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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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歌野晶午著・「葉桜の季節に君を想うということ」です。
2004年のあらゆるミステリーの賞を総なめにしたと言われる今作品です。

何でも屋ならぬ何でもやってやろう屋を自称する成瀬将虎(トラ)は、後輩のキヨシから相談事を受ける。それは老人を食いものにする悪徳業者・蓬莱倶楽部の悪事の証拠を掴むことだった。あくる日将虎は電車で自殺しようとする女性と助ける。彼女の名は麻倉さくら。互いに恋に落ちていく二人だったが・・・。

といった内容。プロットとしては大まかに三つのストーリーが展開していきますね。トラが蓬莱倶楽部の悪事を暴くためにあれこれと動く話、トラの私立探偵時代にヤクザの構成員として潜入する話、トラの飲み友達であった安藤士郎の娘を探す話。

ネタバレが非常に怖い作品のため、本書を読む際は情報を一切シャットアウトするのが望ましいですね。そして読了後にタイトルのなんと美しいことに気付くはずです。





以下ネタバレですので、未読の方は注意を。


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で、「葉桜の季節に君を想うということ」です。本作品は叙述トリックを用いた作品の中でも割と好みな作風だったかも知れませんね、私的には。我孫子氏や乾くるみ氏の某作品とかは、たしかに騙しっぷりは秀逸で良く出来た作品だったのですが、いまいち作品からメッセージ性みたいなものを感じられなかったんですよね。個人で印象が変わるとは思いますが。しかし本作品からは、結構伝わってきました。

ネタバレしますが、本作品に登場する人物は殆どが高齢者であるという事実。主人公の将虎はちょっとハードボイルドを気取って感覚が少し古臭い印象の若者という認識だったのが、最後の数十ページで、若い者にまだまだ負けないなんともカッコイイじいさんに早変わりするんですよね。このあたりは爽快でした。蓬莱倶楽部のやり方に対する将虎の正義感とかがなんとなく胡散臭く感じていたんですが、じいさんに変わってからは納得の一言。正義感ももちろんあったんでしょうが、彼らの悪事は正に自分達を食い物にするものだったわけですから。あの怒りは当然のものだったわけです。

また、20歳そこそこの時代のヤクザ組に潜入した話自体は真っ当なミステリとして個別に楽しめるような構成になっていたのも評価出来ると思います。通常こういった叙述トリックを肝とした作品は読者をいかに華麗に騙すかに終始拘り過ぎて物語としての面白さを失いがちです。しかしこの作品は元私立探偵の成瀬将虎のハードボイルドミステリとしてもそこそこ楽しめる構成となっているため、万人にオススメ出来ると思いました。その辺りが高評価の理由なんでしょうかね。

なんとなーく気に入らなかった作中の人物、将虎やさくら、綾乃達の本当の年齢がわかった後は、なんとも魅力的に見えたのは何故なんでしょうかねw 老人達だってやりたい事が数え切れないくらいあってまだまだ現役。活力に満ちた彼らと、新しく実った恋に心を打たれたからかも知れません。


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