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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
岡嶋二人のクラインの壺です。岡嶋二人というペンネームは、二人の作家さんの共同執筆に使用されるみたいですね。今はもう解散してしまったみたいですけど。そのコンビの最後の作品がこれ。


バーチャルリアリティシステム「クライン2」による最新鋭ゲーム、そのゲームストーリー原作者としてテストプレーヤーになった青年が、もう一人のテストプレーヤーの失踪を機に「クライン2」の裏事情を探っていく。



以上、wikiよりあらすじ抜粋ですが、ちょっと簡潔過ぎますね。


 もう少し詳しく言うと主人公の上杉彰彦は、ゲームブックの応募から漏れた自作・ブレインシンドロームをあるゲームの原作としたいとイプシロンプロジェクトという会社から持ちかけられる。契約を交わしたがその後音沙汰もなく、その存在も忘れかけていた頃、上杉の元にイプシロンプロジェクトからの連絡が入る。完成したバーチャルリアリティゲームのテストモニターになって欲しいと。そこで上杉が体験したのは、体を丸ごと包み現実との区別が付かないほどの体験ゲームだった。
 もう一人のモニター・高石梨沙と共に、「K2」と呼ばれるそのゲームをプレイする上杉だったが、ある日、梨沙が失踪してしまう。このことをきっかけに、完全秘密主義であることや実兄の事故の誤報などでイプシロンプロジェクトに不信感を抱いた上杉は、梨沙の親友だと名乗る七美と一緒にイプシロンプロジェクトの調査を始める。


 こんな感じでしょうか。ポイントは、K2が現実と全く遜色ない体験が出来ること。そして七美の存在と彼女がしきりに口にする不思議の国のアリスがこの物語を象徴しています。

 クラインの壺というのは、画像検索すると一発でわかるのですが、メビウスの輪の3次元版といった感じでしょうか。壺の内側と外側がつながっており、どこからどこまでが内側なのか、内側と外側の境界はどこなのかが解らないというモデルですね。






上杉は紆余曲折ありながらイプシロンプロジェクトの研究所に忍び込むが、七美を人質にされ失敗してしまう。しかし目が覚めたのはK2の中。そう、今までの出来事は全てK2による疑似体験の出来事だったのです。このオチ自体はイプシロンプロジェクトのアメリカでの人体実験やらのきな臭い展開になってきた時点で予想は出来るのですが、この作品の面白いところはなんだ夢だったのか良かった、で終わらないことです。

 2日目以降の出来事が全てK2の中で起きたことだったとしても、イプシロンプロジェクトが怪しいことは変わりありません。梨沙と話したように少人数しか遊べず、費用も莫大なこのゲームで十分なインカムが取れるとは到底思えず、K2が単なる擬似体験ゲームでないことは明白です。結局何の目的で作られたゲームだったかは想像の域を超えないわけですが、K2に囚われた上杉は、クラインの壺のように、今自分はK2の中にいるのか、現実にいるのかの判断がつかなくなってしまいます。その状態を脱するために取った彼の行動は、自殺すること。死んでしまえば現実ですし、K2で目を覚ましたのなら虚構だったと結論付けられるわけですね。そして何度自殺したとしてもK2で目を覚ますとしたら・・・と中々薄ら寒い結末で幕を閉じます。


といった感じの作品です。現実と虚構の境界というと、今ではそれなりに同じテーマを持った作品がありそうですが、この作品が20年以上前、まだファミコンの時代に書かれたというのはすごいですよね。

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