはしゃぎっぷりも、なんか青春って感じがしてすごく良い。変に斜に構えるんじゃなくてああいう体で喜びを表現する(飛行機ですけど)のってなんだか見てるこっちも嬉しくなりますよね。
後者はイスカの詳細が語られたのが良かったですね。作品の根幹、テーマが込められているルートなのでラストに回すのがオススメです。もちろん天音先輩が可愛かったのも良かったですが。最近ああいうダメな年上流行りなのだろうかw 個人的には大好物なのでどんどん流行って欲しいところです。
逆にあげは、風斗姉妹ルートはちと微妙。あげはルートは、正直主人公と同様にあげはにイライラしたし、風斗姉妹ルートは・・・うーんやはり登場が後半からというのはきついし、二股も好きじゃないしで・・・微妙でした。
シナリオライターの違い故か、結構ルートによってそれぞれの空に対する想いみたいなのが違ってるのが気になりましたかね。小鳥ルートなんかだと途中までは別にグライダーじゃなくてもみんなで楽しいことが出来ればそれでいいみたいな雰囲気ですが、天音ルートや風斗姉妹ルートなんかだとみんなして空に恋しているんだーみたいな雰囲気だったり。まあ前者ではヒロインの小鳥も展開が進むに連れて変わってたからいいのかな。最初は仲間増やしたくないとかほざいてて、あまりヤル気が感じられなくて微妙だったのが徐々に意識的にも変化していったのは良かったですかね。
他ルートの小鳥は碧との恋愛要素がない分、運動部系の活発で精力的な部長って感じになっていました。
しかし、全体的にソアリング部存続のために努力した感じがあまりないのが少し不満点かな。天音先輩卒業後の1年で免許取ったり、バイトしたりの準備はいいんですけど、部員数が不足しているっていう決定的な問題が解決出来てなかったり、顧問についても四苦八苦した感じがないですしねえ。
同好会の隠れ蓑で事前に準備を進める必要があった、とかならまだわからんでもないですけど、1年後に生徒会長になった朱莉さんにいきなり部に復帰させて下さいって頼んで、いやだから部員が足りないし顧問もいないっていってんじゃんでバッサリ切られて、ですよねーってバカなの?って感じがしちゃったんですよねえw 部員とか顧問とかっていう前提問題すら1年の猶予があったにも関わらず解決出来てないのがお粗末過ぎる。挙句の果てに部長は部員増やしたくないとかいってるし、もう好きにすれば?同好会として。っていう印象が途中まで拭えなかったのが残念。
なんというか、部としての条件は全てクリアしているにも関わらず、飛岡とかの嫌がらせで理不尽に復帰させてもらえない状態から、本人達が努力して実力で認めさせるっていう展開ならその部分にも少しはカタルシスがあったのですがねー。朱莉さんや飛岡が言ってることって殆ど正論ですしね。
反面、部として復帰した後の展開に関しては、引っ張る機械がぶっ壊れたり、滑空場が使えなくなったり、小鳥の家庭の事情が関わってきたりで、色々波もありながらも熱い展開で良かったですけどね。
世間でも割と批判の的みたいな感じで言われてるみたいですが、私もご多分に漏れずあげはルートはちょっと微妙でした。彼女の言ってることも理解は出来るけど共感は出来ない感じ。大切なものが変わってしまう、亡くなってしまう不安はわかりますが、だからといって碧の気持ちを振り回していいことにはならんですよ。裏でソアリング部のために色々してたって何も言わなきゃ伝わらんよ。秘密にしておく必然性が感じられない。
それにプラスして全体的にあげはのキャラが気に入らない。まあアレは売り言葉に買い言葉みたいなところもあったでしょうけど、小鳥ルートで小鳥が転校するかもしれないっていったときにじゃー私もやーめっぴーみたいなこと平気で言うじゃないですか。あそこは主人公もですけど、え?何、グライダーに対するあんたらの気持ちってその程度だったの、とか思っちゃうわけですよ。その場に空に憧れて入部してきたばっかりの亜沙がいるにも関わらずですよ。立派なガレージまで使わせてもらっといてそりゃあないですよねえ。
天音先輩ルートでのイスカの言葉、答えは自分の心に聞けば良いってのは割とこの作品の重要なテーマだと思ったんですけど、上記みたいな彼らの言動を聞くとなんだかなあ~って思っちゃうんですよね。つまりは、ブレすぎなんですよね、メインキャラ達が。まあ若いから仕方ないのかも知れないけども。時に空に恋してたり、恋してなかったりするから。
本筋に関係ないところだとあんちゃんとイスカの恋愛事情が気になるところ。なんだろうな、ユースティアの時もそうだったけど主人公とヒロイン以外のカップルの話ってほんわかするのは私だけですかね。あ、マー坊と朱莉さんはくっつくなよ。許さんよ。
ということで総評です。
総評
青春爽やか部活ストーリーモノとしては中々の良作ながら、各ルートの落差は多少感じるところ。テキストも読み易く、サブキャラも魅力的(カナコさんとかほたるとか)。萌えイベントよりもストーリーに重きを置いたエロゲが好きな人、爽やかな部活青春ものが好きな人には十分オススメ出来る作品です。細かい矛盾・・・というかおかしいところが気にならない人であることは必須条件かもしれません。
私的には好きなシナリオと好きなキャラがちょうど一致していたのがピンポイントに嬉しかったですね。
Nothing gold can stay
「たとえ大人になっても、青春時代の輝きを忘れず、その時代に魅力的だと感じたことをいつまでも変わらずに感じればいいのだ」
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