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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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ホラーとミステリーを融合させた作風が特徴の刀城言耶シリーズ、1作目です。

山奥の古い因習に囚われた集落、神々櫛村では谺呀治家を中心とする憑き物筋の「黒の家」と、神櫛家を筆頭とする憑き物筋の「白の家」で対立していた。そして、村全体を支配する「山神様」「カカシ様」「厭魅」には、それにまつわる数々の怪奇や神隠しが存在していた。そんな中、神々櫛村を訪れた怪奇幻想作家、刀城言耶は奇怪な殺人事件に遭遇する。



以上wikiよりあらすじ引用です。



昭和・閉鎖的な田舎村・村の伝承と来ると横溝正史だとか、オカルトとの融合で京極夏彦やらを彷彿とさせますが、それらに負けず劣らずの独特な雰囲気を持った作品です。

 700ページぐらいある長編大作ですが、主人公が怪奇小説家であるために、村の伝承やら民俗学にいちいち首を突っ込んだり、薀蓄を語ったりというシーンが多いのもあって殺人事件が起こるのが200ページを過ぎてからというスローペースです。もちろんそれは神々櫛村の異様な雰囲気を表現する大事な要素でもあり、ある意味では真犯人への手掛かりにすらなり得る重要な描写でもなる部分なので、仕方ないのですが、正直取っ付きにくいのは否めないですね。
 
 私は文庫本を読みましたので、簡単な家系図と村の地図があったので、まだマシだったのでしょうが、それでも何度も図を見直しました。文庫以前はこれすらなかったらしいですから、メモしながら読まないと村の構造やら人物の関係が分かりにくかったのではないかと思います。

 それと、これが刀城言耶シリーズの特徴なのかは以後のシリーズを読んでみないと解らないのですが、探偵役の主人公も名推理を披露してズバッと解決する、というタイプではなく、現時点で考えられる推論を元に犯人を導き出し、それが誤りであれば、また新たに推察し・・・ということを繰り返しやがて真実を暴く、という珍しい構成になっていました。ここは割と賛否両論な感じでしょうか。ミステリはやっぱり最後にスラスラっと種明かしをして爽快に終わらせて欲しいという人には少し微妙かも知れません。私はそれが結構味と感じるというか、刀城言耶は探偵ではなくあくまでも一作家に過ぎないと暗に言っているようで好印象でしたけどね。




 では以下、トリックのネタバレ含む感想となりますのでご注意をば。






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 はい、本当に今さらなのですがようやく読破しました。ラノベにおけるミリタリーアクション&学園ラブコメの金字塔・フルメタル・パニックです。フルメタはアニメから入った口でしたので、このままアニメで完結するまで原作は我慢しようと長らく思っていたのですが流石にもう期待出来なさそうでしたので、本編+短編合わせて二十数巻の読破に挑戦しようと考えなおした次第です。


 まあ読破といってもコメディ重視の短編は気楽に読めるし、シリアスな本編の方も読み易い文章でしたのでそれ程苦にはなりませんでしたけどね。本編10巻のせまるニック・オブ・タイムからの最終巻ずっとスタンド・バイ・ミーへの収束感とカタルシスは非常に良かったです。寝る前にコツコツと読み続けていましたが、ラスト3巻の消費スピードは桁違いでしたw


 ずっと謎だったウィスパードの真実とレナードの目的。メリダ島に建設された巨大なTAROSによる世界改変と核戦争を防ぐために決行されるミスリル最後の作戦。宗介とレナードの死闘。そしてカリーニンとの決着。変に捏ね繰り回さず、読者が見たかった展開を想像通りに、あるいは想像以上に見せて楽しませてくれました。最終巻が出るまで2年ほどかかったみたいですが、間髪入れずにそのまま読めた私はある意味幸せなのかもしれません。






 多分もっと高尚(ちょっと語弊がありますが)な作品に仕上げることは出来たのだと思います。リアリティのあるミリタリーものとするならば味方側の主要キャラの一人や二人戦死して然るべきだろうし、ウィスパードを始めとするSFものとしてのファクターの考証を詳細に描き、それを中心に据えた展開にすることも出来たでしょう。実際賀東氏はフルメタの世界観としてそれを描くに足るだけの綿密な設定を作り上げています。


しかしあとがきでも言っていたように、フルメタル・パニックという作品は様々なファクターを持ちながらも根本はボーイ・ミーツ・ガールであり、そういう細かいコトは抜きにして宗介とかなめの関係を中心に描かれました。フルメタって結局最初から最後までジュブナイルであり、ラノベなんですよね。

これは「所詮」だとかいうネガティブな意味じゃなく、最後までブレることなくフルメタという作品を描き切ってくれたことに対する賛辞です。賀東氏は悩み抜いてこの結末に選んだんじゃなくて、最初からこの結末にしようと決めていたんだろうな、というのが感じられました。


踊るベリーメリークリスマスの白兵戦や燃えるワンマンフォースの時の量産機を駆る宗介の活躍。デ・ダナンの潜水艦戦、一転して短編での学園コメディ。それら全てフルメタの魅力だったわけですが、読者全員最後には宗介とかなめが抱きしめ合うシーンが見たかったはずでしょう。そして賀東氏もそのシーンをずっと描きたかったんでしょう。だからこそ最終巻は、有終の美を飾るに相応しい、非常にフルメタらしい終幕だったと思います。あの時の彼らに甘い言葉は必要ない。喧嘩して罵り合って、「台無し」になるぐらいが調度良かったんだと感じました。



個人的に印象に残ったシーンは・・・あー最終巻って多いんですよねえw 宗介の爆弾発言に始まり、テッサのダナンとの別れ、クルーゾーの捨て身の特攻、クルツ復活。

 名シーンだらけですが、特にかなめが揺れ惑いながらも本当に失いたくないものを理解した場面は、本作を象徴するシーンなのではないでしょうか。たとえ宗介自身を失ってしまっても十字傷のある宗介と出会えたこの世界を否定することだけは嫌だ、とソフィアを拒絶したかなめは、本当に強くて健気です。宗介も惚れ直すね。なんかちょっとクラナドを思い出しました。二人が出会えたこと自体を否定しないで欲しいっていうアレ。


 それと個人的にはカリーニン少佐との決着シーンが印象に残っています。アマルガム側についた理由もずっと明らかにされず心理描写もされないため、後半株がダダ下がりな彼でしたが、ようやくその心が理解出来ました。誰よりも宗介のことを考え、彼を救おうと断固たる決意をしたが故の行動だったわけですね。死んだ妻や息子に会いたい気持ちも本当にあったんでしょうけど、合理的な彼は失ってしまったものよりもいまある大事なものを優先して考えるでしょう。彼を突き動かしていたものは他ならぬ自分の手で戦争の道に引き込んでしまった最愛の息子に普通の人間としての幸せを与えてやりたいという、贖罪と親心だったんですね。ある意味ではカリーニンはレナードよりも世界改変に執着していたのかも知れません。



 完結まで読み進めてみると、なおさら再アニメ化への熱望が沸き上がってきますねぇ。動くレーバテインが見たい。

しかしトランザムて・・・w たしかにアルの性格ってちょっとキットっぽいですからね。

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ハードSFの巨匠・ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作、星を継ぐものです。
最近はミステリーとSFを交互に読む傾向にある私です。



 月面で真紅の宇宙服を着た人間の遺体が発見された。驚くべきことにその年代を調べると約5万年前。チャーリーと名付けられたその人物を巡ってあらゆる分野の専門家を集めた分析が進められる。ヴィクター・ハントは、物質を透過撮影出来る最先端技術であるトライマグニスコープの開発者だったが、チャーリーの研究にトライマグニスコープが導入されると共に彼自身もまた研究チームに参加することとなる。少しずつ解明されていくルナリアンと名付けられたチャーリー達の謎だったが、すべての矛盾を解決する結論が立つことは無かった。

 一方、木星の衛星・ガニメデでは、ルナリアンよりも遥かに過去に作られたと思われる巨大な宇宙船が発見される。ハントや生物学者のダンチェッカーは彼らの痕跡を探る中で、ある一つの結論に至ることとなる。




 あらすじとしてはこんなところでしょうか。傑作と謳われる本作が映像化されていないのは何故なんだろうな、と不思議に思っていたのですが内容を読めば納得ですね。ぶっちゃけて言うと本作は、ビジュアル的には、非常に地味な作品なんですよね。未知との遭遇と言えば聞こえはいいですがやってることはひたすら調査と考察だけであり、物語が大きく展開したりすることはありません。

 それでもこの作品が物凄く面白くて、魅力的なのはやはりベースとなる未知との遭遇を膨大な知識と創造力によって描いたハードSF的な要素と、残された痕跡の調査と科学的な検証によって、少しずつ彼らの歴史を紐解いていくという壮大なミステリー要素が上手く合わさった絶妙なバランスだからでしょうね。


 とはいえ、一般のミステリーと同様に鋭い洞察力があれば答えが判るとは思えません。例えば、チャーリーの日記のミネルヴァと現在の月の距離の矛盾から、ミネルヴァの衛星だった月は、地球の月になったんじゃないか、という推測は出来ます。しかしそういうことが物理的に起こりえるのか否かは天体物理学の知識がないとわからないため、結論とすることは出来ません。あくまでもミステリー的な面白さを持った作品という感じですね。

 ストーリー性というのは乏しく、サイエンス寄りな物語ではありますが、登場する人物も魅力的です。反目しあっていたハントとダンチェッカーが、木星へ向かう船の中でお互いを認め合うシーンなんか、傍から見ればおっさん二人が佇んでいるだけなのに感慨深くて感動してしまいます。






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SF小説の金字塔であり、映画・ブレードランナーの原作として有名なアンドロイドは電気羊の夢をみるか?です。あまりにもインパクトのあるタイトルなので、読んだことはなくてもタイトルだけは知っている人は多いのではないでしょうか。パロディも多いですしね。


 簡単なあらすじとしては、最終戦争後、放射能が溢れ死の星となってしまった地球。人類は火星への移住を計画し、火星では奴隷として人間と見分けがつかないほど精巧なアンドロインドが使役されている。主人公は、地球で暮らすアンドロイドは殺しの賞金稼ぎのリック。火星から逃げてきた6人のアンドロイドを殺す依頼を受けることになる。

 世界観としてはSFでディストピアものの王道といったところですが、その内容はあらすじから感じるサイバーパンクでハードボイルドなものではなく、人間とは何かという非常にシンプルかつ哲学的なテーマを持った作品となっています。





 本作ならではのSF要素として、生物が殆ど死滅してしまった地球では、生き物を飼っているということが社会的なステータスとされていることがあります。また、共感ボックス、マーサー教などという独特な設定もありますが、これら全ては前述のテーマに通じたものであり、人間が人間であることを自覚するための方法であったり崇拝するものだったりするわけですね。


 作中での一般論、あるいは著者の考えといっても良いのですが、人間とアンドロイドを分けるものは共感能力の有無にあるのだ、という考えに基づいた設定です。
 それは人間と見分けが付かないアンドロイドに対する恐怖から生み出されたものなんだろうな、と思います。基本的にアンドロイドは人間の従属下に置かれるものであり、人権はもちろん無いし、人間に成りすますことも禁止されています。外見上確かめる手段がない以上、人間は人間であることを他者にアピールせざるを得ない。それが生物を大事にすることだったり、他人に共感するための共感ボックスやマーサー教だったりするわけですね。


 そんな世界の中でリックは、様々な人物と出会い、今までの概念を覆されます。人間らしいアンドロイド、アンドロイドらしい人間。人間のフリをしているだけでなく、偽の記憶を植え付けられ、本当に人間だと思い込んでいるアンドロイドもいるわけで、リックはやがて自分自身さえも疑うようになります。


 タイトルは、周りの人間に電気羊を飼っていることがバレないだろうか、と苦悩しているリックが夢でまで電気羊が出てきたことを指しており、転じてアンドロイドは共感能力を持つのかという意味合いになりますね。


 翻訳者のあとがきにありましたが、ディックは人間らしさとは親切さなのだと述べているそうです。親切さというのも中々曖昧な言葉ですが、要は他人の気持ちになれるか否かってことでしょうね。これは現代でもしばしば提起される問題で、いつの時代でも赤ん坊を殺してもなんとも思わないサイコパスのような人間はいたわけです。SF作品でありながらそうした社会風刺的なテーマも込められていた作品でした。

 現代の人類はまだ、本作のような強迫観念に囚われたように人間足らんとする社会には至っていませんが、少なからずその傾向はあります。社会通念に沿わない人間を弾劾し、排除する風潮は世界中いくらでもあります。そんな中で一つ、自分はアンドロイドのような考え方をしていないか?と自問してみるのもいいかもしれません。



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岡嶋二人のクラインの壺です。岡嶋二人というペンネームは、二人の作家さんの共同執筆に使用されるみたいですね。今はもう解散してしまったみたいですけど。そのコンビの最後の作品がこれ。


バーチャルリアリティシステム「クライン2」による最新鋭ゲーム、そのゲームストーリー原作者としてテストプレーヤーになった青年が、もう一人のテストプレーヤーの失踪を機に「クライン2」の裏事情を探っていく。



以上、wikiよりあらすじ抜粋ですが、ちょっと簡潔過ぎますね。


 もう少し詳しく言うと主人公の上杉彰彦は、ゲームブックの応募から漏れた自作・ブレインシンドロームをあるゲームの原作としたいとイプシロンプロジェクトという会社から持ちかけられる。契約を交わしたがその後音沙汰もなく、その存在も忘れかけていた頃、上杉の元にイプシロンプロジェクトからの連絡が入る。完成したバーチャルリアリティゲームのテストモニターになって欲しいと。そこで上杉が体験したのは、体を丸ごと包み現実との区別が付かないほどの体験ゲームだった。
 もう一人のモニター・高石梨沙と共に、「K2」と呼ばれるそのゲームをプレイする上杉だったが、ある日、梨沙が失踪してしまう。このことをきっかけに、完全秘密主義であることや実兄の事故の誤報などでイプシロンプロジェクトに不信感を抱いた上杉は、梨沙の親友だと名乗る七美と一緒にイプシロンプロジェクトの調査を始める。


 こんな感じでしょうか。ポイントは、K2が現実と全く遜色ない体験が出来ること。そして七美の存在と彼女がしきりに口にする不思議の国のアリスがこの物語を象徴しています。

 クラインの壺というのは、画像検索すると一発でわかるのですが、メビウスの輪の3次元版といった感じでしょうか。壺の内側と外側がつながっており、どこからどこまでが内側なのか、内側と外側の境界はどこなのかが解らないというモデルですね。



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 古典SFの名作・ハインラインの夏への扉です。

 本作が書かれたのは1956年。今となっては、目新しくもないタイムトラベルをテーマとした作品ですが、半世紀以上も前に書かれたとは思えないほど現代でも通じるものだと思いますね。

 舞台は1970年のロサンゼルス。六週間戦争という所謂第3次世界大戦によって、アメリカの主要都市は壊滅。内陸のデンヴァーを首都とし、共産主義が衰退した世界のお話。戦時中の技術革新により、現代でも成し得ていない冷凍睡眠(コールドスリープ)が実現されています。

 技術一辺倒の主人公・ダンは愛猫ピートともにバーで飲んだくれていた。原因は、一緒に会社を興した親友マイルズとベルの裏切り。ふと目にした冷凍睡眠の広告に惹かれ、30年後の2000年まで冷凍睡眠することを決意するダンだったが、寸前で思い直し、自分を陥れたマイルズとベルへの復讐を考える。しかし、逆に返り討ちに合う結果となり、そのまま強制的に冷凍睡眠させられてしまう。そして目覚めた先は西暦2000年だった。

といったあらすじ。




 ここからも判るように、本作が出版された時期から考えれば近未来と未来の二つを描いた作品なのですが、現代の我々から見ると、違う歴史を辿ったパラレルワールド的な1970年の過去と、未来世界を描いているように見えるんですよね。まあ2000年ももはや過去なのですが、1950年代から見れば遠い未来でしょうし、その文化も現代を遥かに超えた技術が使われていましたし、未来といって差し支えない感じ。


 タイムトラベルモノで重要な伏線とその回収については、あまり説明的過ぎても野暮になっちゃうと思うのですが、非常に良いバランスでお手本になるような感じでしたね。少し不思議に思ったことは大体伏線であり、後半で綺麗に回収されます。まあ大体俺でしたぁー!ってオチですけどねw

 本作自体は、タイムトラベル現象そのものよりも時を超えたロマンスを重点に置いた作りになっています。少々ご都合主義(たまたま仲良くなった技術主任がたまたまタイムマシンを作った教授と知り合いだった、とか)な部分や、タイムパラドックスに踏み込んでいない(ダンが意識的に起こさないように行動している)など、SFとしては少し物足りない印象もあります。しかしタイムトラベルの原理説明自体はあっさりだったものの、過去と未来で質量保存の法則が成り立っていて、実用に耐えなかったという理論は斬新でしたね。

 


 しかし、この読後の爽快感たるや現代の作品でも中々味わえないものだったと思います。日本人受けするのも分からいでか。まあ冷静に考えると10歳そこそこの少女に求婚している30歳のおっさんの物語が愛されているのは流石日本人って気もしますが・・・w それでもダンはリッキィに結婚して欲しいから冷凍睡眠してくれ、と言ったわけではなく、リッキィが大人になったその時でもまだダンの事を好きでいて、ピートの世話をする気があるのなら、という言葉を残しただけですからギリギリ許されるのではないでしょうかね。あくまでリッキィの意思に任せ、だからこそ21歳の大人の女性になったリッキィが冷凍睡眠してダンを待っていたことがカタルシスを生んだ訳です。

 そうなるとリッキィが何故ダンにそこまで懐いているのか、二人の絆が殆ど描かれていないことがネックになってしまうのですが、当時としてはそんな物なのかもしれません。




 それと猫好きの人にオススメのSFとしても有名な作品でしたが、確かにピートの存在感と、ダンのピートに対する敬意と愛情は多く描写されていましたが、正直物語の展開そのものに関連するわけではないので、そこが少し残念でしたかね。アクセントの一つに過ぎない。

 あ、あと作中での猫に対する扱い方の是非はピートはそういう猫である、ということなので全ての猫がピートと同じだとは思わない方がいいですw 少なくともうちの愛猫はピンチの時に助けてくれないだろうから。



 ということで、半世紀以上も前の作品ながら、時を超えたSF風味のロマンチックなお話が好きな方にはオススメです。また設定を凝り固めたハードSFではないため読み易く、SF小説の入門書としても良い作品だと思います。

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中島らものガダラの豚です。
たしかどこかのサイトで徹夜で読んじゃう小説として絶賛されていたのが、きっかけだったと思います。



さて、本作ですが、そのタイトル「ガダラの豚」とは、マタイ福音書の5章で語られる、ガダラ地方を訪れたイエスが悪霊を豚に封じ込めるお話が元です。作中でも呪術師オニャピデとスコット神父の会話で触れられていますけどね。

3巻完結の作品ですが、1冊ずつでもキリの良いところで終わっているのでそれぞれ楽しめると思います。特に3巻の展開については賛否両論みたいですし、人によっては2巻までで良いという人もいますし。



 さて、あらすじですが続き物ですので、2巻以降のあらすじはネタバレになってしまうことを留意しておいて下さい。






 1巻は、作品全体の中では人物紹介と趣旨の解説に当たりますが、新興宗教にハマッてしまった妻を救うため、民俗学教授・大生部と、超能力ハンターのミスターミラクルが宗教の闇を暴く!という痛快エンタメ小説としてまとまった作品です。ここでは超能力・新興宗教・トリックといったキーワードをベースに大生部家の崩壊と再生が描かれています。


 2巻は、テレビ局の特番取材によって念願のアフリカでのフィールドワークへ向かう教授一行の話。クミナタトゥという住民全員が呪術師である村では、強力な呪術師であるバキリに実質支配されていた。バキリとの面会を果たした一行は、彼の持つ強力な呪術具である”バナナのキジーツ”を奪うこととなる。アフリカのケニア・ウガンダを舞台としていますが、その民族性・風土を事細かに、時にはコミカルに表現しています。


 3巻は、日本に帰ってきた大生部教授一行は、家庭の問題も解決し普段の生活に戻っていた。しかし呪術師バキリが日本に来ていることを知ることとなる。バキリによって次々と殺されていく人々。教授はテレビ局の特番によってバキリとの直接対決に挑むのだった。最終巻は、今までとは打って変わって大スペクタクルのエンターテイメント。

 あらすじとしてはこんなところです。

以下は完全にネタバレとなりますので、ご注意をば。






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ゼロ年代を代表する和製SFとして名高い・虐殺器官です。


著者の伊藤氏は、デビュー作である本作発表のわずか2年後に他界してしまったそうです。メタルギアで有名な小島氏の熱狂的なファンとしても有名で、MGS4の小説版を担当し、小島氏を唸らせた程の評価を得たらしいです。こっちもそのうち手を出してみたいですね。



 サラエボが核爆発によってクレーターとなった世界。後進国で内戦と民族衝突、虐殺の嵐が吹き荒れる中、先進諸国は厳格な管理体制を構築しテロの脅威に対抗していた。アメリカ情報軍のクラヴィス・シェパード大尉は、それらの虐殺に潜む米国人ジョン・ポールの影に気付く。なぜジョン・ポールの行く先々で大量殺戮が起きるのか、人々を狂わす虐殺の器官とは何なのか?


以上、Wikiよりあらすじ引用。


 SFとはいっても現代の科学の延長で想像し得る未来が舞台ですね。9.11によって戦争の在り方が変わり、その地続きにある未来。使われてる技術なんかを見るとメタルギアの時代、特にMGS4に近い世界観。PMC(作中ではPMFですが)や、IDタグによる武器管理統制、人工筋肉なんかは、メタルギアファンは想像しやすいと思います。米情報軍でも暗殺を生業とする精鋭集団・特殊検索群i分遺隊に所属するクラヴィス大尉が主人公。この部隊では痛覚マスキングや光学迷彩など最新鋭の技術が使われています。


 文体は、クラヴィス大尉の性格の影響が強いですが軍事サスペンスものらしからぬ繊細な感じで、心理描写が豊富なこともあって、日本らしい小説に感じます。反面、内容自体はバリバリのミリタリーで、そちら方面の描写もディティールに凝っているので、そのギャップが良い、というか不思議な感覚でしたね。


 読み始める前は、「虐殺器官」というタイトルからグロテスク描写が強いハードボイルド小説だと思っていたのですが、実際は、母親の死を選択したというトラウマを抱えた、文学好きのナイーブな青年が、自分の罪と向き合う、という非常にメンタルな内容ですので、タイトルで敬遠してる方は、勿体無いと思います。同時にグロテスクな描写を期待してる人は肩透かしを食うでしょうけども。


 以下ネタバレとなりますので、ご注意をば。

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はい、というわけで発売決定時に記事を書いたにも関わらず、完読するのが遅れに遅れてしまったわけですが8年ぶりの星界シリーズ最新刊、星界の戦旗Ⅴです。以前の内容が既に忘却の彼方だったため、Ⅴの前に旧作を読み直そうと思いながらいつの間にか発売日になってしまいました。これはもう仕方ないということで、最新刊を読了。


 いやー懐かしい。面白さとか何よりも本当に懐かしい気持ちになりました。星界シリーズの特徴である、アーヴ語のルビの嵐。これを見た時にああ、間違いなく星界の新刊なんだなと改めて思いましたw アーヴ語なんてオーニュ!ぐらいしか覚えてないレベルで忘れていましたが、読み終わる頃には、フリューバルとかアローシュとか脳内で普通にアーヴ語で発音している不思議。


以下ネタバレですので、未読の方はご注意を。






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コツコツと読み続けて、ようやく完読出来ました。

 色々と話題に登ることが多かった作品なので、いつか読破したいと思っていた作品でした。きっかけはやはり漫画版の評判と村正関連で耳にしたことですかね。いまさら私がどうこう云うつもりはないのですが、漫画版(5巻にて未完のまま完結)は以前に既読済みであり、その内容から装甲悪鬼村正と類似するような点が見られなかったため、どのへんが糾弾されたんだろうなーと興味が湧いたのが大きかったんですよね。
 もちろん漫画版の圧倒的な面白さによって、この後の展開が知りたいと思ったのも理由の一つです。


 というわけで、佐藤大輔氏の皇国の守護者です。現在1~9巻まで出ており、一応未完となっていますが、9巻が出たのが8年前であり、内容的にも一区切り付いているので完結といってもいいのかもしれません。


 世界設定は、人と龍が共存するファンタジーの世界で、人類の文明レベルは明治初期。現実のユーラシア大陸と日本をモデルにしたような、帝国と皇国の戦争を描いた物語です。日露戦争をファンタジー世界に置き換えた架空戦記物というのが一番イメージしやすいかも知れません。
 帝国が皇国領の北領(日本での北海道)に侵攻してくるところから物語は始まります。

 主人公は、皇国の陸軍中尉である新城直衛。背は低く、顔は凶相だが、天才的な軍略を持って帝国と渡り合います。豪胆でありながら小心、冷酷で優しいと矛盾を孕んだ複雑な性格の持ち主。時に鬼畜に過ぎる所業に手を染めたり部下への冷酷なる処断と、決して正しいだけの人間では無いものの、その行動の裏には、常に部下を無駄死にさせないという思いがあるため好印象を抱ける人物です。

 本作は、新城の他にも魅力的な人物が山ほど出てきますが、多面性を持つ人物が多いのも特徴ですね。本来人間なんてものは、一つの面だけで全てを語れるほど単純ではないということなのかも知れません。例えば、こういった戦記モノにおける無能な上司の典型といってもいい守原英康なども、守原家の存続という面から見れば彼ほど行動的な人物はいなかったでしょうし、「義挙」側で最も新城を危険視していたのは彼だったりします。


 氏の作品を小説として読んだのは初めてなのですが、非常に面白く読めました。よく漫画版だけ読めばいいなんて揶揄される作品ですが、漫画だけでは説明しきれないような、細かな状況描写や心理描写、軍略・戦術の解説なども多いため、読まないのは勿体無いです。なにより漫画版は原作小説の2巻で終わってしまっています。とは言え、漫画版ならではの迫力や、悲壮感も捨てがたいため、つまりは最後までコミカライズして欲しかったなあということなんですけどね。六芒郭城塞戦は是が非でも漫画で見たかったところです。

 以下ネタバレもありますのでご注意をば。


   



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 いろんな意味で伝説的なスペース・オペラの傑作小説、星界シリーズの最新刊「星界の戦旗Ⅴ」が発売されるという噂です。いや、早川書房の編集者さんのツイートがソースなので噂というか出るはずなんでしょうけど・・・この目で見てみないと信じられないファンは多いはずですw

 というのも、この星界シリーズ。最後に刊行された星界の戦旗Ⅳが2004年12月なのです。もう8年・・・8年だよラフィール。内容を忘れてしまった人も多いでしょう。かく言う私も正直大まかな流れしか覚えていません。


 一応知らない人のために簡単にあらすじを説明すると、人類の太陽系外への移住が可能となった時代のお話。
アーヴという人間を遺伝子改造した種族が支配する帝国と、その支配に危機を感じ侵略戦争を仕掛けた人類統合体の争いに、奇妙な縁で出会った少年と少女が巻き込まれていきます。その少年は、普通の人間でありながら故あってアーヴ貴族となってしまったジント・リン。そして彼が出会った少女は帝国皇帝の孫娘・ラフィールだった、というボーイミーツガールですね。
 星界の紋章(1~3巻)は、主にこの二人の逃避行が描かれ、星界の戦旗(1~4以下続刊)では、帝国の軍職についた二人がアーヴとしての義務を遂行したり人類統合体との戦争に身を投じていきます。


 当時はあまり戦争ものに慣れておらず、紋章のようなSF冒険活劇は大いに楽しめたのですが、戦旗のように戦争描写がメインになってくると中々理解し難く、またジントとラフィール以外の描写も多くなってきて個人的には少し微妙に思えてきていたんですよね。特に戦旗Ⅳは私の記憶がたしかならば、半分はぽっと出のラフィールの弟が主人公であり、しかも話が非常に中途半端で終わっていたと思います。そこでさらに続刊がいつまでも出ない、という状況でしたので、半ば見切りをつけていた節もありました。

 ただ、星界シリーズにおける戦争というのはやはり独特な魅力もあり、その世界観は何にも代えがたいものだという認識は変わらず持っていますので、今回新刊が刊行されるということでもう一度全部読みなおしてみようかな、と思いました。戦旗に関しては今読んだら印象が変わりそうです。


 新刊刊行で、再アニメ化なんて期待出来ないですかねえ。塩沢さんも鈴置さんも亡くなってしまっているし、ここは紋章から全編をもう一度作りなおすってことで。アニメ版はかなり端折っているところがあるものの、キャストの絶妙なマッチングやら公用語とアーヴ語の使い分けやらで満足のいくものでしたけど、今の技術で作りなおしたらさらにいいものになると思います。その際は、川澄さんだけはキャスト変えないで欲しいところですw 今でこそ川澄綾子=セイバーってイメージでしょうけど、私の中では未だに星界のラフィールとアウトロースターのメルフィナが2大川澄綾子なのです。


 ということで、8年待った人も知らなかった人もこれを機に読んでみたら如何でしょうか?









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有栖川有栖より、双頭の悪魔です。
これは、学生アリスシリーズと呼ばれるの中の第三作に当たるみたいです。
 
どうも、第2作の事件の影響で、心に傷を負ってしまったヒロイン?役のマリアが、木更村という、芸術家を集めた村から帰ってこないという冒頭からお話がスタートするので、前作から読むべきだったかなあと少し後悔しました。
内容自体は、本編のみで完結するものですので、別段問題ないのですが、私の心情的な問題です。
 
 
さて、久しぶりに本格ミステリを読んだのですが、中々骨が折れました。というのもこの双頭の悪魔は、600頁超えの大作でかつ、読者への挑戦状が3回もあるという、通常の小説2冊~3冊分の内容があるぐらいの代物だったのです。
 私は知性も根性もないため、すぐに読み進めてしまいましたが、非常に論理的でフェアな作りになっていた印象です。
 
 現時点での論理的な分析から、フーダニットだけは分かるので読者はそれだけを考えて欲しい、と第1,第2の挑戦状では、明確に述べられています。これは、逆にこの時点での動機はいくら考えても分からない作りになっていたのが理由の一つにもなっていますね。
 
 

以下ネタバレです。
 
 
 
 
 
 

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 SF作品の中には、ファーストコンタクト物というジャンルというかテーマがあります。これは、ミステリ小説における本格ミステリという関係に似ていて、異星文明との接触というSFの中でも王道で最も盛り上がる瞬間を描くために作られた作品群です。SFというジャンルを代表する最も普遍的なテーマ。それはSF作品が生まれた瞬間から、数多くの作家が手がけてきた手垢にまみれた物語です。星を継ぐもの、未知との遭遇を始め、エイリアンやインデペンデンス・デイだってファーストコンタクト物と言えます。
 
 また、SF作品はハードSFとそれ以外(しばしばソフトSFとも称されますが)に大別されます。ハードSFであることの定義は明確になっておらず個人の見解によって異なると思いますが、基本的には現人類がいつかは実現可能である世界、あるいはそう思わせる程の説得力を持たせた作品であるか否かだと思います。こういった作品は、物語のドラマ性などを削ってでも未来技術のディティールを濃く描写することに注力するものが多いです。
 
 
 で、この野尻抱介氏の「太陽の簒奪者」は、異星文明と人類の接触を描いた、ファーストコンタクト物であり、圧倒的なディティールに拘ったハードSFでもある作品です。にわか中のにわかである私は、日本人作家でこのような作品が存在すること自体、寡聞にして知らなかったです。
 
 
 2006年11月。水星の太陽面通過というアマチュア天文家の一大イベントの日、水星に起きた異常事態に世界中が沸いた。太陽の中に泳ぎだした水星から伸びる一本の筋。その巨大な建造物は明らかに人工のものだった。その後の研究で、それは水星に建造された巨大なマスドライバーから射出される水星の鉱物資源であることが判明する。そしてその鉱物資源は、黄道面上で太陽を取り囲むように形成されていき、そのリング状に構成されたものは、太さを増し続けやがて地球への日照量の急激な低下を引き起こすこととなる。
 
 8億人の犠牲を生んだこのリングを破壊するためのミッションには、一人の日本人女性が参加していた。異星文明との邂逅に焦がれ、水星の太陽面通過時の最初の兆候からずっとリングを追いかけ続けていた白石亜希。彼女を乗せた宇宙戦艦が水星に旅立ち、人類の危機を回避する第一部。そしてビルダーと称された異星文明と白石亜希の真のファーストコンタクトを描く第二部へと続く。
 
 
 あらすじはこんな感じ。ハードSFだけあってそれなりに専門用語も多いのですが、変に用語を羅列して煙に巻いたり、にわか置いてけぼりの内容にはなっていないのが非常に好印象でしたね。細かい内容は分からずともなんとなく想像出来て、割とすんなりと物語の展開についていける文体でした。専門用語を勉強して再読したくもなりますけどね。
 
 
 以下ネタバレ感想となります。

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 村上春樹より世界の終りとハードボイルドワンダーランドです。氏の作品は初めて読みました。この作品はKeyの麻枝氏がすごく影響を受けたらしいですね。本編中では、タイトルの通り、「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という二つの物語が交互に語られていきます。「世界の終わり」の世界観は、かの灰羽連盟のモチーフにもなっているらしいです。
 


以下wikiよりあらすじ引用。
 
 「ハードボイルド・ワンダーランド」は、近未来と思われる世界で暗号を取り扱う「計算士」として活躍する「私」が、自らに仕掛けられた「装置」の謎を捜し求める物語である。半官半民の「計算士」の組織「システム」とそれに敵対する「記号士」組織「ファクトリー」は、暗号の作成と解読の技術を交互に塀立て競争の様に争っている。「計算士」である「私」は、暗号処理の中でも最高度の「シャフリング」を使いこなせる存在であるが、その「シャフリング」システムを用いた仕事の依頼をある老博士から受けたことによって、状況は一変する。
 
 「世界の終り」は、一角獣が生息し「壁」に囲まれた街、「世界の終り」に入ることとなった「僕」が「街」の持つ謎と「街」が生まれた理由を捜し求める物語。外界から隔絶され、「心」を持たないが故に安らかな日々を送る「街」の人々の中で、「影」を引き剥がされるとともに記憶のほとんどを失った「僕」は葛藤する。「僕」は図書館の「夢読み」として働きつつ、「影」の依頼で街の地図を作り、図書館の少女や発電所の管理人などと話をし、街の謎に迫っていく。時間軸的には『ハードボイルド・ワンダーランド』の「私」がシャフリングを行ったのと同時に(すなわち、「私」の思考システムが「第三の思考システム」に切り換わったのと同時に)『世界の終り』のストーリーが始まるものと思われる。
 
 
 なんかあらすじというより、結構内容の考察にまで踏み込んじゃってる感じですが、大体こんな感じの世界観ですね。「世界の終り」の世界観は著名な作品ですし、様々な後続作品に影響を与えている気がしますね。鍵っ子である私はONEの永遠の世界や、CLANNADの幻想世界をイメージしていました。
 
 
 以下ネタバレ感想となりますのでご注意をば。
 

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高村薫氏デビュー作でもある、推理サスペンス?小説。推理というよりはハードボイルド小説って感じでしたが。

 
銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ! 大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企てた、大胆不敵な金塊強奪計画。 ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果たして突破可能か? 変電所が炎に包まれ、制御室は破壊され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。
 

文庫本カバー裏抜粋。どうでもいいですけど、こういう裏表紙の煽り文とかでも、火蓋が切って落されたとか誤用しちゃってるんですね。
 



ということでこの物語はミッションインポッシブルみたいな感じで、銀行のセキュリティを破って金塊を強奪するという荒唐無稽な難関に挑む、ハードボイルドな男達の生き様を描いた、非常に男臭い小説です。これを書いたのが女性というのだからさらに驚愕。
 
本作のまず特筆すべきところは、まるでその場を見てきたかのように描かれる圧倒的でかつ正確無比なディティールにあります。エレベーターの構造やら、電気配線の様子。共同溝の構成などその道の専門職でないと分からないようなことが事細かに描写されています。
 
犯行計画自体もさることながら、それに至るまでの工作などの準備も緻密で、これなら本当に金塊の奪取が出来るんじゃないかというリアリティがあるんですよね。
 
反面、シーンごとの描写が細かすぎて、話の大筋が捉えづらく、正直読みにくい小説であることは否めません。本を開いて読むぞ!という気持ちの時は面白いのですが、ちょっとした時間に片手間で読んで面白い類の小説ではないです。
 
 
あとはこれは賛否両論なんでしょうが、なぜか急にBL要素が入ってくるという衝撃。作者が男性だったら何も思うこともなく、漢が漢に惚れるという男塾的なアレで済んだのですが、作者が女性であるという先入観からか、ちょっと引いてしまったのはあります。というか氏自身が、同性愛を描いたと公言しちゃってるし。うーん、ここは別に大胆な犯行を共にするかけがえの無い仲間、といった男同士の友情でも良かったんじゃあないかと思ってしまうんですよねえ。
 
同性愛者への偏見とかは無いつもりなのですが、そのケがあったわけでもない、幸田とモモが急に同性愛に目覚めるというのは流石にどうかと思いました。
 
というわけで、全体的に読みにくい小説ながらも、綿密な計画の元、実行に移された時の緊迫感とか、ライブ感は凄いですし面白い小説ではあります。ただ同性愛とかに偏見を持っている方にはちょっとオススメは出来ません。

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