チラシの裏に書くようなことを徒然と。
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というわけで、逢坂剛の百舌の叫ぶ夜です。
家に積んであった小説の中から適当に見繕ったものです。・・・多分長門100冊の影響で買っておいたものだと思います。
自身を百舌と自称する殺し屋やターゲットの筧を尾行していた。しかしその筧は目の前で周囲を巻き込み爆死してしまう。場面変わって新谷和彦が赤井という男に連れられるシーン。そこで新谷は崖から突き落とされてしまう。さらに場面は転換し、一本のビデオテープを見る男のシーン。その映像の中には無残に殺されていく捕虜が映し出されていた。復讐を誓う男。
これが導入部です。既に情報量が多すぎてわけがわからないですが、このように本作は、誰か一人が語り部となって物語を引っ張るわけではなく、様々な人間の視点で展開されていくサスペンス小説です。新宿で起きた、爆破事件をきっかけとして様々な人間の思惑が錯綜し、物語は進みます。
文章は非常に硬派な感じで、余計な比喩表現等は殆ど使われていません。ミステリ小説でもあるみたいですが、それよりは事件を追っていく公安の倉木、捜査一課の大杉、そして殺し屋の百舌の動向をひたすら見て楽しむのがベストかと思います。
以下ネタバレなのでご注意をば。
本作にはトリックの肝として叙述トリックが組み込まれています。といっても叙述トリックといっていいのかどうか微妙なところですが、少なくともこの小説が1980年代に書かれたとは思えないですね。謎の殺し屋だった百舌ですが、中盤までは赤井達に殺されかけた新谷和彦と同一人物と見せていたのが、実はなんと双子の弟の宏美だった、というトリック。そして彼は子供の頃から父親に娘であるように育てられて、和彦の妹として生活していた、という当時からすればなんとも斬新な内容でした。いまから30年以上前に男の娘ですよ!?どんだけ時代を先取りしているのですかこの御方はw
たしかに今から見れば記憶喪失であるとか双子であるとかは多少陳腐な設定に見えてしまうのでしょうが、それを補って余りある内容の濃さ。倉木や大杉といったキャラクター達の濃さもまたそれを助長しています。この小説の面白いところは上記のようなトリックもあるのですが、一癖も二癖もある刑事達の熱い心理戦にありますね。倉木と大杉、どちらも理念は違えど非常に優秀な人材です。
もう一つ、作中では時系列トリックも仕込まれています。章が変わる際の番号の位置で、その章が現在を描写しているのか、過去を描写しているのかがわかるようになっているのですが、個人的にはここまでは要らなかったかなあと愚考。ただでさえ複雑な事情が錯綜する事件が、このせいでさらにチンプンカンプンになってしまうのですよね。いや、まあ私の読解力がないだけなんですけどw 本気であれこれ考えながら読みたい人には骨太で良い作品ですが、物語を楽しみたいだけの人にはとてもオススメ出来ない作品ではあります。
あとは明星美希という女刑事が登場しますが、主人公の一人として活躍しそうな雰囲気を醸し出しながら殆ど目立った活躍無しという体たらく。この娘要らなかったんじゃね。唐突に倉木に惚れてたりとかちょっと意味分かんないし。
本作は、公安警察を描く百舌シリーズの第1作だそうで、これ以降の作品にも倉木は登場するみたいです。倉木は正義の象徴である警察官とは思えない程、冷徹で冷静で、どこか狂気を孕んでいる面白いキャラクターなのでこちらもチェックしてみたいところですね。
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