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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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苦節10年、開発7年。
もはや実際に発売されたこと自体が奇跡のようなゲーム・人喰いの大鷲トリコの感想です。
本作のディレクター上田文人氏は、独特な魅力を持ったアクションアドベンチャー・ICO、ワンダと巨像を手掛けた方で、同じ雰囲気を持った作品です。私は過去作双方大好きで、一気にファンになった口なんですが、あまりに長い年月の沈黙ぶりと繰り返される開発休止の噂。流石に大きな期待は出来なくなっていました。なにせトリコのためにPS3買ったようなものですから・・・。4じゃないですよ?w

愚痴はさておいて、人喰いの大鷲トリコ。本作は、謎の遺跡で目を覚ました少年が、巨大な大鷲(外見は犬か猫に翼と嘴をつけた感じ)と協力して脱出を目指すというシンプルな謎解きアクションアドベンチャーです。パッと見では巨大で不気味で、ちょっと怖い感じだったトリコが、終盤ではもうこんな可愛い生き物いるの?ってぐらい愛らしくなるゲームです。





まずは先に悪いところから触れてしまいたいと思います。

グラフィックについては、過去作と同じような雰囲気のアンチャなどとは違った少しファンタジックなものになっています。ほとんどの開発がPS3で行われたというのもあってか正直グラフィックは、最先端のPS4のゲームと比べると見劣りしてしまいます。フレームレートも安定せずプレイしていると頻繁に処理落ちが見られます。ただまあ元々美麗なグラフィックが売りのゲームというわけでもないですし私としては十分許容範囲でした。相変わらず光と影の表現は素晴らしく、今作は風の表現も良かったですね。

多分大体の人が不満に思うところであろうカメラワークと操作性。トリコが巨大な獣であるせいもあってか、カメラワークが非常に悪い。悪い、と一言で言ってしまうと語弊がありますが、非常に慣性が強かったり、自動で視点が切り替わってしまったり、急にアップになったりとなかなかカメラワークとの戦いには骨が折れます。

少年の操作性は過去作から変わりなくといった感じ。つまりはPS2時代程度の快適さしかないということです。こちらも慣性は強いし、視点によって入力方向が変わったり(分かり難かったり)、つかまれる場所の判定がシビアだったりと散々ではあります。あ、ここつかまれないのか、じゃあ他探すか→やっぱここじゃねーか!ということもしばしばありましたw

また、トリコがなかなか言うことを聞いてくれないということも合わせて(特に現代の快適なゲームに慣れた人は)イライラさせる要因だったと思います。


ただ、これらの要素は物語の演出として捉えることも可能です、というかほぼ間違いなくそういったコンセプトのもとに作られていると思います。例えばこういった3Dアクションゲームでは主人公の後ろから見た視点を基本固定とし、視点の自動制御は極力少なくする作りのものが多いです。これはプレイが快適になる反面、どうしてもゲーム的な印象が色濃くなってしまいます。また主人公の操作性も、本来どこがつかまれるかなんてやってみなければわからないし、ただの少年なわけですからスタイリッシュに動かないのも仕方ない。トリコの挙動は最たるもので、実際の動物がすぐに言うことなんて聞いてくれるはずもなく、だからこそ指示通りに動いてくれた時には撫でてあげたくなるわけですよ。全ては計算の上。不便さも理不尽さも演出なんだ!・・・とまでは言いませんが、そういう部分があるのもまた確かだと思います。あとは個人の許容範囲ですね。


とはいえ、少年の歩きモーションが無かったり(忍び足→ダッシュしかない)、トリコに乗っている時の挙動の不安定さ(勝手に掴んでいることになったり立っていることになったり)などはなんとかして欲しかったですね。ワンダのようにR1押しっぱなしで掴み状態で良かったんじゃないだろうか。




それでは、肝心のストーリーについて。
以下ネタバレとなりますのでご注意をば。まあ驚かすようなタイプではないので、ネタバレが怖いストーリーではないとは思いますけどね。体験しなければ誰にも理解できないし、体験すれば誰にでも理解できる。


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さて内容ですが、基本的なゲーム内容は前述したとおりトリコと協力して塔を脱出する、これだけなんです。過去作と比較するとICOに近いですね。異なるのは絆の在り方。ICOの場合ヨルダが攫われてしまうと主人公は石化してしまいゲームオーバーになる。故にゲームシステム的にヨルダを強制的に守らされるという印象に陥ってしまいがちなんですよね。ただICOはその過程の中で少年とヨルダの間に芽生えていく絆を実感していきそれが最後のジャンプという行動にもつながるわけでそれはそれで良いのです。ICOはか弱いヨルダを護るヒーロー然とした気持ちでプレイするため、そこに勇ましさや誇らしさはあっても、切なさはありません。


トリコでは守るものと守られるものが逆転しているため、そこが若干異なります。もちろん先へ進むためにトリコと少年双方が協力することが必要だから一緒に行動するわけですが、本来トリコは別に少年を必要としてるわけでもないんですよね。あそこはそもそも大鷲の巣であり、仮面が外れたことですでに支配は解けていたんでしょうから首輪を外した後は自由だったはず。なのに事あるごとに少年を手助けしてくれる。ボロボロになりながらも健気に少年を護ろうとする。


最初はプレイしている内に世界設定を妄想したりするんですよ。なんでこんなにもトリコは少年を助けてくれるんだろう。もしかして大鷲は元は人間で、このトリコは少年の身内だったりするんだろうか?とか実はこういう理由があったんだ、みたいなネタ晴らしが最後にあるんだと思ったりするんですよ。

でも終わって見ると世界観の片鱗は見せますが、それだけ。トリコと少年の間に何の関係もないんです。そして気付きます。理由なんてなくて絆が生まれただけなんだと。それでいいし、それがこの作品のいいところなんですね。ごちゃごちゃ小難しい理屈も理由も考える必要はない。主人公に感情移入してプレイしてれば、イコはヨルダに向かってジャンプするし、ワンダはモノのそばから離れまいとと必死にあがくんですよ。少年は頑丈ですが、戦う力は無く戦いはトリコ任せ。それでも傷ついていくトリコをただ見てるだけなのはあまりに辛く、槍を抜いて撫でてあげたり、囮になったり少しでもトリコのために何かしようと努力する。これが本当の意味でのRPGなんですよ。




少年の成長要素とかトリコのスキルとかもっとゲーム性を高めようとすれば如何様にも出来たゲームです。でもそんなのナンセンスですよ。そういうのを徹底的に全部削ぎ落としたからこそ得られる感動があるわけです。パラメータなんて要らないんです。目に見えなくても2人の絆が強く成長していくことは、プレイしてれば分かります。洗脳装置の共鳴作用に最初は逆らえずに少年を襲ってしまったトリコが終盤ではその支配に抗う。苦手なはずの目玉の文様なのに、少年を助けるためにそれを克服する。

トリコが人間ではないところがポイントです。人間じゃない、言葉も通じない巨獣だからこそトリコの少年に対する無償の愛を信じられる。そこには打算も何もなく、ただ一緒にいたいだけであんなにも傷つきながら少年を護ってくれる。そんな姿を見せられて何も感じない人なんていますかね?いたなら・・・きっとその人にはトリコはただのゲームの一キャラクターで、プログラム通りに動いているだけのAIなんでしょう。ただこの類のゲームが向いていないというだけの話です。




私はクリア時に「刹那の旅人」というトロフィーを獲得したので、15時間以内だったと思います。恐らくは普通にプレイしてればそのくらいで終わる人が多いでしょう。そして(これは人によるとは思いますが)はっきりいって2週目をプレイしたいと思う作品ではありません。これ以上傷ついていくトリコを見るのはあまりに忍びない・・・。こうなるとゲームの価値として総プレイ時間に重きを置いている人にはコストパフォーマンスが悪いゲームとなってしまうでしょう。

私は濃密な体験が出来たのならそれこそ1時間でも満足出来る部類の人間なので、この点は特にマイナス点とは捉えていません。(実際1時間で満足できるゲームがあるとは思いませんが)


レベルとかアイテムとかいわゆる「ゲーム」的な要素の一切を取っ払った本作ですが、一方で、だったらゲームじゃなくて映画でよかったんじゃない?という意見もあるかと思います。でもやはり私は否と答えちゃうんですよねえ。アンチャーテッドなんかもそうなんですが、アクションが見たいだけならインディジョーンズ見てればいいんですよ。自分が少年やネイトになるからこその感動は絶対に映画では体験できません。同時に動画配信なんかで見てる人も真の意味では楽しめていません。

自分がリアルな世界を、あるいはファンタジックな世界を目で見て、耳で聞いて、冒険する。これが現代のゲームらしいゲームであり一つの到達点なんですよ。だからこういったゲームが「ゲーム性が薄い」なんていうわけのわからない理由で酷評されるのは非常に遺憾です。


余談ですが、私はICO、ワンダ両方ともに好きですがどちらかといえばICOの方が好きです。その違いはやはりワンダに残るゲームらしさが邪魔をしたのかなという気もします。握力の表示とかね。




長くなりましたが、総評です。
個人的には傑作。ただし非常に人を選ぶ作品で、今現在(これ重要)ICOをプレイして楽しめた、心に残ったという方には文句無くおススメできます。

もうとにかくトリコの一挙手一投足が可愛すぎる。少年を護るその姿が健気すぎる。動物ものに弱い人は辛い場面があるので逆にやらない方がいいかもしれませんがそういう人ほどやって欲しいと思うジレンマ。ICO、ワンダと巨像という作品が既にあり、それらをプレイした上でもこれだけ心に残る作品になったというのは凄いことだと思います。

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