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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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はい、というわけで囮物語感想です。

やはり八九寺が異例だったようで、本作も主役の千石撫子視点で語られる、自分と向き合う物語です。さて、本作については何を書いてもネタバレになってしまうので、早速ネタバレ注意ということでお願いします。




まさかの次回へ続くオチ。今まで伏線は散りばめるものの一巻で完結しなかった作品は無かったのでかなりインパクトがありました。このことからも氏のいうように、物語の締めに向かっている感じがありましたね。そしてまさかの撫子ちゃんラスボス化。いつものように阿良々木&忍が怪異を払って終わり・・・とはなりませんでした。バッドエンドです。


さて、セカンドシーズンは、既刊を鑑みてもキャラクターを壊す物語であったことは間違いないわけで、本作も例に漏れず、壊しに壊しまくっています。千石撫子というキャラクターに対し、失望した人も少なくないでしょう。物語中で撫子は羽川や神原以上に、否定され続けています。そして撫子自身も自分のダメさにホトホト嫌気が差しながらもそれを改善しようする意思もない。おとなしくて可愛くて、庇護欲を掻き立てられる彼女はそこにはおらず、無気力で自分勝手で真性のダメ人間が描かれているのです。あとがきで作者が撫子がとことん可愛いだけの小説です、と述べていましたがこれは皮肉たっぷりの表現だったわけですね。

一人称を「撫子」と名前で呼ぶ撫子。私的にはKanonの佐祐理さんを真っ先に思い出すのですが、その理由も似通っています。自分を自分として見れない、認めたくないその気持ちが名前≠自分となり、自分自身を他人ごとのように、俯瞰的に見るようになってしまった。まあ人間性は真逆といってもいいぐらい違うのですけどね。

余談ですが、こういう風に自分の名前を一人称にするキャラは古今東西結構いるとは思いますが、佐祐理さんや撫子のようにその背景が描かれているキャラって殆どいないんですよね。キャラの記号としての一人称の違い程度で扱われることが多いです。そういう背景のない自分を名前で呼ぶキャラは正直嫌いなのですが、そこに背景がつくだけで結構気に入ってしまうことが多いあたりミーハーなんだなあ、とか思ったりw



で、撫子の内面を巡るこの物語。シリアス一辺倒なのかと思ったら、意外にも笑わせてくれたのはポイント高いですね。クチナワとの会話もテンポがいいし、月火との会話なんてハラハラしたし。「な、なんのことかね・・・。」「しょ、証拠でもあるのかね・・・。」の辺りとか最高w なんだかんだいっても化物語の登場人物ってまともな人間性(≠まともな人間)を持った人物が多いので、真性のダメ人間である撫子視点は中々面白かったです。そして月火ちゃん正論過ぎるけどマジで怖いから。

クチナワの謀略に拐かされた可愛い撫子ちゃんをカッコイイ暦お兄ちゃんが颯爽と駆けつけ一件落着。みたいなのが王道のストーリーだったのでしょうが、西尾氏がそんなものを描くはずもなく、現実はなんと全部撫子の妄想で、全ては自分の都合の良い解釈によるものだった。まあきっかけは忍野扇の煽動によるものだったので、彼女(彼?)が黒幕とも言えるのかも知れませんが、撫子が行ったことは全て自分の意思だったわけです。公園の砂場を掘ったのも、教室でキレたのも、阿良々木宅に侵入したのも、全ては願いが叶うというオカルトアイテムを手にするために。

ガハラさんも忍も彼女の天然の可愛さを「魔性」と評していましたが、正にそれですね。この辺り凄く、家族計画の青葉姉さんと茉莉の関係を思い出すのですが、私だけですかねえ。



彼女の内面のダメさに、愛想が尽きた人も月火ちゃんのようにウザッたく思った人も沢山居そうですが、結構共感しちゃったのは多分私がダメ人間だからなんだろうなあw 

おとなしいから良い子な訳じゃない。当たり前の事なんですが、これって未だに勘違いされやすいですよね。こんな事やるような人に見えなかった、今まで問題を起こしたことはない、とかよくありますが、その人と深く付き合わずに外面の情報だけでよく人について語れるよなーとかいつも思うわけです。助けを求めないと助けを求めていないことにはならないように、何も喋らないからって何も意見がないわけじゃない。クチナワは撫子の心情を吐露していた訳ですけど、あーあるあるって思いました。

全体的に撫子の内面が自分を見ているかのようでもの凄い痛かったですね、正直w 



で、なんと撫子VS暦の最終決戦はガハラさんの機転により、卒業式の日まで延期されることになりました。半年間のモラトリアム。ガハラさんって身体的には全く普通の人間なのに、この溢れ出るカリスマと無敵感は一体なんなんだ・・・。忍野だか貝木が天才とは人より早く思考出来るやつのことだとか言っていた気がしますが、正しくガハラさんが該当しますね。阿良々木さんへのアタックといい電光石火という言葉が似合う御人だわ。素敵。

花物語はセカンドシーズンの後日譚であり、阿良々木さんや羽川、ガハラさんの生存は一応確認されています。このため、撫子ラスボス化による彼らの殺害は無かったものと推察されますが、西尾氏だしこのまま本当に丸く収まるのだろうか。撫子について誰も語っていないため、彼女が死亡してしまうというオチも考えられます。

ただ、丸くは収まらずともなんとなく撫子が死んで終わり、という結末にはならないだろうなとは予想しています。というのも彼女は確かに基本的にダメ人間なのですが、教室でキレた時に放った言葉は汚いながらも至極真っ当な正論です。小説のキャラクターにこんな事言うのもなんですが、中学生の時点であそこまでちゃんとクラスの事や将来の事とか考えてる人って普通居ないんじゃないかと思うんですよね。

少なくとも私はもっとずっと馬鹿でしたw 月火ちゃんは達観し過ぎて別格ですけど、撫子程に真面目に考えてる人だって早々いないですよ。青春だなんだと熱いことに斜に構えちゃうお年頃ですし、あの頃にもっとこうしておけばなーとか、大人になってからようやく気付いて後悔するのが普通なんじゃないかな。そんなことをあの年齢で気付けて、真顔で嫌な思い出なんて塗り替えようぜ!なんてことをまがりなりにも言えた撫子って委員長気質なんだと思います。それが彼女の持つ本当の個性。

撫子が本当に救いようの無い駄目人間ならば、討伐もやむを得ないのかもしれませんがこういう素敵な個性を持っている彼女ならば、きっと自分と向き合い直して戻ってこれると信じています。



ということで、囮物語。
結構引いてしまった人もいるような気がしますが、私は好きな作品です。非常に先が気になる作品で、この先の恋物語で結末が描かれるであろうため、単体での評価が難しいですけどね。

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