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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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LeafよりWhite Album2です。
 
本作に関しては、先にintoroductry chapterとして主要キャラクターの出会いと別れを描いた作品が発売されており、その後の本編として、closing chapterが発売されました。
 
私個人として、ファンディスクならともかくこういった分割商法は好まないため、introductry chapterをプレイする気にはなれませんでした。しかし、closing chapterを合わせたWhite Album2が各地で絶賛の嵐で流石に私も我慢が出来なくなってしまいましたw
今回introductry chapterとclosing chapterがセット販売されたのもちょうど良かったんですけどね。
 
 
で、内容。2とはいっても前作と関係あるのは森川由綺と緒方理奈の曲が3人の出逢いと思い出の曲になるといったぐらいで、前作をプレイする必要はないと思います。ビンタ合戦とか「ここがあの女のハウスね」とか知ってると感慨深くなったりニヤリとしたりするかも知れません。後者は厳密にはホワバ関係ないですけどw あとは「雨月山の鬼」とか過去Leaf作を知ってたりするとちょっと嬉しかったりします。
 
音楽が前作から引き継がれて重要なテーマの一つとなっていることもあってか、ヴォーカル曲やBGMの作り込みは非常に高レベル。また、立ち絵やイベントCG、背景なども老舗だけあって業界最高峰と言っていいでしょう。
 
演出面では、会話中や地の文の中でも教室内の他の生徒の会話や教師の話が流れていたりするのが結構新しく感じましたね。






総評:9点  (詳細は文末にて)

 
 
 
 
ではシナリオ。基本的には三角関係の顛末を終始描くものになりますので、胃薬を用意してからプレイするのがオススメですw 
 
以下完全ネタバレとなりますので、ご注意をば。私のメモ用に、ストーリー展開を適当に殴り書きしてかなりの長文となっていますので未プレイの方はご遠慮を。
 

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introductry chapter
 
生来のお節介焼きの元委員長・北原春希は、高校生活最後の文化祭で、軽音楽同好会の発表に向けて四苦八苦する。彼は音楽室でいつも自分の拙いギターに合わせてセッションをしてくれる会ったこともない謎のピアニストが気に掛かっていた。ある日、10年前に流行った冬の定番曲「White Album」をセッションしていた時、屋上から歌声が鳴り響く。屋上へ向かった先には、校内のミスコン3連覇確実とも言われる、同級生で学園のアイドル・小木曽雪菜がいた。そして、隣の音楽室でセッションしてくれていたのは、同じクラスで隣席の少女、そして世界的なピアニストの娘の冬馬かずさだった。
 
というのが物語の始まり。
 
 
いやーしかしですね。White Albumと言えば三角関係なわけですよ。実は前作については、プレイしたものの胃が痛くなり、途中で断念してしまった過去がありますw 今回もその点は変わらず、そしてシナリオライターが丸戸氏な時点で生っちょろい話になるはずもなく。
 
主人公の春希は、ある意味丸戸作品の典型的な主人公。色々な意味で完璧過ぎる。もちろん弱い部分も持っていて、そうでなくてはこの物語の主人公足りえないのですがしかしなあw 基本的に色々と人間出来過ぎてて、多少感情移入し難いところはあります。大介とか仁とか航とか、みんな過去に色々あったせいもあってか、年不相応に達観し過ぎなんですよ。もう少しダメな主人公でも良かったかな、とちょっと思ったり。あと毎度ながら睡眠時間をどれだけ削ったかが頑張った証みたいになってますけど、流石にもういいんじゃないのか。人間適度な睡眠取れてないと効率下がる一方ですよ。丸戸氏の作品に出てくるキャラはみんな頑張り過ぎてて少し引くわ。
 
 
最後に歌うのは、3人で作ったオリジナル楽曲「届かない恋」。それは、春希のかずさへの想いを綴ったものだった。連日連夜の猛特訓で何とか軽音楽同好会の発表を終えた3人。春希と雪菜とかずさはもうお互いが特別な存在になっていた。
 
 
春希に告白する雪菜。かずさの顔が頭をよぎりながらも届かない想いを胸に秘め、雪菜と付き合う春希。しかし誠実であろうとする彼の行動はかずさを傷つけることになる。その時から3人の歯車は狂い始め、互いに誠実であろうとする行動が彼らを傷つけていく。
 
出逢った時からかずさに焦がれ恋に落ちていた春希。凛として澄んだ歌声を持ち、飾らない素の表情をみせてくれた雪菜に惹かれながらもその想いを消すことが出来なかった。そしてかずさもまた、自分に弾くことの楽しさを思い出させてくれた春希に恋していた。雪菜は、どんどん親密になっていく二人を見て、三人で居られない未来を想像してしまう。そうならないために、いつまでも三人でいるための告白だった。誠実であろうとする一方で、互いに裏切り合っていた関係でもあった3人。
 
もうね、空港のシーンとか雪菜がってか3人が切なすぎて、号泣ですよホント。そして最後にオープニングの独白は春希ではなく雪菜のものであったことが判明します。前作をちゃんと終わらせておけばまた感じるものがあったのでしょうが、私的にはどうしても君望を思い出しちゃいますねえ・・・。
 
 
 
ここからclosing chapter、そして最終章codaへと続いて行きます。総合的なプレイ時間はかなりのもの。メインの二人に関しては1ルート20時間ぐらいあったんじゃなかろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
closing chapter
 
ウィーンに旅立ったかずさとの別れと裏切りから精神的にも物理的にも離れ離れになってしまった春希と雪菜。峰城大に入学して3年。春希は自覚的に女性を避け、いくつものバイトを掛け持ちして忙しない日々を送っていました。元々は雪菜と同じ学部でしたが、彼女から逃げるかのように。3年から異例の転部を行う春希。
 
伊緒や武也達のお節介な協力もあり、クリスマスにデートをして、ようやく失った3年間を取り戻せると思った時、二人の間にはかずさがいました。それは春希がバイト先で初めて任された特集記事。世界的に有名になりつつある新鋭ピアニスト・冬馬かずさの過去を綴ったもの。その内容と、春希の行動にどうしようも無いほどのかずさへの愛情を感じ取ってしまった雪菜は彼を拒絶する。
 
春希はそれからは雪菜のために出来ることを全て行うようにする。何時間も電話を掛け、子守唄替わりにギターを練習して聞かせる。少しずつ心を開いていく雪菜。それでも3人で作った「届かない恋」だけは聞くことを拒んでしまう。彼女は歌を歌えなくなってしまっていたから。
 
柳原朋の策略で、バレンタインコンサートに出演することになってしまった雪菜。峰城大学で、伝説の一曲としてヘビーローテーションまでされている「届かない恋」。けれど3人だった頃を思い出させるその歌を雪菜はもう歌えない。しかし春希は彼女に歌を謳わせることを決意する。かずさのことを想って作ったその歌を雪菜と発表することで、かずさを振り切るために。
 
バレンタインコンサートを終えた後、雪菜と約束した通りに、二人は春希の部屋に直行し失った時間を取り戻すかのように愛し合うのでした。
 
 
それからさらに2年後、晴れて社会人となった春希と雪菜。どんなことがあっても1週間に一度は必ず会うというルールを自分達に課した彼らは、春希の一週間のフランス・ストラスブールへの海外出張を機に現地で落ち合う事を約束していた。待ち合わせ場所に急ぐ春希。そこで出会ったのは雪菜ではなく、かずさ。5年振りの再会だった。
 
といったところで最終章codaへと続きます。
 
もうね、かずさの出番はなかったとしてもclosing chapterだけで幕を閉じてもおかしくないぐらいの出来です。紆余曲折なんて言葉では言い表せないぐらい色んな感情が渦巻いて、本当にようやく結ばれることが出来た春希と雪菜の姿に、ひたすら感動。ただし、この時点では世間で言う程の評価を受けるべき作品だろうかと、多少疑問の余地があったのも事実です。
 
伊緒と武也もイイ奴だし、柳原朋なんてもう何あの可愛い生物。ミス峰城の座を雪菜からようやく奪ったのにも関わらず、大学に入ってからもひたすら雪菜にちょっかいを出し続けたその真意は、3年前の軽音楽同好会の雪菜の歌に誰よりも感動してしまった雪菜のファン1号だったから。伊緒とはまた違った、平気で悪口を言い合える友達になったのは良かったですね。彼女の行動も別に雪菜のためとかじゃなくて自分が雪菜の歌を聞きたかっただけなんだろうなーと思います。そう考えると、本当は誰よりもワガママで自分が幸せになるために周りの人も幸せにして欲しいーなんて無茶をいう雪菜と本質的に似ているのかも知れませんね。
 
 
 
最終章coda 雪菜ルート
 
再会してしまった二人。秘めただけの思いは消えることはなかった。素足で雪の中を走っていたかずさをそのままにしてはおけず、雪菜との約束を破ってかずさの応急処置を行う春希。
 
一方でかずさは、ホテルの前で見かけた春希の姿を追ってそこまで走ってきたのでした。そして日本公演を決めたのもまた、再会した春希が「かずさのピアノが聴きたい」と言ったから。
 
雪菜を裏切り続けながら、かずさの独占密着取材を行うことになった春希。
 
揺れ惑う春希は、かずさの公演日に出張中の雪菜の元へ行く。自分のミスで落ち込んでいた時にちょうど来てくれたことを喜ぶ彼女でしたが、春希の告白を受ける。かずさと今は隣人同士で取材していること。どうしようもなくブレる自分の心。それを聞いた雪菜は、彼を叱咤し、今一番かずさが必要としているのは春希だから、彼女をを助けてあげて欲しいと言う。
とんぼ帰りした春希でしたが、開演はおろか終演にすら間に合わなかった。そして行方不明になってしまったという冬馬親子。プロの耳からすれば厳しい評価を受けたその日のかずさの演奏。それは他ならぬ春希のためにという目的を失ったが故の失敗だった。
 
方々探し周り、一つだけ探していない場所に気付く春希。それは「もうここには二度と来ない」とかずさが言った元実家であり、軽音楽同好会合宿の地だった。家の中で蹲っていたかずさはピアニストの命である手を怪我していた。自暴自棄になるかずさを止める春希。そして本音を暴露するかずさ。春希のことを5年間ずっと思い続けていたこと。春希のために日本公演を決めたこと。今だけでいいから、もう一度だけ抱いて欲しいと願うかずさに対し、春希は顔を背ける。春希の心は大阪まで雪菜に会いに言った時点で結論が出ていた。かつて一番大好きだった人の向こうに今一番大好きな人を見てしまう春希は、かずさの心を受け入れることは出来なかった。
 
泣きじゃくる彼女をなだめ、とりあえずはマンションに連れ戻ることに。
 
 
かずさを保護した後、同じく行方不明だった冬馬曜子の行方を掴んだ春希は、衝撃の事実を知る。曜子さんが日本公演を急いだ理由。タクシーを緊急でもう一台用意した理由。彼女は白血病に侵され、もう昔のようにピアノを弾くことは出来なくなってきていた。かずさに日本でのしがらみを絶ち切ってもらうために、日本公演を決めたのだった。彼女のその思いと追加公演を成功させるために、このことをかずさに隠し通すことを決める春希。
 
 
献身的に看病を続ける春希。追加公演まではかずさのことだけを考えることを決めた春希でしたが、女としてのかずさの鋭さを見誤り、雪菜にメールを送っていた時の、かずさの目の前で雪菜のことだけを考えている時間を糾弾され、またしても彼女を傷つけてしまう。そして春希の不自然な行動も看破されてしまう。
 
母親の病状を知ってしまったかずさは、ショックを受けホテルに引き篭ってしまう。またしても彼女を護ることが出来ず、ボロボロになってしまった春希は、雪の中で一人佇む。
 
今まで何度も送り続けてきた雪菜へのメール。一度も無かったはずの返事は、彼が助けを求めたときには即座に帰って来ました。自分じゃなくて、かずさを助けて欲しいという彼の願いを受け奮闘することを決める雪菜。かずさを救うためのバトンは春希から雪菜に渡される。
 
春希の開桜社、雪菜のナイツレコード、かずさの冬馬曜子オフィス。既にアンサンブル増刊号として冬馬かずさ特集を発売することが決まっていましたが、そこにナイツレコードとのタイアップのミニアルバムを付録として付けるというプロジェクト。かつて子供だった頃3人だけで作った輪は一度壊れ、大人になって社会のしがらみによって再び輪を作った。
 
雪菜とのホワバ恒例のビンタ合戦を繰り広げ、ようやくその胸の内を曝け出すかずさ。仲間外れになるのが嫌だった。春希を奪われたのが悲しかった。雪菜が妬ましかった。こんなに醜い自分が嫌いだった。狭い世界の構成物を二つも失くして、生きていける自信なんてない。そんなかずさを優しく諭す雪菜。かずさには新しい世界を作る力がある。何故なら3人を繋げたのはかずさのピアノだったのだから。そして今日本中の人々に届ける機会すら与えられている。
 
ダメ押しに、春希が子守唄替わりに雪菜に聴かせていた、雪菜だけのためのギターをかずさに聞かせる。親友を救うためなら約束を破ることも厭わない少女。それが雪菜だった。
 
 
 
ようやく追加公演もミニアルバム収録も「やる」と決意したかずさ。一度そう決めたかずさの行動力は目覚ましく、それはあたかも5年前の文化祭の時のようだった。
 
ミニアルバムの名前は「White Album」。そしてボーナス・トラックには、作詞:北原春希 作曲:冬馬かずさ 歌:小木曽雪菜の新曲「時の魔法」を収録する。
 
追加公演は絶賛の嵐で大成功を納め、帰ってきたかずさは自分の決断を二人に話す。もう日本に未練もしがらみもない。だから日本にいる理由もなくなった。・・・そして日本にいない理由もなくなったんだ、と。いい性格をしているかずさの雪菜へのちょっとした意地悪。かずさはウィーンで高みを目指すのではなく、母の側で自分の中の冬馬曜子を超えるために、何よりもずっと3人でい続けるために日本に住むことを決めます。
 
全てを終えたスタジオ。雪菜は先に外に行き、残るのは春希とかずさの二人だけ。いつかの音楽室と同じ状況のスタジオで、かずさは今だけは雪菜のところへ行くように春希の背中を押します。
 
春希と雪菜はお互いの気持ちを確認する。今でもかずさのことが大好きなこと。それはこれからもずっと変わることがないであろうこと。そして愛してるのは雪菜ただ一人であること。一生を共にしたいと思っていること。雪菜もまた醜い自分をさらけ出す。春希からのメールは全て返信用のメールを打っていたこと。それでもその自分の黒い感情が滲み出ているメールは、嫌われるのが怖くて送ることが出来なかったこと。5年前に壊れ、2年前に修復し、そして今壊れかけていた絆が元に戻る。
 
「時の魔法」をBGMにエンディング。春希と雪菜の結婚式を背景にして。
 
 
 
ふーというわけで雪菜ルート完了です。
 
私自身が忘れないためにストーリー展開をざっくりとまとめてみましたが・・・いやー長かったw 長かったけど面白かった。素晴らしかった。感動した。
 
他のシナリオはまだ終わっていない時点での感想ですが、現時点をもって本作が丸戸氏の最高傑作であることを認めよう。ショコラの加奈子さんシナリオやパルフェの里伽子シナリオ、こんにゃくの「約束の日」。どれも素晴らしいものでしたが、それらと比べても頭一つ出る程の完成度だったと思います。
 
そう、完成度。完成度が異常に高いと思うんですよね、本作は。なんかもう色んなところでボロボロきてたせいもあるんですが、ドカーンとくる号泣シーンがあるわけではなかった・・・と思う。introductry chapterの伏線をcodaで回収したり、メールのやり取りだったり、音楽の使い方だったり。そういう色んな仕掛けや要素が物語の完成度を高めている。雪菜からの返信がないことにやきもきしたりね。
 
 
これだけ重くて切なくて痛い内容のシナリオがすごく上手く着地するんですよ。紆余曲折を経て、何度も辛い思いをしながら誰もが期待したハッピーエンドに。三角関係を描くシナリオでフラれてしまう側の想いに納得した上でのハッピーエンドを迎えられた作品って、寡聞にして知らないです。
 
私としては本作の三角関係は、やっぱり不朽の名作・君望と比較しちゃいます。どちらの方が良いなんていうのは中々言えないのですが、White Album2の方が少しだけ優しかったのかなと思います。人や状況やその他色々において。孝之は自分の意志とは無関係にそうせざるを得なかった理不尽があった。対して春希は状況に流されながらも自分の意志でかずさを支えていった。そして二人の恋愛を一歩超えて三人の友情を描ききったことに最大の違いがあったな、と。
 
それは良い悪いの問題じゃないんです。君望の遥や水月が一人でも立ち上がれる強さを持っていたり、あるいは手に入れたこと。本作のかずさが嘘つきで弱くてビビリだったり、雪菜が我侭で強欲で、自分以外も幸せでないと我慢出来ない性格だったこと。そういったものが最後の3人の関係に違いを生み出したのかなーとか思いました。
 
1人で立ち上がって3人になるのか、3人で立ち上がって3人になるのか。みたいな違いですかね。
 
 
 
coda かずさルート(ノーマル)
 
かずさルートは、codaにて、かずさ寄りの選択肢を選ぶことで入る模様。決定的なのが、一度目の日本公演後に、自暴自棄になったかずさを見つけて抱くことを選ぶところだと思います。
 
それは春希とかずさの裏切りの物語。
 
そこから、二人は追加公演が終わるまで、冬が終わるまで、5年前のあの日のように共犯者となることを望む。雪菜とは心から愛しあい、かずさとは嘘を取り繕って。みんなが幸せになれる嘘を貫く。春希がかずさに囁く愛してるという言葉は、嘘とわかっていながらもかずさの心を安定させていく。。嘘だからと自分を言い聞かせながら、かずさが好きだと言わずにはいられない彼の本当の気持ちはどこにあるのか。
 
 
かずさの歪で純粋すぎる想いをぶつけられた春希は、ずっと隠し続けてきた想いを吐露する。かずさへの想いは一目惚れだったこと。初めての恋だったこと。かずさの気を引きたくてギターを練習していたこと。即物的で最低な告白は、けれどかずさの想いを醒めさせることなどあるわけもなかった。
 
 
家族みんなで祝うはずだった雪菜の誕生日。その日は婚約を両親に告げる神聖な日になるはずだった。しかしかずさからの涙に滲む祝福の電話を受け、キャンセルしてしまう春希。もう人目を憚ることもせず、お互いに求め合う二人。仕事もズル休みをし、誰とも連絡を取らず、蜜月の日々を送る二人。春希は、雪菜の事が頭をよぎる度に苦痛に苛まれるようになった。
 
 
旅行に出かけることを決める二人。そこは5年前に永遠の友情を誓った場所。あの雪の中の温泉旅館だった。そこで結婚を誓う。しかし最後にそれを拒絶するかずさ。
 
 
自分のために全てを捨ててしまうような、壊れてしまった春希が自分の愛してる春希であるはずがない。これ以上自分のために壊れていく春希を見ていることは出来ない、と。それは誰よりも春希を愛しているかずさが、自分のその場限りの幸せじゃなく、愛する人に長く幸せな人生を歩んでほしいと願ったからだった。
 
 
世界に背を向けた春希は、自分の周りの優しい人たちのおかげで社会復帰をする。そして雪菜から送られたかずさの追加公演に足を運ぶ。それは決別のコンサート。
 
壊れた春希を助けられるのは、護れるのは雪菜の世界だけ。春希しか存在しないかずさの世界では、春希をただ愛することしか出来ないんだ、と告げるかずさ。雪菜もまた二人のことを知っていて何も言わず待ってくれていた。そんな雪菜のことを考えなくて済むように心を閉ざして壊れていった春希。
 
 
コンサートが終わった時、一度も春希を見ることはなかったかずさ。この日を境に、冬馬かずさは春希の前から姿を消した。
 
 
 
一年後。かずさが去り、雪菜に別れを告げたあの日。初めてライブハウスで雪菜の歌を聴く春希。その歌声は、かずさに勝るとも劣らない魅力を持ったものだった。
 
アンコールの途中で抜け出してきてしまった春希を追ってきた雪菜。1年前のあの日。半年以上も立ち直れなかった春希に対し、雪菜は一週間で自分の気持を整理し献身的な介護をした。雪菜のおかげで立ち直れた春希は雪菜とともに歩んでいくことを誓う。
 
 
 
・・・ということでかずさルートクリア?
 
いろいろと感動はしたのですが、少し終わり方が納得行かない気がする。あまりに雪菜が都合のいい女過ぎて。それが雪菜っていう女だと言われればそうなのですが。
 
 
 
というか、ね。かずさと幸せになるルートがない訳ない・・・よ・・・ね?頼むよ、雪菜もいいけど、かずさの幸せな姿も見たいのですよ。
 
んーもしかしてルート間違えた・・・?w 雪菜ルートに比べて少し盛り上がりに欠けたような気もするので。
 
 
ということでさっきのはバッド、いやノーマルエンドだったっぽいですね。
 
 
 
実際のかずさルートは、雪菜ルートと途中まで一緒で、かずさが曜子さんが白血病であることを知ってしまって、雪の降る町中で春希が途方にくれるところで分岐するっぽいですね。3人の分岐点はいつも雪が降っていたってね。ということで以下かずさトゥルールート。
 
 
coda かずさルート(トゥルー)
 
雪菜ルートとは違い、かずさのダメな部分、弱い部分を引っ括めて、自分が護りたい、かずさが一番好きだと春希が認めます。かずさの「手の差し伸べるべき誰か」になりたい、と。
 
ノーマルエンドでかずさがその道を一瞬提示しながらも春希が選ぶことが出来なかった道。かずさのために全てを捨てること。それが例え日本という地を捨ててウィーンに行くことになっても。
 
 
考える時間を置いた二人。5日後の雪菜の誕生日の日。かずさは春希に告げる。雪菜を裏切って欲しい、ずっと側にいて欲しいと。本当は誰よりも弱くて臆病な彼女が、本当に大好きな雪菜を傷つけてまで春希が欲しいと告げる。
 
雪菜を裏切ると決めた春希はまたあの苦痛に苛まれていた。
 
 
そして雪菜にはすべてわかってしまっていた。2年前に心が通じ合った時にそれは決まっていた。雪菜の言葉を遮り、別れを告げる春希。それは5年前から幾千と紡いできた雪菜への想いをすべて否定する言葉。
 
 
かずさのコンサートの日、雪菜の体に逃げた春希。それは春希が揺らいでいるなによりの証明でもありました。
 
一方、曜子さんについては説得することは叶わず、彼女は日本に残るという決意を覆すことはなかった。
 
 
職場への辞表と事務処理も終えた春希は一部始終を武也達に告げる。伊緒達の怒りを受け流した武也に春希はかずさの置かれた状況を話す。そのことは雪菜に正直に話すべきだという武也。きっと雪菜は一緒に背負ってくれるだろう。そうしたらもっといい答えがあるのではないか。武也の提案は、まるで雪菜ルートのハッピーエンドへと誘うかのような甘い誘惑。それでももうダメなんだと春希。幸せな3人の結末で幸せになれない二人が残るだけ。武也は必死に春希を引き戻そうとする。それは春希が大切な親友だから。庇えなくなるから。軽蔑してしまうから。
 
親友との別れの後、間髪入れずに訪れる小木曽家との決別。
 
 
追いかけてきた雪菜はまた3人に戻ればいい、自分もウィーンに行くという。春希は否定する。いまさらそれをするには雪菜を愛しすぎてしまっていること。必ず二人が不幸になってしまう。そして雪菜は周りの人間を不幸にして生きていける人間ではないこと。かずさはけじめを付けるために雪菜を呼び出す。しかし3人でいられる方法を考えることしか出来ない雪菜は少し壊れかけていた。雪菜にそんな想いをさせてしまったことへの報いとしてかずさはピアノを失うことを選ぶが、雪菜の無意識の行動でそれも止められてしまう。
 
 
かずさの追加公演の5分前に朋からの連絡が入る。雪菜が行方不明とのこと。雪菜は別れを告げた海岸の公園にいた。そして小木曽家の子供としての自分を捨てられないことに気づく。春希はかずさにもしも側に居ない時は、かずさを護るためにいないだけだから何も気にする必要はない、と事前に諭していた。
 
雪菜は交通事故に合っていたが、二人を心配させないため、コンサートを台無しにしないため、傷ついた体で一人佇んでいた。去っていく春希を見届けた後倒れてしまう彼女。
 
 
雪菜に捧げたギターを残してウィーンに旅立つ二人。捨ててきた様々なもの、雪菜を想い号泣してしまう春希の傷を癒すように寄り添うかずさ。ノーマルエンドで、壊れた春希を癒すことは出来ないといっていたかずさですが、きっとこのときの彼女は、春希の傷を癒すことが出来ていたと思います。
 
 
2年後。かずさのマネージャーとして忙しい日々を送る春希。そんな二人の元に曜子さんからの動画ファイルが送られてくる。覚悟して聴くようにという曜子さんのメッセージに嫌な予感がよぎる二人。そしてその内容は、ギターを手にする雪菜の姿。元気ですか?私は今も歌っています。
 
 
ということでかずさのトゥルーエンド?完了。
 
うん、なんというかこちらも色々と持っていかれたのですが、かずさルートでは、みんなが幸せでいられる雪菜ハッピーエンドが理想のように描かれます。まるでさっきまでプレイしていた雪菜ルートが夢物語だったかのように。この演出が憎いですよねえ。プレイした時はよくまとまったと思っていた雪菜ルートがとたんに胡散臭く見えてくる。時は決して巻き戻せないから。5年前と同じ関係には戻れないから。
 
登場人物みんながそのハッピーエンドに誘う中、春希はかずさへの想いだけを糧に孤軍奮闘する。
 
職場や友人、小木曽家との決別とかは、こういう三角関係ものではそこまで詳細に描かれることはない(と思う)んですけど、本作では裏切りの代償を春希を通じて全部体験させられるんですよね。職場の先輩達はそれまでの春希の真面目な態度とかもあって、最終的には送別会までやってもらえましたが、小木曽家が辛すぎる・・・。ゲーム中でも屈指の胃が痛くなる場面ですね。
 
あとかずさルートでは武也がいつにも増していい奴なんですよ。伊緒との関係が悪くなっても、なお春希を説得しようとしてくれる。そんな最高の親友とも決別してしまう。
 
嬉しくて感動出来る雪菜ルートに対し、悲しくて感動するかずさルート。色々な意味で両極端なシナリオでもありましたが、どちらも選ばれない側の魅力が主に描かれていたのが共通していますね。
 
 
 
杉浦小春
 
えーと正直メインの二人以外に春希が揺れるのが君望と同じくどう考えてもありえないのですが、
一応。
 
メインの二人以外はclosing chapterで終わるみたいですね。
 
小春希と武也に呼ばれる程、春希のように真面目で世話焼きな後輩。塾の講師のバイトをしていた折に惚れられた峰城大付属の後輩の親友。お節介が高じて春希と親密になっていく。
 
雪菜に拒絶された夜に、話しを聞いてくれたことがきっかけで、二人の仲は急速に深まっていく。しかしそれは、二人の出逢いのきっかけでもある、美穂子に対する裏切りでもあった。親友の彼氏を寝取ったということでクラスから孤立してしまう小春。それに連れ春希への依存度が高まる小春。なんやかんやあって、まもなく小春の卒業。仲違いしてしまった美穂子は、小春と一緒の大学には行けないと、推薦を辞退してしまう。それを知った小春は、春希と相談してある決意をする。それは推薦を辞退して芸術大の名門の試験を受けること。二人はファミレスのバイトも辞め1ヶ月間つきっきりで勉強をする。試験の終了後に小春を待っていたのは春希ではなく雪菜だった。春希によく似ているという小春と一度会ってみたかったという雪菜。思った通り素敵な女の子だった、そして春希のことをよろしく頼むと言って小春を春希の元に急がせる。店の外から見えた雪菜は泣いていた。実は雪菜との別れは小春とのマンツーマンでの勉強の前に既に済ませていたのでした。
 
1年浪人し、小春は大学に受かる。そこに一本の電話。仲違いしてしまった親友からの卒業旅行の誘いの電話だった。
 
という感じ。それなりに良いシナリオだったとは思うのですが・・・前提がなあ・・・w なんにせよ雪菜が健気過ぎて全俺が泣いた。
 
 
和泉千晶
 
転部した春希のゼミ仲間。春希に「女」を感じさせない安心して付き合っていけると感じさせた女性。小春と同じく雪菜に拒絶された夜から分岐。
 
千晶に慰められた春希は、そのまま堕落した生活を彼女と共に送ることで少しずつ心の傷を癒していく。一方千晶は、目的があって春希に近づいていた。長瀬晶子という偽名で雪菜と友達になり、彼女の過去を探る千晶。そして春希からも峰城大付属の頃の話、軽音楽同好会の話も聞き出していた。
 
彼女の正体、それは演劇のために全てを賭ける峰城大演劇部の花形スターだった。そして付属時代からの同級生で、旧姓は瀬能といい、学内のワースト10に入る生徒でもあった。春希達が出演した文化祭の演劇「雨月山の鬼」で一人芝居を行った彼女の演技は見る者を魅了するほどの鬼気迫る演技だった。それを武也から知らされる春希。彼女の目的は、同じ文化祭で見た、軽音楽同好会の中に渦巻く物語を紐解き、それを演じること。そのために春希に抱かれ、雪菜に近づいたのだった。
そして春希に見せていた「和泉千晶」という女は、雪菜のように可愛い女の子でもなく、かずさのようにカッコいい女でもなく、春希に世話を焼かせ、興味を抱かせる性格を考え、演じたものだった。
 
千晶に裏切られたことを理解した春希は同時に気づく。雪菜に拒絶された時と同じ悲しみを抱いていることに。3日間寝込んだ春希の元に雪菜が看病に来てくれる。それをきっかけに二人は少しずつ和解していく。
 
千晶から渡された演劇「届かない恋」のチケット。春希と雪菜をその演劇を見に行く。
 
和希、雪音、榛名と名を変えた彼ら3人の物語は、原作者達の目の前で演じられていく。その物語は微妙に事実と異なっている。例えばキスを交わしたのは、文化祭の後、後夜祭で春希と雪菜。しかし千晶は、コンテストの前、和希と榛名と相手と時間を変えた。
この辺り、本来かずさと雪菜しか知らなかったはずのファーストキスの相手を千晶が知っていたのか、自分の考えで変更していたのかは、定かではありませんが、後者な感じはしますね。
 
3年後の物語も榛名はピアノを捨て春希の側に寄り添い、雪音はアイドルとして活躍しながらも春希への想いも捨てない。それは、春希を愛するために何も捨てない、決して諦めない初芝雪音という少女の物語だった。それは和泉千晶であり、瀬能千晶であり、瀬乃内晶でもあった。
 
演劇を見る前に既に雪菜とは決別していた。そして千晶の本当の気持ちを知るために演劇を見るこことにした。
 
演劇が終わり春希の姿を探す千晶は春希と出会う。彼女は演技を続ける。とっくに治っているその傷を隠して、春希の側に居続けるために。
 
 
とにかく千晶役の声優さんが凄すぎるわ。サブヒロイン3人の中では一番好きなシナリオですね。独特で物語の着地点が素晴らしいの一言。そして千晶が演じた「届かない恋」ではメタ的にWHITE ALBUM2という物語を統括してユーザーに伝えてくれます。この物語が小木曽雪菜という少女を描いた物語だったことを。
 
そういう意味では最後に千晶シナリオを持ってくるのもプレイ順的には順当な気もします。なんというかちょっとネタバレですのでw かずさエンドのギターを弾きPowder snowを歌う雪菜を見て、「ああ、これって雪菜の物語だったんだな」って理解するぐらいの間抜けさでちょうどいいと思う。
 
 
 
風岡麻理
 
 
バイト先の出版会社「開桜社」の上司。仕事の鬼で冬馬かずさに関する仕事を春希に依頼してくる。
 
他サブヒロイン同じく、雪菜に拒絶された夜からの分岐です。他のヒロインはほとんど雪菜絡みの話になるのですが、麻理さんだけはかずさ絡みの話になります。といっても実際にかずさが出てくるわkではなく、その性格や見た目がどこかかずさと似通っているためですね。
 
というか麻理さんがやべえ可愛いですねw なんだよもうあの可愛い生物は。声優さんの時点で既に落されてるんですけどね。さえちゃんとかダメダメな年上を描かせたら丸戸氏の右に出るものはいないわ。
 
しかしながら本ルートでは自分より立場が上な麻理さんが相手故かいつもの世話焼きな春希はなりを潜め、ヘタレ化してしまいます。絶対に許さない。なんか丸戸氏シナリオで私が気に入るヒロインのルートで主人公がヘタれたりイラついたりする率が高すぎる気がするぞ。翠しかりカトレアしかり。ファック。
 
他ルートなら多少は感情移入出来ていた春希が、麻理さんルートでは全くこれっぽっちも毛の先程も感情移入出来ないのが痛い。雪菜とかずさがいない世界で麻理さんルートやり直してくれんかね?

そして麻理さんルートでは、他のサブヒロインルートと同じく雪菜との別れが待っています。ここでは、3年前の誕生日、雪菜はたった一人で春希を待っていたことを告白します。春希をつなぎ止めようとする雪菜が切なすぎる。

で、空港に間に合わなかったと思われた春希は、最初から佐和子さんとの共同作戦でアメリカに先回りして麻理さんを待ち受けていた、というオチでハッピーエンド。この行動力は丸戸主人公としての面目躍如といったところ。何かのギミックがあるだろうなーとは思ってましたが、まさか先回りとはw やるじゃん春希。
 
 

 
全体的な感想
 
とりあえず全ルート終えたので全体的な感想をば。三角関係を描いたシナリオとしては、最上級の作品と言っていいと思います。誰も死なない、奇跡も魔法もない、そこにあるのは人間ドラマ。選ばれた幸せになるヒロインを描くとともに、選ばれなかった不幸になるヒロインのドラマさえも描ききった作品。
 
WHITE ALBUM2というタイトルが内包するテーマを考えると、トゥルーエンドとしてはかずさトゥルールートが正しく適当です。しかしそのかずさ以外の全てを捨てるシナリオの前に、雪菜を愛しながらもかずさを救い、何も捨てないみんなが幸せになれるハッピーエンドをプレイ済みであることが、かずさルートの切なさを幾重にも高めている。もちろんそれは雪菜ルート単体でも素晴らしい出来であるが故の感動です。

というわけで世間一般的に雪菜ルートを最後に回した方が良いという方が多いとは思いますが、私個人としてはかずさルートを最後に回すのをオススメしたいです。
 
 
 
雪菜ルートは紆余曲折ありながらもなんだかんだでハッピーエンドになりました、といういつもの丸戸氏が描く丸戸シナリオであり、かずさルートは丸戸氏が描くホワイトアルバムだったのですね。
 
この二つのシナリオは正に陰と陽で、かずさが全てを幸せにすることは出来ないし、雪菜は自分一人だけが幸せになることは出来ないんですよね。この二つのシナリオとヒロインの対比が本作の最も素晴らしいところだと思います。
 
どちらが好みか、といったら個人的には雪菜ルートです。しかし唯一無二だと思えるのはかずさルート。
 
雪菜ルートはたしかに感動出来るし、文句の付けようがないハッピーエンドなのですが、これに近いものは他の作品で味わえると思うのですよ。しかしかずさルートの様々なしがらみとの「決別」から生まれる切なさは、多分WHITE ALBUM2以外では味わうことが出来ないと思う。故に、その両方を楽しめる本作は素晴らしいと言えるのでしょうけど。
 
 
また本作に関してはHシーンの扱いが他作品と比べて重要です。雪菜以外とのHシーンは全て背徳感に溢れるものであり、雪菜を裏切る行為。大体せつなさみだれうち。かずさノーマルシナリオ中の、隣にかずさがいる状態でのHシーンも切ない。かずさが、ですけどね。
 
 
賛否両論の的であろう主人公について一つ。はっきりいって彼は、悪名高き孝之よりも酷いことをしていると言えます。何故なら最初から自分の意思でかずさを選ぶのだから。雪菜への裏切りは数えきれず、息を吸うように嘘をつく。それでも丸戸主人公としての内面が彼をなんとか主人公としての名目を保たせている、危ういバランスの上に存在している。しかしながら彼が何事にも揺れることのない強い精神を持っていたら、introductry chapterでかずさにブレることもなかったか、あるいは雪菜の告白を断っていたでしょう。故に切ない物語は誕生しなかったわけで、そういう意味では最も割を食った形とも言えます。

しかし、一部ではクズ主人公とも言われてる彼ですが、彼を孝之と同列に扱うのは良いですが、スクールデイズの伊藤誠なんかと同列のクズとして扱われるのは流石になんだかなあ、と思いますね。二人の女の間で揺れたらクズ?それを言うなら本人も言ってたように武也なんて死刑ですよw 同じ心情で同じ環境にいて心が揺れない人間なんているんですかね?いたとしてもそんな冷徹な人間に感情移入出来るかって話です。そりゃあ中には納得行かない行動とかもあるし、別に擁護するつもりもないんですけど、感想などを色々巡ってみると、主人公がクズな時点でクソゲーみたいな意見もちらほらあって、それが少し残念だなあと思いました。
 
 

で、もう一人の主人公の話。この物語にはもう一人の主人公がいます。それは小木曽雪菜。この作品は小木曽雪菜という人間をどう表現するか、ということに注力している作品でもあります。introductry chapterでは空港でかずさの元に走った春希を見送る雪菜を。サブヒロインルートでは雪菜との決別を。closed chapterでは3年越しでようやく叶った恋愛に幸せを感じる雪菜を。そしてcodaでは、何度裏切られても春希を諦めない、何も捨てない強い雪菜を。I still love youと歌った彼女を。それは千晶シナリオの演劇「届かない恋」でも表現されています。
 
またメインシナリオだけでも十分に名作と言える上に、三角関係ものでは蛇足になりがちな、サブヒロインの物語も決して悪くない出来であったのも作品としての完成度の高さを示しています。上述のような、テーマ性も含め、特に千晶シナリオは必見。ただ、まあやっぱり雪菜とかずさ以外に春希がなびく、という時点で不自然極まりないのはもうどうしようも無いんですけどね。そのあたりccでかずさが日本にいないことが、春希の逃げ場を狭める役目を果たしていたのでしょう。麻理さん可愛すぎるしね。
 
 
 
 
総評
 
で、とりあえず、総評。
割と天邪鬼な私ですが、エロゲ史上最高峰と称される本作品。十二分に楽しめました。月並みな言い方ですが、これだけの作品に一体何度出会えるだろうか。人間ドラマだけを描いた地味な作品であるはずなのに、読み進めずにはいられない。感情移入せざるを得ない。睡眠時間を削ってまでプレイしたゲームは久しぶりですよw まあ本作自体プレイ時間が相当掛かる長いお話だ、ということもあるのですけど。
 
シナリオ、音楽、CG、演出。全てに置いて高レベルで名作と呼ばれるに相応しい作品です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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Comment
無題
興味深く読ませていただきました。
雪菜を裏切れずかずさルートを見れないヘタレです。
私自身は春樹が苦手です。クズとまでは言えませんが最低だと感じます。それは「ほとんどの人物に対して自分を許してもらうために浮気をした具体的な事実を相手に全て告白する」ところです。自分が楽になるためと言ってもいい。ヒロインたちに責任を押し付け許しを乞う。完璧主義で相手には自己責任を求める彼が事実のみを言えばいいことを包み隠さず話してしまうところに自分の罪は1人で抱えることができないところに卑怯さを感じました。
作中でもこの行為は咎められることはなく、また作品レビューでも批判されているのはみたことありません。
自分は男性ですが男らしさをもとめる女性的、もしくは旧時代的な感想だとは思いますが春樹は個人的に評価の低い主人公ですね。
随分前にプレイしましたがレビューを読んでそのことを思い出しました。
にんじん 2016/10/31(Mon)01:40:43 編集
Re:無題
コメントありがとうございます。
なるほど、確かに春樹からすれば誠実であれという思いから事実を打ち明けていたのでしょうが、それが逆に傷つける行為になるということまでは頭が回ってなかった印象はありますね。おっしゃる通り春樹は完璧主義ではありますが、弱い部分も持っていて、無意識にその部分が出てしまったのかもしれません。すべて打ち明けて楽になってしまいたいという。


私も正直春樹はそんなに好きではありません(笑
三角関係ものの作品に手を出しといて言うことじゃないですが、やっぱり男は一途じゃないとね。
ただ春樹の一見理性的で完璧主義なのに最後の最後だけは感情で動いてしまうその人間臭さは魅力だと思いました。
2016/11/18 12:51
無題
返答ありがとうございます。
私もダメダメな登場人物のドロドロの人間関係が登場する作品が好きなので言える義理はないんですけどねw
春樹は最低だと思いますがそれが作品内での彼の役割だと考えると嫌いにはなれないです。
ただ、ヒロインに「他の女との話なんて聞きたくない!あなた自分が楽になりたいだけでしょ!?」くらいは言われて欲しかったなあ。ホワイトアルバム2のヒロイン達はみんな優しいですねw
自分のずるさを自覚すれば春樹のことを好きになれたかもしれません
にんじん 2016/11/25(Fri)12:02:59 編集
Re:無題
あーそうですね、雪菜もかずさも春樹にベタ惚れ過ぎて責める方向にはいかないんですよね・・・。

かずさルートはプレイされていないんですよね?
本文中でも触れましたが、にんじんさんが指摘されたようなことを直接責められはしませんが、職場、親友、雪菜の家族などから春樹が責められる描写はあるので、もしかしたら少しは溜飲が下がるかもしれません(笑
まあ結局なんだかんだでみんな春樹に甘かったりしますけど。

雪菜がかわいそうでかずさルートを見れない気持ちは全く同意なのですが、雪菜の魅力が一番出ているのもまたかずさルートだと思いますので、気が向いたら少しプレイしてみてください。
2016/11/29 13:08
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