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チラシの裏に書くようなことを徒然と。 Since 19,Feb,2007
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SCEより劇場風横スクロールアクション、パペッティアです。
PSNのフリーゲームで配信されていたので手を出してみました。

劇場風の独特な演出のアクションゲームで、カリバスというハサミを使って敵を倒したり、先に進むためのギミックを解いたりして先へ進んでいきます。





 とても素晴らしいゲームなのですが、世間的な認知度やコアゲーマーからの評価が低い作品でもあります。正直私もバットマン目当てで覗いたフリーゲームの一覧にあった本タイトルを見た時、全く食指が動かず、概要を見ても興味を惹かれることもなく、フリーなのにダウンロードすることすらためらいを覚えました。プレイした理由はひとえに暇だったからという理由以上のものはありません。

 プレイしさえすれば、その魅力にハマってしまう人は結構な数に登るとは思うのですが、どうしてもインディーズ発の小粒ゲーっぽい雰囲気が拭えないため、プレイするにまで至らない。


 そして私はプレイしていないのですが、どうも体験版では序盤で可能になる数アクションしか出来なかったようで、後々多彩になるアクション部分の爽快さや、それに合わせたギミックや演出の多彩さ・独特さなどが伝えきれなかったのも一因だと思います。



 かく言う私も、本作の何が面白いの?と尋ねられた時、即答するのは難しいです。なぜならこの作品は演出こそ斬新なものの、アクションゲームとしての目新しさは殆ど無いに等しく、3Dアクション全盛のこの時代に古典的な横スクロールアクションというジャンルも相まって、その部分で語れることは少ないのです。


 しかし手垢にまみれた横スクアクションではありますが、その作り込みようは大作に引けを取らずゲームとしても卒なく纏まっているのです。終盤でもそこまで複雑な操作を必要とするゲームではありませんが、序盤から考えればアクションは多彩になり爽快感も増していきます。演出も劇場風をベースとしながら様々な雰囲気のステージと共に変化し、絶えず楽しませてくれます。



 そして本作を語る上で欠かせない声優陣の熱演とその脚本。子供向けの皮を被ってますがその実ブラックジョークやらメタネタやら、パロディ、オマージュに溢れ大人でも、いや、大人だからこそ楽しめる要素が満載です。中でもナレーションの藤原氏とピカリナ役の松岡氏の掛け合いは必見です。主人公は喋りませんが、その行動や感情を逐一ナレーションやピカリナが解説してくれるので存在感がないわけではありません。セリフが聞くのに夢中でアクションが疎かになりがちという変わったゲームですw その他の登場人物も個性豊かなキャラが揃っています。4章のひたすら愚痴ってる吸血鬼とかお気に入りですね。




 こんなに素晴らしいゲームなのになぜイマイチ売れなかったのか。
 
 例としてたまたま同じ日にフリーゲームになったバットマンと比較した時、スタイリッシュで多彩なアクション、リアルなグラフィック、広大なゴッサムシティの作り込み。一目見てすごい作品だ、確実にフルプライスの価値があると思わせる魅力が感じられます。パペッティアはいささかその点が足りない。別ベクトルであるもののパペッティアの作り込みはそういった大作に負けないぐらいのものなのですが、パッと見た時の凄さ、面白さが非常に伝わりにくい不遇なゲームなのです。こういった作品が売れるには、プレイした人の詳細レビューや口コミなどしかないと思うんですよねえ。少なくとも初動で売れるタイプではないのは明白。・・・まあフリーゲームで初めてプレイした私がどうこう言える立場ではないのですけどね。


 ボリュームを考えても十二分にフルプライスの価値があるゲームなのですが、見た目的にフルプライスで手を出しづらい印象があるのがネックですねえ。半分ぐらいのボリュームでハーフプライス、その後同価格帯でシリーズ化、みたいな感じだったらもっと売れたんじゃないでしょうか。

 

 というわけで総評。プレイの腕を競うようなガッツリやり込むアクションゲームではありませんが、その丁寧に作りこまれた劇場風の世界に没入し、キャラクター達の掛け合いや独特な演出を楽しむことを主とした時、本作は素晴らしい作品となります。昨今のリアルなグラフィック+複雑な操作のハードなアクションゲームが多い世の中で清涼剤となってくれること請け合いです。こういうゲームは無くなっちゃいけないと思います。

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はい、というわけで結構時間が掛かってしまいましたが、殻ノ少女続編の虚ノ少女です。



 システム的には前作で不満だった部分が解消されていて、満足出来る内容だったと思います。捜査パート強制終了の撤廃とか場所選択制のギャルゲー要素少なめとか。


 前作と違い一つの事件に端を発する連続猟奇殺人事件を最後まで追っていく展開となっています。とはいえ、ボリュームは体感で相当増加している印象があり、事件に関わる人物の多さや複雑さも前作を上回っています。プレイ時間は25~30時間ぐらいでしょうか。グラフィックやBGMも変わらず高いクオリティですので、殻ノ少女を気に入った人には問題なくおすすめできる内容です。



総評:7点




 元同僚で頼りになった魚沼と高城は転勤と引っ越しのため今回は未出演。少し寂しいところだったのですが、もう一人の主人公といっていい真崎と前よりは協力的になった八木沼が代わりとなってくれます。そして満を持してカルタグラで高城が頼りっぱなしだった冬至が協力者となってくれますので、むしろ前作よりもバラエティに富んだ布陣になってますね。



物語は、殻ノ少女Trueエンドの2年後から始まります。冬子を連れ去った間宮心璽の所在はわからないまま探偵稼業を続ける玲人にまたしても猟奇殺人事件の調査以来が舞い込み、同じ頃妹の紫は自殺未遂を起こした真崎を助けることになります。

この猟奇殺人事件は真崎の故郷・「ヒンナサマ」と呼ばれる神を崇める人形集落の祟りを模しており、彼の過去とも深く関わっていきます。




 猟奇殺人事件が起きてさーて推理頑張るぞーというところで人形集落の過去編が始まるので推理を楽しみたかった人は出鼻をくじかれること請け合いです。そしてこの過去編が重要ながらも結構な長さで急に知らない人物ばかりが主人公になって話が進むので少し辛いところですね。





以下ネタバレ感想となりますのでご注意をば。

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てぃ~ぐるより衣笠×トモセコンビで送るレミニセンスの続編・レミニセンス Re:collectです。

 一応レミニセンスの完結編と謳われている作品ですが、その内容はファンディスクに近いです。新しいジオフロント・大和に関わる追加ルートが大体総計15時間ぐらい。+1時間内ぐらいの各ヒロインのアフターシナリオ+ショートコント集で、実質的なプレイ時間が20時間に満たないぐらいでしょうか。総プレイ時間は前作に比べるとかなり少ないですね。


 BGM、グラフィック、システムについては前回と同じ為割愛。



 大和を舞台にした追加ルートはかずちーと新キャラ・涼風の2キャラ。まどかやマリアさんは残念ながら今回もおあずけ。恋はアフターシナリオに含まれていますが、他キャラよりもHシーン多め。


総評:6点



早速ですが以下ネタバレ感想となりますのでご注意をば。




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イノセントグレイより殻ノ少女です。カルタグラ以来久しぶりにイノグレ作品に触れたのですが、いやはや、この昭和中期の独特で陰鬱な雰囲気を創りだすのが上手いですよねこのブランドは。まあ、カルタグラの登場人物も結構多く出演する同じ世界観を描いた作品なので、当然といえば当然なのですが。


今更手を出したのは、虚ノ少女をやりたい→続き物らしいので前作からという安直な流れです。



総評:7点


昭和31年のある春の日、時坂 玲人は井の頭公園で出会った少女・朽木 冬子から「本当の自分を見つけ出してほしい」という依頼を受けた。 同じころ、玲人は警視庁時代の同僚だった魚住から、少女ばかりを狙った連続殺人事件の調査の依頼が来た。 そして、玲人の妹である 紫の通う櫻羽女学院の教頭からも、行方不明になった生徒の捜索の依頼が来た。
教頭の依頼を受ける形で、櫻羽女学院へ潜入したところ、玲人は冬子と再会した。

以上wikiよりあらすじ引用。



カルタグラ同じく猟奇殺人事件を主としている作品ですので、グロ耐性がない人は注意です。主人公は元警察官の探偵ということで、基本的にはミステリー作品となるわけですが、カルタグラと違って、捜査手帳による状況確認と、捜査パートによる証拠品探し、それらを駆使した推理パートが用意されているので、ユーザーが考えながら進めていく謎解きアドベンチャーとしての面白みは格段に上がっています。


システムは、ボイスの音量設定が個別でしか出来なかったのが面倒でしたが、それ以外は特に問題なし。

グラフィック、音楽は発売から6年立っている今でも通じるぐらい一級品(そもそも進化が顕著でない部分かも知れませんが)。特に音楽は印象深いですね。物静かで儚い曲調が多く、雰囲気作りに大きく貢献していたと思います。




これはサスペンスものならではなのかも知れませんが、緊迫感があるおかげで、どんどん先を読みたくなる作品です。陰鬱なだけでなく、月世界での一時や、トジ子との会話などが合間に挿入されていることで一種の清涼剤になっている点も良いですね。



以下ネタバレとなりますのでご注意をば。


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バルドシリーズ最新作にして、ゼロの完結編です。


グラフィック、BGM、システムについては前作同様ですので割愛。


総評:7点



 シナリオは、前作の共通7章までがまるごと入っていて、そこからシゼルルート、マレルルートへと分岐する形となっています。とはいっても完全にルート管理されており、シゼル→マレルの順でしかプレイ出来ません。

攻略ヒロインが2人で分割商法ということからボリューム不足の懸念があったわけですが、そこはさすがのバルドシリーズ。トリのマレルルートが全ヒロインの総集編+グランドルートといった内容ですので、非常に内容が濃く、長い。この点は杞憂に終わったといっていいでしょう。


ACTパートも手を加えられていて、チャージブレイクシステムが追加。A,B,Cの武器使用に応じてそれぞれゲージが貯まり勝手に発動するスキルであり、これによりテンポが多少改善された感はあります。今作は敵の数が異常に多く、タイマンで悠長にコンボするゲームでは無くなっている印象です。


テキストについては、前編でも好みの別れたエドや咲良達の口の悪さは、多少おとなしくなった感じはあります。ヒロインが上官であるシゼルだったり、あっけらかんとしたマレルなのも要因の一つなのですがエドがだいぶ丸くなっていますね。まあブチ切れると下品な暴言を吐くところはかわってませんがw




以下ネタバレ感想となりますのでご注意をば。


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ホラーとミステリーを融合させた作風が特徴の刀城言耶シリーズ、1作目です。

山奥の古い因習に囚われた集落、神々櫛村では谺呀治家を中心とする憑き物筋の「黒の家」と、神櫛家を筆頭とする憑き物筋の「白の家」で対立していた。そして、村全体を支配する「山神様」「カカシ様」「厭魅」には、それにまつわる数々の怪奇や神隠しが存在していた。そんな中、神々櫛村を訪れた怪奇幻想作家、刀城言耶は奇怪な殺人事件に遭遇する。



以上wikiよりあらすじ引用です。



昭和・閉鎖的な田舎村・村の伝承と来ると横溝正史だとか、オカルトとの融合で京極夏彦やらを彷彿とさせますが、それらに負けず劣らずの独特な雰囲気を持った作品です。

 700ページぐらいある長編大作ですが、主人公が怪奇小説家であるために、村の伝承やら民俗学にいちいち首を突っ込んだり、薀蓄を語ったりというシーンが多いのもあって殺人事件が起こるのが200ページを過ぎてからというスローペースです。もちろんそれは神々櫛村の異様な雰囲気を表現する大事な要素でもあり、ある意味では真犯人への手掛かりにすらなり得る重要な描写でもなる部分なので、仕方ないのですが、正直取っ付きにくいのは否めないですね。
 
 私は文庫本を読みましたので、簡単な家系図と村の地図があったので、まだマシだったのでしょうが、それでも何度も図を見直しました。文庫以前はこれすらなかったらしいですから、メモしながら読まないと村の構造やら人物の関係が分かりにくかったのではないかと思います。

 それと、これが刀城言耶シリーズの特徴なのかは以後のシリーズを読んでみないと解らないのですが、探偵役の主人公も名推理を披露してズバッと解決する、というタイプではなく、現時点で考えられる推論を元に犯人を導き出し、それが誤りであれば、また新たに推察し・・・ということを繰り返しやがて真実を暴く、という珍しい構成になっていました。ここは割と賛否両論な感じでしょうか。ミステリはやっぱり最後にスラスラっと種明かしをして爽快に終わらせて欲しいという人には少し微妙かも知れません。私はそれが結構味と感じるというか、刀城言耶は探偵ではなくあくまでも一作家に過ぎないと暗に言っているようで好印象でしたけどね。




 では以下、トリックのネタバレ含む感想となりますのでご注意をば。






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同人サークル影法師より、流れ落ちる調べに乗せてと、その前日譚・闇を奔る刃の煌きです。
最近時代物の作品がブームでして、面白い和風伝奇モノはないかと探していた折、本作にたどりつきました。片方だけのプレイでも、どちらからのプレイでも一応楽しめる作りにはなっています。しかし闇を奔る~の特徴を加味するとこちらからのプレイの方が驚きがあるやも知れません。


まず流れ落ちる調べに乗せてから。舞台は、文明開化後数年ぐらいの設定ですが、そのまま現実の世界をなぞっている設定ではないみたいですね。4つの物語と4人の主人公によるザッピングノベルとなっています。4つの物語では、大体同じ時間軸に起きた出来事が視点を変えて語られますが、たびたび共通する人物が登場し、それぞれ複雑に絡み合っています。
一つ一つの物語を最後まで読み進めるのか、あるいは平行して進めるのかによって結構印象が変わる作品だと思います。ちなみに私は前者でした。ちなみに選択肢はなく完全な一本道です。


CGは白黒で、立ち絵ではなく、長方形に縁取られた各キャラのバストアップ絵が動き回るような演出ですね。音楽もそうですが、昨今のゲームとしては物足りないものも感じますが、これはこれで、本作の味とも言えますので一概に否定材料と言えるわけではありません。





 
総評:7点


というわけで早速ですが以下ネタバレ感想のでご注意をば。




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 はい、本当に今さらなのですがようやく読破しました。ラノベにおけるミリタリーアクション&学園ラブコメの金字塔・フルメタル・パニックです。フルメタはアニメから入った口でしたので、このままアニメで完結するまで原作は我慢しようと長らく思っていたのですが流石にもう期待出来なさそうでしたので、本編+短編合わせて二十数巻の読破に挑戦しようと考えなおした次第です。


 まあ読破といってもコメディ重視の短編は気楽に読めるし、シリアスな本編の方も読み易い文章でしたのでそれ程苦にはなりませんでしたけどね。本編10巻のせまるニック・オブ・タイムからの最終巻ずっとスタンド・バイ・ミーへの収束感とカタルシスは非常に良かったです。寝る前にコツコツと読み続けていましたが、ラスト3巻の消費スピードは桁違いでしたw


 ずっと謎だったウィスパードの真実とレナードの目的。メリダ島に建設された巨大なTAROSによる世界改変と核戦争を防ぐために決行されるミスリル最後の作戦。宗介とレナードの死闘。そしてカリーニンとの決着。変に捏ね繰り回さず、読者が見たかった展開を想像通りに、あるいは想像以上に見せて楽しませてくれました。最終巻が出るまで2年ほどかかったみたいですが、間髪入れずにそのまま読めた私はある意味幸せなのかもしれません。






 多分もっと高尚(ちょっと語弊がありますが)な作品に仕上げることは出来たのだと思います。リアリティのあるミリタリーものとするならば味方側の主要キャラの一人や二人戦死して然るべきだろうし、ウィスパードを始めとするSFものとしてのファクターの考証を詳細に描き、それを中心に据えた展開にすることも出来たでしょう。実際賀東氏はフルメタの世界観としてそれを描くに足るだけの綿密な設定を作り上げています。


しかしあとがきでも言っていたように、フルメタル・パニックという作品は様々なファクターを持ちながらも根本はボーイ・ミーツ・ガールであり、そういう細かいコトは抜きにして宗介とかなめの関係を中心に描かれました。フルメタって結局最初から最後までジュブナイルであり、ラノベなんですよね。

これは「所詮」だとかいうネガティブな意味じゃなく、最後までブレることなくフルメタという作品を描き切ってくれたことに対する賛辞です。賀東氏は悩み抜いてこの結末に選んだんじゃなくて、最初からこの結末にしようと決めていたんだろうな、というのが感じられました。


踊るベリーメリークリスマスの白兵戦や燃えるワンマンフォースの時の量産機を駆る宗介の活躍。デ・ダナンの潜水艦戦、一転して短編での学園コメディ。それら全てフルメタの魅力だったわけですが、読者全員最後には宗介とかなめが抱きしめ合うシーンが見たかったはずでしょう。そして賀東氏もそのシーンをずっと描きたかったんでしょう。だからこそ最終巻は、有終の美を飾るに相応しい、非常にフルメタらしい終幕だったと思います。あの時の彼らに甘い言葉は必要ない。喧嘩して罵り合って、「台無し」になるぐらいが調度良かったんだと感じました。



個人的に印象に残ったシーンは・・・あー最終巻って多いんですよねえw 宗介の爆弾発言に始まり、テッサのダナンとの別れ、クルーゾーの捨て身の特攻、クルツ復活。

 名シーンだらけですが、特にかなめが揺れ惑いながらも本当に失いたくないものを理解した場面は、本作を象徴するシーンなのではないでしょうか。たとえ宗介自身を失ってしまっても十字傷のある宗介と出会えたこの世界を否定することだけは嫌だ、とソフィアを拒絶したかなめは、本当に強くて健気です。宗介も惚れ直すね。なんかちょっとクラナドを思い出しました。二人が出会えたこと自体を否定しないで欲しいっていうアレ。


 それと個人的にはカリーニン少佐との決着シーンが印象に残っています。アマルガム側についた理由もずっと明らかにされず心理描写もされないため、後半株がダダ下がりな彼でしたが、ようやくその心が理解出来ました。誰よりも宗介のことを考え、彼を救おうと断固たる決意をしたが故の行動だったわけですね。死んだ妻や息子に会いたい気持ちも本当にあったんでしょうけど、合理的な彼は失ってしまったものよりもいまある大事なものを優先して考えるでしょう。彼を突き動かしていたものは他ならぬ自分の手で戦争の道に引き込んでしまった最愛の息子に普通の人間としての幸せを与えてやりたいという、贖罪と親心だったんですね。ある意味ではカリーニンはレナードよりも世界改変に執着していたのかも知れません。



 完結まで読み進めてみると、なおさら再アニメ化への熱望が沸き上がってきますねぇ。動くレーバテインが見たい。

しかしトランザムて・・・w たしかにアルの性格ってちょっとキットっぽいですからね。

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とりあえず、ひと通り終ったので感想をば。
何気にエロゲ界の金字塔であるランスについての感想は初めてだったりしますね。


 まずランスシリーズについて軽く触れますが、エロゲ黎明期から20年以上続くRPGであり、コンシューマーで言うFFやドラクエみたいなものだと言えば分り易いでしょうか。ジャンル自体も作品によって異なり、単純なダンジョンRPGだったり、地域制圧型SRPGだったりと様々です。
 話は外伝を除いて全てつながっていますが、基本的にどの作品も前作プレイ必須という作りにはなっていません。


 一般に評価が高いのは外伝である鬼畜王ランスや、正史であるランス6、戦国ランス(ランス7)あたりでしょうか。私は一応1から含めてひと通りは触っていますが、地域制圧型SRPGである、鬼畜王、戦国の2作品は殆どやり込めていません。いつか腰を据えてやろうとは思っているのですが、ボリュームが膨大過ぎて中々手が出ませんでした。


総評:8点


 で、今作ランス9についてですが、シリーズ9作目にてついに北の大国ヘルマンが舞台。3で失脚し、6で別人に成長した、ヘルマンの元皇子・パットンがお馴染み主人公のランスに革命のために助力を請うところから物語は始まります。物語としての主人公はむしろパットンといってもいいかもしれませんね。ランスは相変わらず政治やら国の諍いには興味0でヘルマンの姫シーラをゲットするのとシィルの氷漬けを解除するのが目的ですし。




 今回のランスは、これだけシリーズが続いておきながら初のギャルゲーっぽいモードがあります。このランスモードは7人のヒロインのそれぞれのイベントをこなして、好感度を上げていくみたいな感じですね。お馴染みのかなみや魔想さんなどのランスに対してまだツン成分を残していたキャラを完全に落とすために今作のランスは好きだの愛してるだのを連呼するわ、バラの花束を贈ったりするわで、成長したなーって感じがしますw まあランスクエストでも昔から比べれば大分丸くなってきた感じはありましたので、そろそろ落ち着いてきたということですかね。

 主に戦闘をこなすともらえる猿玉(消耗品)をイベントを進めたいヒロインに使っていく感じなのですが、好感度を最大まで上げたキャラは、終盤で個別ルートに移行することが出来ます。1周目では猿玉の数が足りないので全ヒロインを制覇することは(多分)出来ません。このためとりあえず見たいヒロインを優先するのが良いですね。


 CG、BGMは流石に老舗だけあってクオリティは非常に高いです。ランスクエストに比べるとキャラの頭身が高くなった感じですかね。





 戦闘システムとしては、どうやらママトトに近いらしい(私は未プレイ)ですが、ランスシリーズで言うなら3が一番近いんでしょうか。狭めのマップにキャラを配置したターン制タクティカルバトル。特筆すべきは敵の数が味方に対して膨大で、援軍もガンガンやってくる点ですね。それに対しこちらは範囲攻撃の必殺技や魔法などで蹴散らすわけですが、魔法使いなどは敵の攻撃ですぐに死んでしまうので挑発能力を持った仲間が敵をひきつけたり、隣接して庇ったりということが必要となってきます。また砦攻略などでは浮要塞を使った防衛戦もあります。

 この兵力差戦闘というのは、ランスが大将となる革命軍の少数精鋭部隊の戦いを表現していてシナリオにもマッチしていましたね。シンプルながらシビア過ぎず、ヌル過ぎずでいい按配だったと思います。ただ特に一周目なんですが、アイテムによる能力補正がかなり強い割に殆どはランダム入手のため、強力なアイテムが手に入るかどうかで結構難易度が変わってしまう印象。まあ詰まったら自由戦闘で熟練度を上げていけばなんとかなるレベルではあります。

 しかし戦闘の全体的な印象としては、若干淡白であり、いろいろ工夫しながら戦う必要があった6やランクエなどと比べると少し物足りない感はありました。





 では、以下シナリオ感想となりますので、ネタバレ注意です。

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 うーむ、中々時間が掛かってしまいました。ブログ放置気味だったのはダークソウル2が悪いんや・・・。ということで、フロム・ソフトウェアからダークソウルの続編、ダークソウル2です。まだ対人を楽しみ始めた段階ですが、一応は本編その他の感想をまとめたいと思います。


 まずは簡単にデモンズソウルから続くソウルシリーズといっても良い作品群の基本的な特徴ですが、
ダークファンタジーの世界観で、死にながらコツを覚えていく硬派なアクションRPGといったところです。この部分は今回も変わらず、前作以上の難易度が待っています。ボリューム的には同等かそれ以上といったところ。


 〇〇ソウルではなく、ダークソウル2、というのは一応ダークソウルの後の世界の話で、システムその他でもそのまま踏襲している部分が多いからでしょうね。とはいえストーリーは元々あってないようなものなので前作プレイは必須ではありません。






 
 システム的には大きな変更はないかな?細かい部分では、魔法や奇跡使用時にスタミナを消費するようになったり、待望の二刀流が実装されたりという点があります。デスペナルティとしては、デモンズ回帰なのかHPが段階的に減少するようになり、最大で半分になってしまいます。見た目も亡者度がどんどん増していきます。生身に戻れる前作の「人間性」に該当する「人の像」はそこそこ入手の機会はあるものの前作よりはやや少なめの印象。

 調子にのって使いまくっているとすぐに枯渇してしまうので、道中の探索は死にながら亡者で行いボス戦でもパターンを覚えるまでは亡者。いざ倒す時に生身に戻る、というスタイルが良いのではないでしょうか。


 新システムとしてはたいまつがあります。前作にも増して暗いステージが多いのもありますが、その助けとなるのがたいまつで、篝火で火をつけることによって左手にたいまつを装備し、周りを照らすことが出来ます。道中に燭台がある場合はそこにたいまつで火を灯すことで半永久的にその火が残り、次に来る時も明るいままとなります。たいまつ装備中は盾を使用出来ないため、ザコ敵を処理してから火を灯すのがオススメですね。クズ底なんかは正に燭台に火を灯しながら進んでいくステージで、意外と癖になりますw 二度と行きたくないですけどね。








 今回はいきなり詰まることはなかったですねえ。私はハイデから攻略したので、いきなりの古騎士のタフさに面食らい、オーンスタインらしきものが出てきた時点で、ああこりゃ攻略順間違ってるなと思ってましたw 実際は繋ぎ止める指輪の位置からしても間違ってるわけでもなかったんですけどね。序盤が一番ツラいというのはシリーズ伝統でもありますが、エスト瓶が1回しか使えないなど明らかに2のほうがキツい印象でした。しかも私の場合、緑衣のかぼたんを見逃すという大ポカをやらかしていたためエスト瓶もなくレベルアップも出来ない状態で最後の巨人と戦うという、苦行を強いられていたのでした。流石に途中でなんかおかしいことに気付きましたけどね。デモンズでなまじファランクスを倒すまでレベルアップ出来ないという経験があったためにあまり不自然に感じなかったのが原因かも知れません。

 攻略に詰まったのは、狩猟の森と冬の祠でしょうかね。どちらもどうやっていくのか判るまでかなり時間が掛かりました。リーシュがマデューラにいくみたいなこといってましたがまさかあんなところにいるとは思いもしませんでしたよ・・・。冬の祠は単純に見逃しです。存在を知っていれば4つのソウルを集めた後に訪ねる場所として候補に上がったとは思うのですが・・・。なんで王の扉開かないねん、バグじゃない?と思っていたのは秘密です。



 ボスできつかったのは複数または雑魚付きのボス全般ですね。泣きそうになったのはフレイディアかな?せめて雑魚蜘蛛の攻撃力が低ければ良かったんですけど、二撃で死亡というのは流石にきつかったです・・・。逆に単体で強かったのは罪人と熔鉄のデーモンでしょうか。前者は手数を減らす、後者はゲルムの大盾無双でなんとかなりました。単体ボスはまとわりつきながらグルグル回って攻撃後の隙に攻撃、というパターンで大体なんとかなるんですよね。ヴァンクラッドのように盾受けがきついのも位置取りさえしっかりしていれば攻撃が当たらないですしね。今回は数の暴力が多すぎる・・・。モンハンとかでもそうですが、複数戦というのは運要素が絡みすぎてあまり好きじゃないんですよねえ。ガーゴイルなんて、ひたすら2匹(3匹)の攻撃タイミングが合って同時に隙が出来るまでひたすら逃げ続けるという苦行でしたし、単体で強いと思わせるようなボスを増やして欲しかったなーという印象でした。


 そういう意味ではゴリ押ししていると死ぬ罪人、熔鉄、腐れ、雑魚ネズミがいなければネズミ試練あたりは良ボスだと思います。ヴェルスタッドも格好良くていいですね。なんというか単体だと負けてももう一回!という気になるんですが、複数だとストレスが貯まる一方というのがキツイんですよね。あ、チャリオットはギミックボスとしては有りだと思います。



 一つ忘れてましたが敵の枯渇問題がありました。これは同じ場所の敵を一定以上狩り続けると枯れてしまいポップしなくなってしまうというシステムなのですがこれが中々波乱を呼んでいます。何度も失敗し続けていると雑魚敵がいなくなるというのは面倒がなくて非常に良い反面、ソウル稼ぎやドロップ品を狙う場合には問題となってしまいます。とはいえ、最効率の場所で延々とソウル稼ぎし続けることを防ぐことも出来ますし、引いては白ファンお手伝い(によるソウル稼ぎ)を促すことにも繋がるので個人的には良いと思います。例えば砂の魔術師装備なんかも10回で枯渇するにしても6x10で60ぐらいドロップを狙えるわけですから、それほどきついシステムでもないんじゃないかと。どうしても欲しい場合は二周目か探求者で再チャレンジ出来ますしね。

 むしろ私としては主に2周目以降に追加される赤NPCからのドロップ品が厳しすぎるのが問題だと思っています。探求者一個で一回しかポップしないのにドロップ品が多く、ドロップしない可能性もある、というのは厳しさが前述の比ではないですよ。探求者をくべればくべるほど敵も強化されるわけですし、せめて普通の雑魚敵同様10回ぐらいはポップするのならまだ良かったのに・・・。


 ついでですが、篝火直近に敵を配置する嫌らしさもストレスが溜まりますねw 塩の塔とかストレイドの牢とかジェルドラ下層とか。ストレイドとか爆発亡者と階層を分ければいいだけなのになんであんな直近に多数配置しているのか理解に苦しみます。あの人もマデューラにくればいいのにね。






 次にオンライン関連。ここは世間一般でも賛否両論の嵐といったところですが、私感では概ね好印象ですかね。とりあえずどんな形にしてもしばらくオンラインプレイが出来なかったダークソウル1よりははるかにマシですw 今回はP2Pからサーバー方式に変わったみたいでメッセージや幻影、サイン等が多く表示されている印象です。しかしその弊害か、ロードが遅いのが気になります。篝火転送等のロード画面はともかく、スタートメニューや篝火メニューの表示、アイテムのグラフィック表示が遅いのは機会が多いためにストレスとなります。オフラインにすると改善するらしいのでやはりサーバー方式故なのでしょうか。マッチング自体はしやすくなったと思います。

 あと、今回はマッチング条件がレベルだけではなく総取得ソウルも影響するというのが大きな違いでしょうか。対人に興味がない人にはたいした問題ではないでしょうが、エンドコンテンツとして楽しむ人にとっては大問題です。現状では2週目以降に関してはかなりマッチングが緩く、レベル400の人と100の人がマッチングするような状況みたいです。

 その是非についてはソウルレベル縛り派とガンガンレベル上げ派各々の意見があると思いますし、多分ダークソウル2で一番論争のポイントとなっているでしょう。



 これは私自身の好みの問題なので流して欲しいのですが、やはりある程度ソウルレベルを抑えたレベル帯でのマッチングというのが良いかな、と思います。無明派生の存在や過去のインタビューからも、フロムは後者寄りの考えだったのでしょうが、重量装備の戦士が特大剣を振るいながら軽快なローリングをし、魔術も奇跡も高い威力で使いこなすという現状は流石におかしい気がしてしまいます。

 ステータスの伸びが50以降悪くなるというのもそれに拍車を掛けていて、特化させる意味が殆どなくなってしまっている。重量の問題が一番分り易いですが、レベルに制限があり、ステータスに振れるポイントに限りがあるのなら、体力に振って重装備を可能とするのか、体力を抑えて軽装備に留め、他へポイントを割くのかという選択肢があります。しかしどこまでもレベルを上げていいのならもはや軽装備の存在理由はなく、武器も最上位のもののみを使用すれば良いというように、装備の多様性が失われてしまいます。ステータスの項目が増えているため、昔のように100ぐらいに抑える必要はないと思いますが、例えば200だとかで留めることによって初めてキャラクターの方向性が定まるんじゃないでしょうかねえ。


 システム側でレベルキャップが決まっていればそこまではレベルを上げるものとしてユーザー間で対立することもなかったのでしょうけど・・・。この辺りは今後の調整に期待したいところですが、ダークソウル2はこういうシステムだとということでも仕方ないとは思います。レベル100の人がレベル400の人に絶対勝てないわけでもないですしね。

 また、今回も一部の武器や魔法が猛威を振るっていますが、前作ほどのバランスブレイカーはいまのところないと思っています。月光エンチャにしても月光のモーションは素直ですし、魔法カット100%の大盾でもあれば月光も魔術も全て受け切れますしね。




 
 誓約に関しては、青教が殆ど機能していないのと鎮守・ネズミ辺りの理不尽さが少し目に付くぐらいで、マッチングのしやすさを考えれば前より良いと思います。鎮守はホスト・赤・灰の三つ巴になったりで楽しい部分も多いのですが、普通にガーゴイルを倒したい人や狂戦士装備マラソンをしている人に取っては迷惑極まりないので、嫌がる気持ちも分かります。ホストの嫌がることをしたいのが赤であり、鐘楼の侵入者を排除するのが鎮守の役目なのですから文句を言う道理もないんですけどね。ネズミは・・・ちょっと意味がわからないんですよねw 侵入者を自分の世界に呼んで倒しても、呼ばれた場所に戻るだけ、というのはなんだか倒す意味もないし、存在理由が解らない。



 私はずっと血の同胞で死合を楽しんでいたのですが、どうも人が少ないのかマッチングに時間が掛かり過ぎるので、最近は専ら鎮守契約をしながら熔鉄城の入り口で古龍サインを拾って対人を楽しむ、というスタイルで楽しんでいます。古龍は人気なのかすぐにサインが消えてしまうのですが、そうこうしているうちに鎮守で呼ばれて~といった感じですね。対人を複数戦とタイマンの双方を楽しみながら鎮守と古龍の二つの誓約のランク上げが出来るという一石二鳥。まあ殆ど負けちゃうんですけどねw



 人斬り、毒まだらムチで毒主体で体力を削り、焦って回復か、攻撃をしてきた相手に影の短剣でバックスタブやパリィからの致命でとどめ。魔法の監視者の小盾で相手の攻撃を防ぎつつ切り札として封じられた太陽とアヴェリンを仕込んでおくというスタイルで戦っています。
 ええ、実際は毒にする頃にはこっちが瀕死にされてたり、魔法を防ぎきれず何も出来ずに蒸発したりばかりなのですけどね・・・。楽しければいいのですよ!最近は監視者の小盾ではスタミナ消費も激しく、魔法主体の人の波状攻撃を防ぎきれないのでアヴェリンを止めて魔法派生の反逆の大盾を使い始めました。遠距離攻撃手段としてアヴェリンは残しておきたかったのですが、パリィが出来なくなるのと物理重視の相手には反逆の大盾では心許ないのでこうなりましたね。相変わらず影の上衣とかを使った忍者っぽい格好です。そしてパリィが下手すぎる私はターゲットシールドが気になるこの頃。





  最後にちょっと愚痴っぽくなってしまうのですが、個人的に一番残念だった点について。詳しいことは全然知らないのですが、今作は開発のディレクターが変わったとか一悶着があったそうです。その煽りを受けてなのか分かりませんが、フレーバーテキストのセンスが悪い気がしてなりません。ソウルシリーズはその退廃的な世界観に大きな魅力があるわけなのですが、このアイテム説明のフレーバーテキストがその世界観構築の一端を担っているわけです。多くを語らない、想像を促すようなストーリーだからこそこのテキストの重要性は高くキャラクターの個性や世界の設定を決定付けるものなのです。しかし今作のテキストはなんというか、字数を稼いでるだけで内容が無いことを語っているだけだったり、ゲームのシステムに直接言及するような説明だったりと、せっかくの雰囲気が台無しになっているものが多いように感じられました。全てが悪いわけではなく、例えばアルバや黒魔女シリーズなんかのテキストは一つの物語を想像させてすごく良いと思いますから、要は作りこみの甘さ、推敲の不足といった問題なんでしょうね。


 うーん、前述のボス関連やらオンライン関連やらで散々愚痴った内容はぶっちゃけ「ここがこうだったらもっと良いのにな」という漫画のレベルEでいう「一番そのゲームにハマっている状態」ですので楽しんでいる証拠とも言えるのですが、最後のフレーバーテキストだけは切実な問題な気がします・・・。






 総評としては不満点は色々とあるものの、圧巻のボリュームと共に相変わらずの楽しさを提供してくれる良ゲーです。もしPS4で続編が出るとしたらなんだかんだでハード毎買ってしまうでしょうねえw


 ちなみに印象に残ったキャラクターはやはりドジっ子ルカティエルでしょうか。ホントにあのイベントは辛かったなあ・・・。ボスの強さもありますが、バンホルトのおっさんは結構タフなのにルカちゃんはほっとくとすぐ死にますし。あとはギリガンなんかも結構好きですね。常識ねえのかよ・・・。




 
 

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本の感想も微妙に溜まってきたのでインデックスを作りました。
国内作家、海外作家別に五十音順です。



国内作家


我孫子武丸 殺戮に至る病
綾辻行人 十角館の殺人
有栖川有栖 双頭の悪魔
伊坂幸太郎 アヒルと鴨のコインロッカー
伊藤計劃 虐殺器官
乾くるみ イニシエーション・ラブ
犬村小六 とある飛行士への追憶
うえお久光 紫色のクオリア
歌野晶午 葉桜の季節に君を想うということ
虚淵玄 FateZero(1)
逢坂剛 百舌の叫ぶ夜
桜坂洋 All you need is kill
岡嶋二人 クラインの壺
乙一 GOTH
折原一 倒錯のロンド



貴志祐介 黒い家
京極夏彦 姑獲鳥の夏



佐藤大輔 皇国の守護者
桜庭一樹 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
島田荘司 占星術殺人事件
殊能将之 ハサミ男



高村薫 黄金を抱いて翔べ
田中ロミオ 灼熱の小早川さん



中島らも ガダラの豚
奈須きのこ DDD
西尾維新 クビキリサイクル
       化物語(上・下)
       傷物語
       偽物語(上・下)
       猫物語(黒・白)
       傾物語
       花物語
       囮物語
       鬼物語
       恋物語
野尻抱介 太陽の簒奪者


東野圭吾 容疑者Xの献身



舞城王太郎 土か煙か食い物
道尾秀介 ラットマン
湊かなえ 告白
宮部みゆき 火車
村上直樹 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
森岡浩之 星界の戦旗V 宿命の調べ
森博嗣 すべてがFになる



夢枕獏 月に呼ばれて海より如来たる









海外作家






ジェイムズ・P・ホーガン 星を継ぐもの









フィリップ・K・ディック アンドロイドは電気羊の夢を見るか?






ロバート・A・ハインライン 夏への扉



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ハードSFの巨匠・ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作、星を継ぐものです。
最近はミステリーとSFを交互に読む傾向にある私です。



 月面で真紅の宇宙服を着た人間の遺体が発見された。驚くべきことにその年代を調べると約5万年前。チャーリーと名付けられたその人物を巡ってあらゆる分野の専門家を集めた分析が進められる。ヴィクター・ハントは、物質を透過撮影出来る最先端技術であるトライマグニスコープの開発者だったが、チャーリーの研究にトライマグニスコープが導入されると共に彼自身もまた研究チームに参加することとなる。少しずつ解明されていくルナリアンと名付けられたチャーリー達の謎だったが、すべての矛盾を解決する結論が立つことは無かった。

 一方、木星の衛星・ガニメデでは、ルナリアンよりも遥かに過去に作られたと思われる巨大な宇宙船が発見される。ハントや生物学者のダンチェッカーは彼らの痕跡を探る中で、ある一つの結論に至ることとなる。




 あらすじとしてはこんなところでしょうか。傑作と謳われる本作が映像化されていないのは何故なんだろうな、と不思議に思っていたのですが内容を読めば納得ですね。ぶっちゃけて言うと本作は、ビジュアル的には、非常に地味な作品なんですよね。未知との遭遇と言えば聞こえはいいですがやってることはひたすら調査と考察だけであり、物語が大きく展開したりすることはありません。

 それでもこの作品が物凄く面白くて、魅力的なのはやはりベースとなる未知との遭遇を膨大な知識と創造力によって描いたハードSF的な要素と、残された痕跡の調査と科学的な検証によって、少しずつ彼らの歴史を紐解いていくという壮大なミステリー要素が上手く合わさった絶妙なバランスだからでしょうね。


 とはいえ、一般のミステリーと同様に鋭い洞察力があれば答えが判るとは思えません。例えば、チャーリーの日記のミネルヴァと現在の月の距離の矛盾から、ミネルヴァの衛星だった月は、地球の月になったんじゃないか、という推測は出来ます。しかしそういうことが物理的に起こりえるのか否かは天体物理学の知識がないとわからないため、結論とすることは出来ません。あくまでもミステリー的な面白さを持った作品という感じですね。

 ストーリー性というのは乏しく、サイエンス寄りな物語ではありますが、登場する人物も魅力的です。反目しあっていたハントとダンチェッカーが、木星へ向かう船の中でお互いを認め合うシーンなんか、傍から見ればおっさん二人が佇んでいるだけなのに感慨深くて感動してしまいます。






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SF小説の金字塔であり、映画・ブレードランナーの原作として有名なアンドロイドは電気羊の夢をみるか?です。あまりにもインパクトのあるタイトルなので、読んだことはなくてもタイトルだけは知っている人は多いのではないでしょうか。パロディも多いですしね。


 簡単なあらすじとしては、最終戦争後、放射能が溢れ死の星となってしまった地球。人類は火星への移住を計画し、火星では奴隷として人間と見分けがつかないほど精巧なアンドロインドが使役されている。主人公は、地球で暮らすアンドロイドは殺しの賞金稼ぎのリック。火星から逃げてきた6人のアンドロイドを殺す依頼を受けることになる。

 世界観としてはSFでディストピアものの王道といったところですが、その内容はあらすじから感じるサイバーパンクでハードボイルドなものではなく、人間とは何かという非常にシンプルかつ哲学的なテーマを持った作品となっています。





 本作ならではのSF要素として、生物が殆ど死滅してしまった地球では、生き物を飼っているということが社会的なステータスとされていることがあります。また、共感ボックス、マーサー教などという独特な設定もありますが、これら全ては前述のテーマに通じたものであり、人間が人間であることを自覚するための方法であったり崇拝するものだったりするわけですね。


 作中での一般論、あるいは著者の考えといっても良いのですが、人間とアンドロイドを分けるものは共感能力の有無にあるのだ、という考えに基づいた設定です。
 それは人間と見分けが付かないアンドロイドに対する恐怖から生み出されたものなんだろうな、と思います。基本的にアンドロイドは人間の従属下に置かれるものであり、人権はもちろん無いし、人間に成りすますことも禁止されています。外見上確かめる手段がない以上、人間は人間であることを他者にアピールせざるを得ない。それが生物を大事にすることだったり、他人に共感するための共感ボックスやマーサー教だったりするわけですね。


 そんな世界の中でリックは、様々な人物と出会い、今までの概念を覆されます。人間らしいアンドロイド、アンドロイドらしい人間。人間のフリをしているだけでなく、偽の記憶を植え付けられ、本当に人間だと思い込んでいるアンドロイドもいるわけで、リックはやがて自分自身さえも疑うようになります。


 タイトルは、周りの人間に電気羊を飼っていることがバレないだろうか、と苦悩しているリックが夢でまで電気羊が出てきたことを指しており、転じてアンドロイドは共感能力を持つのかという意味合いになりますね。


 翻訳者のあとがきにありましたが、ディックは人間らしさとは親切さなのだと述べているそうです。親切さというのも中々曖昧な言葉ですが、要は他人の気持ちになれるか否かってことでしょうね。これは現代でもしばしば提起される問題で、いつの時代でも赤ん坊を殺してもなんとも思わないサイコパスのような人間はいたわけです。SF作品でありながらそうした社会風刺的なテーマも込められていた作品でした。

 現代の人類はまだ、本作のような強迫観念に囚われたように人間足らんとする社会には至っていませんが、少なからずその傾向はあります。社会通念に沿わない人間を弾劾し、排除する風潮は世界中いくらでもあります。そんな中で一つ、自分はアンドロイドのような考え方をしていないか?と自問してみるのもいいかもしれません。



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岡嶋二人のクラインの壺です。岡嶋二人というペンネームは、二人の作家さんの共同執筆に使用されるみたいですね。今はもう解散してしまったみたいですけど。そのコンビの最後の作品がこれ。


バーチャルリアリティシステム「クライン2」による最新鋭ゲーム、そのゲームストーリー原作者としてテストプレーヤーになった青年が、もう一人のテストプレーヤーの失踪を機に「クライン2」の裏事情を探っていく。



以上、wikiよりあらすじ抜粋ですが、ちょっと簡潔過ぎますね。


 もう少し詳しく言うと主人公の上杉彰彦は、ゲームブックの応募から漏れた自作・ブレインシンドロームをあるゲームの原作としたいとイプシロンプロジェクトという会社から持ちかけられる。契約を交わしたがその後音沙汰もなく、その存在も忘れかけていた頃、上杉の元にイプシロンプロジェクトからの連絡が入る。完成したバーチャルリアリティゲームのテストモニターになって欲しいと。そこで上杉が体験したのは、体を丸ごと包み現実との区別が付かないほどの体験ゲームだった。
 もう一人のモニター・高石梨沙と共に、「K2」と呼ばれるそのゲームをプレイする上杉だったが、ある日、梨沙が失踪してしまう。このことをきっかけに、完全秘密主義であることや実兄の事故の誤報などでイプシロンプロジェクトに不信感を抱いた上杉は、梨沙の親友だと名乗る七美と一緒にイプシロンプロジェクトの調査を始める。


 こんな感じでしょうか。ポイントは、K2が現実と全く遜色ない体験が出来ること。そして七美の存在と彼女がしきりに口にする不思議の国のアリスがこの物語を象徴しています。

 クラインの壺というのは、画像検索すると一発でわかるのですが、メビウスの輪の3次元版といった感じでしょうか。壺の内側と外側がつながっており、どこからどこまでが内側なのか、内側と外側の境界はどこなのかが解らないというモデルですね。



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戯画よりバルドシリーズの最新作、バルドスカイゼロです。

 本作は、タイトルからも判るようにバルドスカイの前日譚。バルドスカイの主人公である甲がレインと共にドレクスラー機関の情報を求めて傭兵をやっている時代のお話。
 とはいえ、主人公は甲ではなく記憶喪失の青年・エドワードです。閉鎖された自治区域であるSASにおける、傭兵部隊フェンリルの分隊・スコールに拾われた彼が自身の記憶にも纏わるSASの謎に関わっていくストーリーです。


 バルドフォースから続くサイバーパンクの世界観ですが、今作ではその系譜であるバルドスカイの世界の中でもさらに特殊なSASを舞台としています。さらに続編ということもあってか、基本的な世界観の解説がバルドスカイと比べると丁寧では無かったように思えます。このため前作以上に取っ付きが悪い作品にはなっているとは思います。物語的には前作の知識が必須ということではありませんが、世界観の理解という意味で知っておいた方がいいだろうな、という感じ。


 ゼロでは、キャラクターデザインが一新されていて、漫画のジンキシリーズの作者でもあり、戯画のジンキエクステンドのキャラデザも務めた網島氏が担当しています。彼のキャラデザは元々好みだったので心配はなかったのですが、既存キャラの甲やレインのデザインもイメージを壊さずリデザインされていて良かったと思います。ただエドワードとさくらは、完全にジンキの両平と青葉。

 
 で、バルドシリーズといえばアクションパート。今回は丸ごと3Dになってグラフィック的にはパワーアップしました。しかし装備できる武装の数が6つになったり、回数制だったりで、コンボを考える方向性での楽しみはやや落ちてしまったように感じます。高低差の概念があり、新システムとしてジャンプがありますが、これは楽しさにつながることもなく面倒なことが増えただけという印象。概念自体はいいですので、もう少し爽快感があったら良かったですね。



 テキストとシナリオですが、ネタバレしない範囲での印象としては前作以上に人を選ぶだろうと思いました。SASという特殊な環境故ですが、割とどのキャラもスレていたり、乱暴だったり卑猥な言葉遣いをしたりというシーンが多いです。エドワードは無駄に喧嘩腰だし(作中でも何度も突っ込まれてますが)、特にさくらの口調なんかも好みが分かれるでしょうね。

 また物語とその展開についても、専門用語やらSASでの特殊技術(ガラテク)やらを駆使したシーンが多く、前述のキャラ達も回りくどかったり皮肉交じりだったりの語り口が多いため、置いてけぼりになる率が多かったです。


 そして注意すべき点が、バルドスカイゼロは単体で完結していないということです。私がダラダラとプレイしてるうちにいつのまにか正式に発表されていましたが、バルドスカイゼロ2が今後発売予定のようで、本編ではかなりの部分で謎や伏線が残されています。これからプレイされる予定の人は、この点を予め納得しておいた方が良いです。かくいう私もプレイし終わるまで分割商法だとは思っていませんでしたからね。


 プレイ時間は、ルート3つの割にはそれなりに長く、共通10時間+各ヒロイン5~7時間といったところでしょうか。トリのフランは少し長めのシナリオです。




総評:6点

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