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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
それなりにエロゲをプレイしているのなら、その名を知らない人はいないであろう不朽の名作。elfよりこの世の果てで恋を唄う少女YU-NOです。

本作が世に出て17年。本当にいまさらなんですが、ようやく念願のセガサターン版をゲットしたのでプレイ。やろうと思えばいつでも出来たのですが流石にセガサターン本体を買ってのプレイまでは食指が動かず、しかしYU-NOの話題が出る度に苦い思いをしてきたのもまた事実。ちょうどプレイする予定だったゲームが一段落付き、余裕が出来たためここは腰を据えてやってみようじゃないか、と思った次第です。やはりエロゲーを語る上で外せない作品ですからね。



ここは、2013年現在にプレイするYU-NOという観点で少し語りたいと思います。本来であれば発売当時の背景を鑑みた批評とすべきでしょうが、いまさら私が語るべくもなく傑作であることは大多数の方々が認めています。従ってあえてこういったスタンスでのレビューとしたいと思います。

数年程度の差であれば、停滞気味のこの業界において決定的な差とはならないと思いますが、如何せん17年前ですからねえ・・・。菅野氏が生んだ3つの代表作、DESIRE、EVE、YU-NOの中で唯一Windows版でのリメイクが為されていないのがYU-NOであり、グラフィックや音楽の品質面で、現代から見ると見劣りしてしまうのは否めません。(エルフの缶詰同梱版はPC-98版移植)




総評:9点





では、以下ネタバレ感想となります。ご注意をば。














とにかく凄まじいゲームでした。平行世界やタイムリープをテーマにした作品のお手本であり、同時に越えられない壁として君臨し続けたであろう作品です。

私も10年以上に渡り、それなりのエロゲ含む創作物を経験してきて、物語のパターンとしての斬新さを感じることが少なくなって来ました。決して楽しめなくなった訳ではないのですが、初めてEVER17をプレイした時のような衝撃は中々得られません。それはまあ物語の類型はシェークスピアの時代に既に出尽くしてるとか揶揄されるように、創作物はもはや模倣の積み重ねにしか過ぎず、全く新しい感動など生まれる余地もないのだという問題もあります。素晴らしい!と感じてもそれは過去の傑作を知らない無知故に。


そんな時代に17年という時間はあまりにも長い。何が凄いってその歳月の中でYU-NOに匹敵する作品がない、というのが凄いのです。これはもちろん私が知らないだけという問題も内包しますが、少なくとも私が知っている中で比肩するものはありませんでした。


・・・まあこういってしまうと語弊があります。物語というのは本来比べられるものではないですから単純にこちらの作品の方が上だと断じれるものではありません。

しかし例えば平行世界、タイムリープ、ループものというジャンルに限定してもそれを実現する理論に未だに特異性を持っているのがYU-NOという作品です。近年ではシュタゲが有名になりましたが、Never7、3days、パンドラの夢、クロスチャンネル、腐り姫などエロゲだけでも枚挙に暇がないぐらいに名作が生まれているジャンルの中で、YU-NOほどに科学、歴史両面からの考証とゲーム性を併せ持ち、そして大スペクタクルな作品はありませんでした。


これ程のゲームがわずか八ヶ月の開発機関で製作されたという点も驚愕に値しますが、これはPCスペックが向上し、CG品質や演出レベルもそれに合わせる必要が出来てきた、という時代の流れを考慮すると一概に現代の方が劣っているとは言えないと思います。

それを抜きにしても、背景のアニメーションや立ち絵瞬きなどの演出、膨大な数のイベントCGと相当豪華な作りになっていました。



さて抽象的なことばかりいっても仕方ないので、具体的にどう革新的だったのかという点に触れたいと思います。

まずは何を置いてもそのゲーム性。A.D.M.Sと呼ばれるそのシステムは、並列世界を移動する主人公が、本来私達ユーザーにしか知り得ない世界のルート分岐をチャートとして捉え意識を共有することが特徴です。近年では古色迷宮輪舞曲が最も近いシステムだったと思います。.というかまあ、いまから思えばかなりYU-NOを意識した作りだったんだなと思いますけどね。事象移動により本来持っているはずのないアイテムを使って状況を打破したりといったところはそっくりでしたし。


このシステムはADVというジャンルにおけるゲーム性を求めた結果だったのだと思いますが、面白いのと同時に難易度を高めている要因でもあります。そして現代においてそのまま通じるかと言うと疑問が浮かぶところ。ぶっちゃけ昨今の選択肢を限りなく少なくした紙芝居ゲーに慣れたユーザーからすれば面倒過ぎてやってられないレベルでしょうね。古色のシステムがあまり受け入れられてないのを見るとやはりそう思います。


次にシナリオ構成。最終的には剣乃氏の思い通りには出来なかったそうですが、少なくとも「大いなる序章」であるA.D.M.Sを使った現代編の後に、テイストが全く異なる西洋ファンタジー風の異世界編が待っていることを想像出来た人は当時でも少なかったのではないでしょうか。その異世界編のボリュームもかなりあり、説明不足や描写不足な部分があるにせよキャラクターに感情移入するに足るだけの内容があったことは確かです。

そして一見なんの脈絡もなく始まった異世界編が、最後には現代編と複雑に絡み、全ての伏線を消化していくという匠な構成。本来は異世界編もA.D.M.Sによるストーリーの並列化が考えられていたそうですが、現代編でお腹いっぱいになっていた私にはむしろ一本道の異世界編は助かりました。

この前半マルチエンディング+後半一本道シナリオという構成は、妥協の産物でありながらも、YU-NOという作品が評価されるとともに、奇しくも現代のエロゲの定番の形となっています。そこからも本作の残した功績は大きいことが分かりますね。

この構成は簡単なようで意外と難しく、前半部分がおざなりになりがちなゲームが多い印象ですが、YU-NOでは前半部をA.D.M.S.というゲーム性で彩り、後半部を世界観をガラッと変えて読み応えのある一本道のシナリオにすることによりプレイヤーを飽きさせない仕様になっていました。



次に世界観。平行世界やタイムリープものに肝心な「如何に説得力を持たせるか」ということを左右する重要な点ですね。SFなのか、オカルトなのかで考証のベクトルも変わってくるとは思いますが、本作ではSF側に該当し、「時間は可逆、歴史は不可逆」という一貫した概念の元に構成されています。まずこの概念を生み出したこと自体が斬新であるのと、その概念に従って物理学的な考証が十分に為された上で、壮大なスケールの物語を構築しているのが凄まじい。YU-NOのウィキペディアを見れば、その考証の細やかさが見て取れます。理論自体はかなり難解ですが、あくまでも娯楽作品であるため、理解出来なくても説得力を感じられれば、楽しむことは出来るようになっています。実際、主人公のたくやは理論的には理解出来なくても現象そのものには納得していましたから、ユーザーも最低限そのレベルに到達すれば問題ありません。


以上の3点は賛否はあれど例えYU-NOが現代で発売されていたとしても評価を受ける点だと思います。これに加え当時としては美麗なグラフィック、アニメーション、演出、BGMが実装されていたのですから今に至る評価も頷けます。


しかし現代のゲームと比べると若干弱い点もあり、テキストやキャラクター描写にそれを感じました。テキストは正直時代の影響が大きいでしょうが、菅野氏お得意のオヤジギャグを連発し、独り言(これはユーザーへの語りがけですが)が多い主人公。流石に少々古臭さは感じます。そして作中のキャラクターと心寄せあっていく過程は現代のシナリオ重視ゲーに比べると物足りないものがあります。特に鍵となるユーノとの関係性についてはもっと深く絆を描いて欲しかった気持ちが大きいですね。まあこれも時代の影響だと思いますが。

よく近親相姦やカニバリズムにも踏み込んでいる実験的な作品、などとも言われていますが、正直これにらについては踏み込んでいるというレベルまでは描ききれてないと思うのですよ。クンクンにしたってたくやと過ごした期間は一週間足らずで、彼女が命を掛けてたくやとアマンダを運んだシーンなんて全カットですからね。その体を食することで共に生きるというテーマを描くには絆も描写も薄すぎる。近親相姦にしても神奈の場合はそもそもお互いの関係に気付くことはなかったし、ユーノについては、もう少したくやの苦しみ悩む姿が欲しかったとところ。ユーザーの頭の中で補完する時代だったのかもしれませんけどね。


なんというか、シナリオそのものには心底圧倒されたという思いが強いのですが、例えば私の中で、未だに鮮烈に記憶されているAIRのラストシーンのような感動を覚えた描写があったわけではありませんでした。もちろんこれは個人差があり、当時プレイしていればまた違ったのかもしれませんが、あくまで今現在プレイした中では、という意味です。こういった物語のクライマックスで盛り上げるような演出というのはYU-NO以降のゲーム文化の中で培われていったものなのかな、と思いましたね。



とはいえキャラクター描写については逆に褒めるべき点もあり、2~3日の事象移動しか出来ない主人公が色々な女性と性交渉を持つに当たって、それほど違和感を感じさせない点がそれです。亜由美さんや美月さん、澪は開始直後から既に相思相愛に近い関係ですし、絵里子先生や香織さんはどちらかと言えばビジネスパートナーとして、神奈とは血脈の絆があり、一応納得出来る理由があること。これらは昨今の出会った時から好感度MAXで、すぐに相思相愛になっちゃうハーレム系の作品に比べれば全然マシです。

加えてこれも時代の流れでしょうが、ヒロイン中処女は1人だけという設定。セーレスとユーノは除いてですけどね。神奈の設定なんて今やったらディスク叩き割られそうですけど、私なんかは逆に守ってやらなきゃいけない衝動に駆られて良かったと思うんですけどねえ。

まあこれらはどちらかというと古参ゲーマーの懐古主義に近いものがあるので、一概に良い点だと断言出来るものではないのですが、個人的にはこちらの方が好みでした。




総評

 現代においてもなお色褪せない魅力を持ったSFミステリーの傑作。その世界観をゲーム性に落とし込んだシステムと後に明かされる壮大なシナリオは正に圧巻。反面キャラクター描写や関連性の経緯は昨今の作品に比べれば薄く、物足りないものもある。

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