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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007



 古典SFの名作・ハインラインの夏への扉です。

 本作が書かれたのは1956年。今となっては、目新しくもないタイムトラベルをテーマとした作品ですが、半世紀以上も前に書かれたとは思えないほど現代でも通じるものだと思いますね。

 舞台は1970年のロサンゼルス。六週間戦争という所謂第3次世界大戦によって、アメリカの主要都市は壊滅。内陸のデンヴァーを首都とし、共産主義が衰退した世界のお話。戦時中の技術革新により、現代でも成し得ていない冷凍睡眠(コールドスリープ)が実現されています。

 技術一辺倒の主人公・ダンは愛猫ピートともにバーで飲んだくれていた。原因は、一緒に会社を興した親友マイルズとベルの裏切り。ふと目にした冷凍睡眠の広告に惹かれ、30年後の2000年まで冷凍睡眠することを決意するダンだったが、寸前で思い直し、自分を陥れたマイルズとベルへの復讐を考える。しかし、逆に返り討ちに合う結果となり、そのまま強制的に冷凍睡眠させられてしまう。そして目覚めた先は西暦2000年だった。

といったあらすじ。




 ここからも判るように、本作が出版された時期から考えれば近未来と未来の二つを描いた作品なのですが、現代の我々から見ると、違う歴史を辿ったパラレルワールド的な1970年の過去と、未来世界を描いているように見えるんですよね。まあ2000年ももはや過去なのですが、1950年代から見れば遠い未来でしょうし、その文化も現代を遥かに超えた技術が使われていましたし、未来といって差し支えない感じ。


 タイムトラベルモノで重要な伏線とその回収については、あまり説明的過ぎても野暮になっちゃうと思うのですが、非常に良いバランスでお手本になるような感じでしたね。少し不思議に思ったことは大体伏線であり、後半で綺麗に回収されます。まあ大体俺でしたぁー!ってオチですけどねw

 本作自体は、タイムトラベル現象そのものよりも時を超えたロマンスを重点に置いた作りになっています。少々ご都合主義(たまたま仲良くなった技術主任がたまたまタイムマシンを作った教授と知り合いだった、とか)な部分や、タイムパラドックスに踏み込んでいない(ダンが意識的に起こさないように行動している)など、SFとしては少し物足りない印象もあります。しかしタイムトラベルの原理説明自体はあっさりだったものの、過去と未来で質量保存の法則が成り立っていて、実用に耐えなかったという理論は斬新でしたね。

 


 しかし、この読後の爽快感たるや現代の作品でも中々味わえないものだったと思います。日本人受けするのも分からいでか。まあ冷静に考えると10歳そこそこの少女に求婚している30歳のおっさんの物語が愛されているのは流石日本人って気もしますが・・・w それでもダンはリッキィに結婚して欲しいから冷凍睡眠してくれ、と言ったわけではなく、リッキィが大人になったその時でもまだダンの事を好きでいて、ピートの世話をする気があるのなら、という言葉を残しただけですからギリギリ許されるのではないでしょうかね。あくまでリッキィの意思に任せ、だからこそ21歳の大人の女性になったリッキィが冷凍睡眠してダンを待っていたことがカタルシスを生んだ訳です。

 そうなるとリッキィが何故ダンにそこまで懐いているのか、二人の絆が殆ど描かれていないことがネックになってしまうのですが、当時としてはそんな物なのかもしれません。




 それと猫好きの人にオススメのSFとしても有名な作品でしたが、確かにピートの存在感と、ダンのピートに対する敬意と愛情は多く描写されていましたが、正直物語の展開そのものに関連するわけではないので、そこが少し残念でしたかね。アクセントの一つに過ぎない。

 あ、あと作中での猫に対する扱い方の是非はピートはそういう猫である、ということなので全ての猫がピートと同じだとは思わない方がいいですw 少なくともうちの愛猫はピンチの時に助けてくれないだろうから。



 ということで、半世紀以上も前の作品ながら、時を超えたSF風味のロマンチックなお話が好きな方にはオススメです。また設定を凝り固めたハードSFではないため読み易く、SF小説の入門書としても良い作品だと思います。

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